【どう分ける?】知らない人も多い相続が発生した場合の遺産分割成立までに発生した相続した不動産からの賃料収入を誰が取得するのか?

自分や親族が所有する不動産を他人に貸すことで
賃料収入を得ている人は多く存在します。

しかし、その不動産の所有者に万が一のことがあり、
相続が発生した場合、
相続した不動産からの賃料収入をどのように分けるのかを知らない人も多いようです。
このような場合、
その不動産自体の取得者や分割方法については遺産分割協議のなかで決定することになりますが、
話し合いがまとまらないことも多いのが現状です。
今回は、相続した不動産から得ている賃料収入の分け方について説明します

遺産分割成立後の賃料収入は誰のもの?

遺産分割成立後に発生する賃料収入は、
賃貸借契約の賃貸人としての地位を承継した相続人が取得することになります。
収益物件となる不動産の賃貸人は、
その不動産を借りている賃借人に対して、
賃料を請求できる権利があります。
これを、賃料債権といいます。

賃貸借契約の賃貸人としての地位を誰が承継するかについては、
ほかの相続財産と同じく、
遺産分割協議のなかで決めます。

通常は、
賃貸している不動産自体を相続することとなった相続人が
賃貸人と
しての地位も承継する形で決まりますが、
ほかの相続財産とのバランスを見て、柔軟に決することができます。

ただし、
遺言が残されている場合には、
原則、遺言によってその不動産を取得するとされた者が、
賃料を相続開始時から取得することとなります。

遺産分割成立までに発生した賃料収入の取得

このように遺産分割成立後の賃料収入については、
ほかの相続財産と同じく、
遺産分割協議において、
その相続人を決めることになります。

では、
被相続人の死亡後、
遺産分割成立時までに発生した賃料収入については、
誰が取得することになるのでしょうか。

この点については、
長らく裁判所においても考え方が分かれていたところでしたが、
2005年に最高裁判所が判断を下しました。

最高裁は、
まず遺産が相続開始から遺産分割までの間、
共同相続人全員の共有に属するという相続の基本原則を確認したうえで、
相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、
遺産とは別個の共有の財産であり、
各相続人がみずからの相続分に応じて賃料収入の債権を得るべきと判断しました。

賃料債権は、分けることのできる債権である「可分債権」です。

たとえば、
相続開始から遺産分割までに生じた賃料収入が100万円、
相続人A、Bの相続分がそれぞれ2分の1である場合、
AとBがそれぞれ50万円ずつ取得することになります。

次に問題となるのが、
このような形で各相続人がそれぞれ取得した賃料収入の債権が、
その後に行われた遺産分割の内容に影響を受けるかという点です。

相続の基本ルールには、
『遺産分割には遡及効(相続開始の時に遡って効力が生じること)がある』という定めがあります(民法909条本文)。

そのため、
遺産分割の内容によって、
相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権を得る人も変わるのではないかという疑問が生じます。
しかし、
最高裁はこの点について、
遺産分割の内容に影響を受けることはないと結論付けました。

確かに、
一度賃料収入を得て、
自分の分だと思って消費したにもかかわらず、
その後の遺産分割の結果、
「ほかの相続人のものとなったので、
返すように」と命令されるのは不条理といえます。
おそらく最高裁は、
そのあたりを考慮して判断したのでしょう。


この最高裁の判断を前提とすると、
相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権を誰が取得するかについては、
遺産分割協議のなかで決めることはできないという結論になります
ただし、
遺産分割協議のなかで決することにつき、
相続人全員の同意がある場合には、その限りではありません。

賃料収入の分け方で揉めないために

賃料収入を共同相続人の間で分けるにあたっては、
遺産分割成立前の賃料収入と遺産分割が成立した後のそれとを区別して考える必要があります。
相続開始から遺産分割が成立するまでの間は、
共同相続人全員が各自の相続分に応じて、
成立後は賃貸人としての地位を承継した者が賃料収入の債権を取得することになります。

遺産分割の結果、
賃貸人の地位を承継することとなった相続人が
遺産分割前の賃料収入も自分だけのものだ」と、安易に考えていることがよくあります。

遺言によって不動産を取得する者があらかじめ決められているような場合を除き、
遺産分割協議が成立する前の未分割期間中に生じた賃料収入は、
法廷相続分に従って複数の共同相続人に帰属されることになるので注意が必要です。


相続人の間で話し合いをするときにも、
一人ひとりの理解を深めながら進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年3月現在の法令・情報等に基づいています。

引用
税理士法人AtoY 
不動産業(相続)メルマガ 3月号

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