親族への事業承継を検討している経営者の方に向けて、
生前に取り組むべき「事業承継対策」と「相続対策」のポイントを、
非上場株式の承継を中心に解説します。

  1. 事業承継の3つの要素

事業承継には、大きく分けて以下の3つの要素があります。

  • 経営権の承継: 後継者に会社の舵取りを任せること。
  • 事業資産の承継: 自社株式や、工場・土地などの有形資産を引き継ぐこと。
  • 人脈・組織力の承継: 取引先との関係性(人脈)や、社内の組織体制を引き継ぐこと。

今回の解説では、特に多くの経営者が頭を悩ませる「自社株式の承継」に焦点を当てます。

  1. 事業承継における典型的な悩み

製造業を営む60代後半のAさんの事例(後継者は30代後半の長男)を参考に、
よくある課題を見てみましょう。

  • 課題:株式の評価額が高すぎて、相続税が払えない
    長年経営を続けてきた優良企業ほど、
    自社株式の評価額は非常に高くなります。
    しかし、
    非上場株式は上場株式のように市場で売却して現金化することが困難です。
    「資産(株式)の評価は高いが、納税するための現金がない」
    という事態に陥るリスクがあります。
  • 課題:財産の偏りによる不公平感
    経営者の保有財産の大半が自社株式である場合、
    後継者(長男)に株式を集中させると、
    配偶者や他の兄弟(長女など)に残す現金や不動産が不足し、
    遺産分割で揉める原因となります。
  1. 生前にできる具体的な対策

相続が発生してから慌てるのではなく、
生前から以下の対策を検討することが重要です。

  • 株式の評価額を下げる
    生前贈与や売買を検討する際、
    まずは株式の評価額を意図的に下げる工夫をします。
    • 特別配当・記念配当の実施:
       配当を行うことで、
      会社の内部留保(純資産)を減らし、
      評価額を抑えます。
    • 役員退職金の活用:
       社長退任時に退職金を支給することで、
      会社の資産を減らし、
      大幅に株価を下げることができます。
  • 遺言による財産配分の整理
    後継者が株式を相続する代わりに、
    配偶者や他の親族には
    「役員退職金として得た現金」や
    「その他の個人資産」を渡すよう、
    遺言書で指定しておくことが有効です。
  1. 相続・贈与の選択肢と制度

株式の移転方法には、主に以下の3つがあります。

  • 売買:
     後継者が経営者から株を買い取る。
    後継者に相応の資金力が必要です。
  • 暦年贈与:
     年間110万円の非課税枠を利用し、
    時間をかけて贈与する。
  • 相続時精算課税制度:
     累計2,500万円までの贈与を非課税とし、
    将来の相続時に精算する制度。
  1. 「事業承継税制」のメリットとデメリット

贈与税・相続税の納税を猶予・免除する「事業承継税制(特例措置)」もありますが、
利用には注意が必要です。
この制度は、一定の要件を満たし続ける限り納税が猶予されますが、
最終的には「次の世代への承継」までセットで考える必要があります。
いわば「孫の代まで問題を先送りする」側面もあり、
さらに毎年の報告義務など、
事務的・コスト的な負担も無視できません。

会社の規模や状況によっては、
この制度を使わずに「純粋な株価引き下げ対策」を行った方が、
よりシンプルで円満な承継ができるケースも多々あります。

  1. まとめ:対策は「50代」から始めるべき

事業承継対策に「早すぎる」ということはありません。
60
代後半になってから検討を始める経営者も多いですが、
株価のコントロールや資金準備を考えると、
50
代から着手するのがベストです。

後継者が経営に向いているかどうかという適性判断も含め、
耳障りの良い「国の制度」を鵜呑みにせず、
専門家を交えて自社に最適な「オーダーメイドの承継プラン」を
早期に構築することをお勧めします。

要約

- 事業承継の要素
  - 経営権(議決権)の承継、事業資産(自社株・不動産等)の承継、人脈・組織の承継の3本柱。

- 非上場株式の悩み
  - 株価が高く相続税は大きいのに現金化が難しい(納税資金不足)。
  - 株式集中により他の相続人との不公平が生じ、分割紛争の火種に。

- 生前対策の骨子
  - 株価評価の引下げ(内部留保圧縮:配当・役員退職金・不要資産切離し等)。
  - 遺言で配分の整合(後継者に株、他の相続人に現金・不動産等)。

