【意外と知らない】違法建築物は登記できるのか?不動産投資の落とし穴を解説

不動産投資の世界では、
時折「違法建築物」が格安で売りに出されていることがあります。
今回は、そもそも違法建築物は登記が可能なのか、
そして購入する際にどのようなリスクがあるのかについて解説します。

  1. 違法建築物とは何か?

まず、どのような建物が「違法建築物」に該当するのかを確認しておきましょう。
主なケースは以下の通りです。

  • 建ぺい率・容積率オーバー: 行政が定めた土地に対する建物の大きさの制限を
                  超えているもの。
  • 傾斜制限・接道義務違反: 建築基準法上の道路に2メートル以上接していない
                (接道義務違反)、
                 あるいは傾斜地の安全基準を満たしていないもの。
  • 建築確認・検査の未実施: 建築確認申請を出していない、
                 あるいは完了検査を受けておらず「検査済証」が
                 ないもの。
  • 条例違反: 自治体独自の指導要綱や条例に合致していないもの。
  1. 違法建築物でも登記はできる

結論から言うと、建築基準法に違反していても、建物の登記をすることは可能です。

日本の法律制度では、
「登記制度(法務局)」と「建築規制(行政)」が分かれているため、
たとえ違法な状態であっても登記自体は受理されてしまいます。
また、登記をしていなくても固定資産税の支払い義務が生じるなど、
複数の公的システムが独立して存在している点には注意が必要です。

しかし、「登記ができる=安心な物件」という意味ではありません。

  1. 違法建築物を購入する際のリスク

登記が可能で一見普通に流通している違法建築物ですが、
購入には大きなデメリットが伴います。

  • 銀行融資が受けられない: ほとんどの金融機関は、
                 コンプライアンス(法令遵守)の観点から違法建築物
                            
    への融資を行いません。
                            
    そのため、現金で購入するか、
                            
    極めて高い金利の融資を利用せざるを
                            
    得なくなります。
  • 是正勧告や解体費用の発生: 購入後に行政から是正を求められた場合、
                              
    建物の一部を解体して適正な範囲に収めるなどの
                             
    工事が必要になります。
                             
    これには多額の費用がかかり、
                             
    結果として投資利回りを大きく押し下げることに
                            
    なります。
  • 再建築が不可となる可能性: 接道義務を満たしていない物件などは、
                             
    一度壊すと二度と新しい建物が建てられない
                            
    「再建築不可」物件である場合が多く、
                             
    資産価値は著しく低くなります。
  1. 利回りの高さに惑わされない

違法建築物は、容積率を無視して部屋数を増やしていることが多いため、
表面上の利回りは非常に高く見えます(15%20%など)。
しかし、それは将来的な是正リスクや融資のつきにくさを反映した「わけあり」の価格です。

不動産に本当の意味での「掘り出し物」は存在しません。
「なぜこんなに安いのか?」という疑問を持ち、
登記簿謄本だけでなく、
建築確認申請や検査済証の有無、
重要事項説明書の内容をプロの視点でしっかりと確認することが不可欠です。

まとめ

違法建築物は登記こそできますが、
その法的な瑕疵(かし)が消えるわけではありません。
自身の直感やプロの助言を大切にし、
少しでも怪しいと感じる物件には手を出さない、
あるいはリスクを十分に理解した上で判断することが、
不動産投資で失敗しないための鉄則です。

記事の要約(MECE

- 定義
  - 違法建築物とは、建蔽率・容積率オーバー、接道義務違反(建基法4243条)、
    未確認・未検査(検査済証なし)、条例違反など、建築規制に適合しない建物。

- 登記の可否
  - 登記(法務局)と建築規制(自治体)は別制度。
    違法でも登記は原則可能。
    ただし登記できる=適法・安全ではない。

- 主なリスク
  - 融資困難(多くの金融機関は融資不可/条件厳格化)
  - 是正勧告・是正費用(部分解体・用途是正で高額化)
  - 再建築不可(接道要件を満たさず、一度解体で再建不可)
  - 表面利回りの錯覚(容積超過等で見かけ上の高利回りだが、是正・出口で毀損)

