2022年9月に国土交通省から発表された「基準地価」の動向について、
3回シリーズの第1回目として、
基準地価の概要と最新の動向をまとめました。

基準地価とは

土地の価格には「一物多価」といわれるように、
公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額といった複数の評価基準が存在します。
その中でも「基準地価」は、
都道府県が毎年71日時点の価格を調査し、
9
月に国土交通省が公表するものです。
全国21,444地点を対象としており、
実際の取引価格に近い指標として、
自身の所有する土地の価値を知るための重要な目安となります。

2022年基準地価の主な動向

2022年の調査では、
住宅地・商業地を合わせた全用途の全国平均が3年ぶりに上昇に転じ、
コロナ禍からの回復が鮮明になりました。

  1. 住宅地が31年ぶりに上昇

住宅地の全国平均は、
バブル経済崩壊後の1991年以来、
31
年ぶりにプラス(0.1%上昇)となりました。
特に東京・大阪・名古屋の三大都市圏はすべてプラスとなり、
昨年に唯一マイナスだった大阪圏も上昇に転じています。

  1. 生活スタイルの変化と郊外需要

住宅地の上昇背景には、
テレワークの普及などによる生活スタイルの変化があります。
必ずしも都心に住む必要がなくなったことで、
利便性の高い郊外や地方都市へと需要が拡大しました。
金利上昇を見越した駆け込み需要も、
価格を押し上げる要因となっています。

  1. 商業地の回復と観光地の期待

商業地の全国平均も0.5%のプラスとなりました。
個人消費の持ち直しにより店舗需要が回復したほか、
マンションやオフィスの用地需要が堅調だったことが要因です。
また、人流の回復や外国人観光客の増加が期待される観光地・繁華街でも上昇傾向が見られます。

  1. 北海道(北広島・札幌周辺)の驚異的な上昇

今回の調査で最も注目されたのが北海道です。
上昇率トップ100地点のうち82地点を北海道が占めました。

特にプロ野球・日本ハムファイターズの新球場「北海道ボールパーク」が開業した北広島市は、
住宅地の上昇率で全国トップ3を独占し、
24.8
%という驚異的な上昇を記録しました。

まとめ

全国的に地価はコロナ前の2019年に近い水準まで回復しています。
一方で、地価日本一の「明治屋銀座ビル(東京都中央区銀座)」は前年比0.5%の下落となりましたが、
下落幅は前年の3.7%から大幅に縮小しており、
底打ちの兆しが見えています。

次回は、これらの地価変動の背景にある、
より個別具体的な事情について深掘りしていきます。

要約

- 基準地価とは
  -
都道府県が毎年71日時点の土地価格を調査し、9月に国土交通省が公表。
  
全国21,444地点を対象。
  
公示地価(1/1時点)に対する中間発表で、実勢に近い指標。
  -
土地は「一物多価」(公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額)。
  
基準地価は需給の変化を追いやすい実務上の重要指標。

- 2022年の主な動向
  -
全国平均(全用途)が3年ぶりに上昇に転換。
  
コロナ禍からの回復が鮮明。
  -
住宅地:全国平均が31年ぶりにプラス(+0.1%)。
  
三大都市圏はすべてプラス、大阪もマイナスから反転。
  -
背景:テレワーク普及で郊外・地方の需要が拡大、金利上昇観測による駆け込み需要も追い風。
  -
商業地:全国平均+0.5%
       
個人消費の持ち直し、マンション・オフィス用地需要の堅調、観光回復期待が支え。
  -
北海道が突出:上昇率トップ100のうち82地点が北海道。
                    
新球場開業の北広島市は住宅地上昇率で全国トップ3を独占(最大+24.8%)。
  -
銀座は底打ちの兆し:地価日本一の明治屋銀座ビルは▲0.5%(前年▲3.7%から縮小)、下げ止まり方向。

 

この動画から得られること

- 指標の基礎:基準地価と公示地価・路線価・固定資産税評価額の違いと使い分け
- 2022
年の全体像:住宅地・商業地の上昇転換、回復の強弱
-
上昇要因の分解:郊外需要(テレワーク・二拠点)、観光回復期待、再開発・インフラ、新球場等のビッグプロジェクト
-
地域別の着眼点:北海道の顕著な上昇と全国波及、銀座の下げ止まりの意味
-
実務KPI:在庫月数・成約単価・空室率・賃料指数・再開発進捗・観光入込のモニタリング設計

専門家の付加価値(実務KPI・チェックリスト)

- マーケットKPI(四半期更新)
  -
在庫月数(>6で売り手優位後退)
 成約単価YoY
 空室率
 賃料指数
 10年国債利回り

- エリア選定の3
  -
産業・雇用(クラスター/大型雇用)
 生活利便・安全(交通・医療・教育・ハザード)
 再開発・インフラ(公式資料・進捗)

- 案件評価の要点
  -
ストレステスト:賃料▲5%、空室+5pt、金利+1%DSCR≥1.2
  -
バリューアップROI1K→1LDK、ネット無料、宅配BOX等の回収期間610

- 指標の読み替え
  -
基準地価は需給の広がり、公示地価は年初のベンチマーク。
 両者でトレンドの角度持続性を把握

 

例え話

 地価の回復は「春の雪解け」に似ています。
日当たり(再開発・観光・プロジェクト)がいい斜面は早く解け、
谷間(需給の弱い地域)は遅れます。
山全体が暖かくなりつつある今、
どの斜面に道を作るか(投資配分)が成果を左右します。

 

視聴後アクション

- 1. 指標をブックマーク:基準地価・公示地価、成約単価、在庫、空室率、10年国債を月次で確認
- 2.
エリア候補を3つ抽出:産業・利便・ハザードの3軸で三大圏+地方の分散を意識
- 3. DCF
を作る:CAP・出口利回り・金利のストレスを設定し、DSCR≥1.2の案件のみ比較
- 4.
価値向上策を設計:小規模改修のROI610年回収)をセットで試算
- 5.
現地検証:昼夜・平日休日に歩き、生活利便と安全を実地で確認
- 6.
情報を更新:再開発・インフラ・観光データの一次資料をフォローし、四半期で見直し

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