【建物表題部変更登記】増改築や自宅の店舗化など、建物であれば所在・家屋番号・種類・構造・床面積を変更した際に必要なのが

不動産登記簿は、
不動産の物理的な状況を記した『表題部』と、
その不動産の所有権などを記した『権利部』で構成されています。

物理的な状況とは、
土地であれば所在・地番・地目・地積、
建物であれば所在・家屋番号・種類・構造・床面積を指します。

もし、
この表題部に変更があった場合には、
その変更日から1カ月以内に表題部の変更登記を行う必要があります。
建物に関するものは『建物表題部変更登記』を行うこととなり、
今回はその建物表題部変更登記について説明します。

不動産登記法で義務化されている『表題登記』

新しい建物を建てたり、
登記されていない土地を取得したりすると、
不動産登記法に基づき、
1カ月以内に表題登記を行わなければいけません。

『表題登記』とは表題部の登記のことで、
建物や土地の所在や用途、大きさなど、
その不動産の物理的な現況を明確にするためのものです。


以前は『表示登記』と呼ばれていましたが、
現在は表題登記に統一されています。

この表題登記があるおかげで、
その不動産がどこにあり、
どのくらいの大きさで、
どのような目的で使われているのかが、
誰でも一目でわかります。

表題登記は不動産登記法によって義務化されており、
もし登記申請を怠ると10万円以下の過料が科される可能性もあります。

そして、
この
表題部の建物に関する部分に変更があった場合、
不動産の所有者には『建物表題部変更登記』と呼ばれる登記申請を行う義務があります。

表題部の変更が生じる状況はさまざまですが、
一般的には建物の構造の変更、床面積の変更、種類の変更などが考えられます。

それぞれ見ていきましょう。

まず、構造の変更とは、建物を構成している材料や階数などの変更のことです。

たとえば、
耐震性などの問題から瓦屋根を軽いスレート材の屋根に葺き替えるケースや、
木造の建物を鉄骨にするなど大幅に補強したケース、
手狭になったので新しく部屋を増築したり、
平屋を2階建てにしたりするケースなどは、
すべて構造の変更になり、
建物表題部変更登記を行わなければいけません。

また、
建物の一部を取り壊しても構造の変更が伴うため、
建物表題部変更登記が必要です。

増築や減築などで部屋数が変わったり階数を増やしたりするケースでは、
一般的に床面積にも変更が生じるため、
構造の変更のほかに床面積の変更に関する建物表題部変更登記も行う必要があります。

一方で、
古くなった壁紙(クロス)の新調や、
和室から洋室へのリフォームなどは構造の変更や床面積の変更には該当しません。
つまり、
リフォームや改築を行っても、
構造や床面積に変更がなければ建物表題部変更登記を行う必要はないということです。

母屋以外の建物増設や自宅で開業したら?

では、同じ敷地内に物置や車庫などを新たに設けた場合はどうなるのでしょうか。

母屋に附随した物置や車庫などの建築物のことを『附属建物』といい、
不動産登記の表題部にも附属建物として表記されます。


附属建物は、
母屋と主従関係にありながら両者が一体となって機能する建物のことであるため、
たとえば、
工場やアパートなど、
同じ敷地内に存在していても独立して機能する建物は、
附属建物ではなく、母屋とは別の建物として登記しなければいけません。

一方で、
附属建物を新しく敷地内に建てた場合は、
母屋に対する構造や床面積の変更と同じと見なされるため、
建物表題部変更登記が必要になります。


また、
附属建物を増築する場合や、
母屋と附属建物をつなげて一つの建物にする場合、
一つの建物を分離させて母屋と附属建物にする場合なども、
建物表題部変更登記を行います。

表題部の種類の変更が生じた場合も、
建物表題部変更登記を行わなければいけません。


表題部の種類とはその建物の用途のことで、
通常は居宅・店舗・
寄宿舎・共同住宅・事務所・旅館・料理店・工場・倉庫・車庫・発電所および変電所などに区分されます。
一般的に自宅として使用する不動産であれば、居宅となります。

たとえば、
今まで居宅として使用していた家を新たに店舗や事務所として使う場合や、
工場を閉鎖して倉庫として使用する場合など、
建物の用途を変更するケースが『表題部の種類の変更』に該当します。

商売を辞めて店舗を居宅に戻す場合なども種類の変更になるため、
建物表題部変更登記が必要です。

ほかにも、
表題部の変更が伴うケースとして所在や地番の変更、
地目の変更、建物の名称の変更などが考えられます。
これらの変更が生じた場合は専門家に相談してみましょう。

※本記事の記載内容は、2023年7月現在の法令・情報等に基づいています。

引用
税理士法人AtoY
不動産業(登記)メルマガ07/12号

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