- 留意点
  - 「違法建築」と「既存不適格」は別物。
     既存不適格(建築時は適法法改正で不適合)は、
     金融・再建の余地が残ることが多い。

【この動画から得られること(Learning Outcomes)】

- 基礎整理
  - 登記制度と建築規制の分離/違法建築×既存不適格の区別

- 実務チェックリスト
  - 書類:登記簿、公図・地積測量図、建築計画概要書、確認通知書、検査済証、
              台帳記載事項証明、道路台帳・位置指定道路告示、用途地域・建蔽率・容積率
  - 現地:前面道路幅員・2m接道、セットバック要否、越境・増築の痕跡

- 是正可能性の判定
  - 是正可(例):用途変更に伴う消防・設備改修、軽微な増築の撤去
  - 是正困難(例):容積率超過の構造的是正、根本的接道欠缺(43条許可見込なし)

- 金融・出口
  - 金融機関の目線(検査済証なし・接道不良・容積超過の評価)
     既存不適格なら限定的に融資余地
  - 感度分析:是正費用・空室・出口価格(再建不可割引)のシナリオ試算手順

【例え話】

違法建築の高利回りは
「スピード違反で早く着く」ようなものです。
目的地(利回り)に
一時的に早く届いても、
検挙(是正勧告)や事故(融資不調・出口難)で
結局は高くつきます。
法定速度(法適合)を守る車の方が
総合的に安全で確実です。

【専門家としての付加価値(実務の勘所)】

- まず切り分ける
  - 違法建築:建築時から違反。
                      是正しない限り適法化困難。
                      金融厳しい
  - 既存不適格:建築時適法→法改正で不適合。
                         再建・増改築に制限あるも金融余地あり

- 43条但し書き許可の現実
  - 代替通路・通行掘削承諾・近隣同意・避難経路計画等が揃い、
     行政協議が進めば可能性あり。
    事前協議の可否が投資の生死を分ける

- 「検査済証なし」への対応
  - 一部金融は現況調査(既存建物状況調査)や適合証明(民間適合)で例外的に可。
    時間とコストを織り込む

- 価格と是正費の整合性
  - 容積是正(フロア閉鎖・減築)の損益、接道改善(用地買収・通路設定)の実現可能性、
    違反是正コストの概算(あたりの解体/改修単価)を先に試算

- 保険・賃貸運営
  - 違法増築部分は保険支払い減額・免責の可能性。
   用途違反(旅館業・簡宿)には別法令の適合が必要

【視聴後アクション】

- まず公的書類を集める(窓口は役所と法務局)
  1) 登記簿・公図・建築計画概要書・確認通知書・検査済証・台帳記載事項証明、
     道路台帳(前面道路幅)を取り寄せてください。 

- 3つの早見表でふるいにかける
  2) 接道2m・前面道路4m基準(セットバック要否)
      建蔽率・容積率の超過有無
      検査済証の有無をチェック。
  1
つでもNGなら慎重に。 

- 是正の道筋を役所で確認
  3) 建築指導課・道路管理者に事前相談し、4
      3条但し書き許可や是正方法の可否を聞いてメモを残してください。 

- 数字で判断する
  4) 是正費用・空室・出口価格の「悲観/中立/楽観」シナリオで利回りを再計算し、
      買値が下がってもなお合うかを確認。 

- 専門家に見てもらう
  5) 一級建築士・不動産鑑定士・融資予定の銀行に事前相談。
       融資可否と是正の現実性を第三者でクロスチェック。

用語の補足
- 既存不適格:建築時は適法だが、後の法改正で基準に合わなくなった建物。
                      違法建築とは区別されます。
- 43条但し書き:接道要件を満たさない敷地でも、行政の許可により建築を認める制度。

「登記できる」かではなく
「法に適合し、融資と出口が成立するか」で判断すれば、
高利回りの罠を避けられます。
今日からチェックリストで見極めを始めましょう。

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