- 移転手段と制度
  - 売買/暦年贈与/相続時精算課税の選択。
 事業承継税制は有力だが要件・運用負担と将来リスクを伴うため個別設計が前提。

- 結論
  - 最適解は企業の規模・収益・家族構成で変わる。
 50代から着手し、評価・資金・家族合意を一体で設計することが要諦。

 

この動画から得られること

- 評価の基礎:非上場株の評価構造(利益・配当・純資産)と引下げレバー
- 資金計画:納税資金・退職金・配当の原資設計、金融機関との対話ポイント
- 配分設計:後継者に議決権、他相続人へ現金・不動産等で不公平感を緩和
- 移転手段:売買/暦年贈与/相続時精算課税の使い分け
- 制度活用:事業承継税制の長短(要件・負担・将来リスク)と適用判断
- 実行計画:50代からの3年ロードマップと書面・体制整備

 

専門家の付加価値

- 株価評価の着眼点
  - 類似業種比準・純資産価額の併用が一般的。
 構成要素(利益・配当・純資産)の変化が評価に直結。
  - レバー例:内部留保圧縮(適正配当・役員退職金)、
      不要資産・含み益資産の切離し、
      資本政策(自己株取得・クラス株式)。
  - 過度な形式操作は否認リスク(同族会社の行為計算否認等)。
 事業合理性の文書化が前提。

- ガバナンスと株式設計
  - 議決権集中(後継者)、配当還元(他相続人)を両立するクラス設計(議決権制限株式、取得条項付等)。
  - 株主間契約(譲渡制限・買戻し条項・同意権)で将来の分裂を予防。

- 役員退職金の実務
  - 税務上の妥当範囲(功績倍率等)の検討、社外比較・取締役会議事録の整備。
 過大部分は否認され得るため慎重に。

- 納税資金KPI(目安)
  - 想定相続税額の1.21.5倍の流動資金枠を確保(退職金・生命保険・融資枠を組合せ)。
  - キャッシュ可視化:12か月分の資金繰り表とイベント(退任・贈与・売買)の同期。

- 制度運用
  - 事業承継税制は要件・提出期限・年次報告が頻繁に改正。
 最新の中小企業庁資料で確認し、無理のない運用計画を。

- リスク管理
  - 名義株の解消、
 遺留分の火種(特別受益の整理)、
 会社分割・持株会社化の適否、
 民事信託で議決権管理の検討。

 

例え話

事業承継は「駅伝のタスキ渡し」に似ています。タスキ(自社株)が重すぎると走者(後継者)は失速します。重さ(株価)を適正化し、給水(納税資金)を用意し、コース(遺言・契約)を整えることで、落とさず安全に渡せます。

 

視聴後アクション

- 1. 現状を見える化:自社株比率・純資産・利益・配当方針、相続人構成をA4一枚で整理
- 2. 概算評価を取る:税理士に非上場株評価の簡易試算を依頼(評価法の当てはめを確認)
- 3. 株価レバーを選ぶ:配当・退職金・不要資産の処理など、事業合理性のある施策を3つに絞る
- 4. 資金計画を作る:退職金・保険・融資枠で納税原資を確保(時期・金額・根拠を表に)
- 5. 配分を設計:遺言草案(後継者に株、他相続人に現金等)と株主間契約の骨子を作成
- 6. 制度の適否を判定:事業承継税制の要件・負担・将来リスクを比較表で評価
- 7. ロードマップ化:1836か月の工程表(誰が・いつ・何をするか)を作り、四半期で進捗確認

 

運用の勘所

- 評価は「点」より「線」:単年の利益変動に依存しないよう、3年スパンで施策を配列
- 文書で守る:取締役会議事録・株主総会・株主間契約・遺言の整合を必ず確認
- 余計な火種を消す:名義株の解消、遺留分を意識した配分、ライフイベント(退任・贈与)の同期
- 銀行と早めに話す:退任・退職金・資金需要の時期を共有し、枠と条件を事前合意
- 制度は毎年更新:事業承継税制・贈与税制は改正が常。
          最新の公的資料で最終確認

 

承継は「評価×資金×合意」の三点で設計すれば、
感情論を最小化できます。

 

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