法人(不動産業を主業としない法人を想定)が所有していた不動産を売却する際、
どのような税金がかかるのでしょうか。
今回は、
売却時の利益・損失の仕組みと、
注意すべき税務ルールについて解説します。
- 売却利益(売却損)の計算
不動産を売却した際、
税務上の損益は「売却価格」と「簿価(帳簿価格)」の差額で決まります。
- 売却利益(譲渡益):
売却価格が簿価を上回った場合、
その差額が利益として計上されます。 - 売却損失(譲渡損):
売却価格が簿価を下回った場合、 - その差額は損失となります。
- 法人税への影響
売却によって生じた損益は、
法人のその事業年度の他の利益(益金)や費用(損金)と合算されます。
- 利益が出た場合:
本業の利益と合算され、
法人税の課税対象となります。 - 損失が出た場合:
本業の利益から売却損を差し引く(相殺する)ことができるため、
結果として法人税額を抑える効果があります。
- 特別な税金:土地譲渡税(追加課税)
土地を売却する際には、
通常の法人税とは別に「土地譲渡税」がかかる場合があります。
原則として、
所有期間が5年を超える土地の売却益に対しては、
5%の追加課税がなされます。
しかし、
現在はこの制度に時限的な適用除外ルールが設けられています。
平成10年1月1日から令和8年3月31日までの間に売却された土地については、
この追加課税は適用されません。
つまり、
現時点では多くのケースで追加の負担を気にせずに売却できる状況にあります。
まとめ:事前の計画と確認を
不動産の売却は、
会社の決算や税負担に大きな影響を与えます。
特に「土地譲渡税」のように、
時期によって適用ルールが変わるものもあるため、
計画を立てる際には必ず最新の税制を確認することが重要です。
売却を検討される際は、
まず物件の帳簿価格を正確に把握し、
税理士などの専門家を交えてシミュレーションを行うことをお勧めします。
記事の要約(MECE)
- 基本構造
- 法人が不動産を売却すると
「売却価額−帳簿価額(取得原価−減価償却累計額)−譲渡費用=譲渡益(または損)」を計上。
- 譲渡益は法人税等の課税対象、譲渡損は他の益金と通算可能(損金算入)。
- 特別ルール(土地譲渡に係る特別税率)
- 一般の土地を5年超保有して売却した場合、譲渡益に対して5%の特別税率が上乗せされる制度がある。
- ただし、平成10年1月1日~令和8年3月31日までの売却は「特別税率の適用停止(事実上の不適用)」。
- 実務のポイント
- 譲渡費用(仲介手数料・収入印紙・測量/分筆・解体・残置物撤去・司法書士報酬など)は益金から控除可。
- 認識時点は原則「引渡日」。決算跨ぎや分割代金は契約条項と整合を取る。
- 消費税は「土地=非課税/建物=課税」。一体売買は按分が必要。
この動画から得られること(Learning Outcomes)
- 税務・会計の基礎
- 譲渡益/損の計算式、益金/損金の扱い、認識時点(引渡日)
- 特例・消費税
- 土地5%特別税率の適用停止期間、土地非課税・建物課税の按分方法、インボイス対応
- 譲渡費用の範囲
- 仲介手数料、収入印紙、測量・分筆、地中障害撤去、解体、残置物撤去、司法書士報酬の可否
- 実務の型
- 決算跨ぎ・分割代金・所有権移転の条項整合、売却一体案件の按分根拠、証憑と仕訳の作り方
- 経営視点
- P/L・キャッシュへの影響、資本効率(ROA/ROE)とバランスシートの軽量化
例え話
不動産売却の税務は「精密な秤量」に似ています。
左皿に売価、右皿に簿価と費用を載せ、
針の傾きが利益か損失かを示します。
重り(費用)の置き方や秤の置き場所(認識時点)を誤ると、
正しい重さ(税額)は出ません。
専門家としての付加価値(実務の勘所)
- 計上の早見表
- 譲渡益=売却価額−(帳簿価額+譲渡費用)/譲渡損=譲渡費用を含めた差額を損金算入
(要注意:減損・資本的支出の計上ミス)
- 認識時点
- 原則「引渡日」。
例外条項(危険負担移転日等)を契約に明記。
決算跨ぎは注記・見積計上の整合を。
- 消費税
- 土地=非課税、建物=課税。
土地・建物一体契約は合理的な按分(評価・鑑定・相場)を証憑化し、適格請求書に反映。
- 譲渡費用の線引き
- 売却と直接対応する費用のみ(仲介・印紙・測量分筆・解体・撤去等)。
日常修繕費・固定資産税の未払は別処理。
- 税額の概算と資金繰り
- 実効税率(法人税・地方法人税・住民税・事業税)を社内標準で持つ。
売却収入の入金日と税金支払日をCFに織込む。
視聴後アクション
- まず概算(本日)
1) 売却価額・帳簿価額(取得価額−償却)・見込み譲渡費用を書き出し、「益/損」を概算します。
2) 土地の5%特別税率の停止期間(〜令和8/3/31)に該当するかを確認します。
- 次に証憑(今週)
3) 仲介契約書・見積書・収入印紙、測量/解体の契約・請求を一式ファイル化。
土地/建物の按分根拠(評価・相場)も準備します。
4) 引渡日・代金決済・所有権移転条項を契約に明記し、決算跨ぎの可能性を会計と共有します。
- 仕上げ(来週)
5) 消費税(土地非課税・建物課税)の適格請求書を発行/受領。税額・資金繰り(納付時期)を再確認し、
申告準備を開始します。
計算式・時点・証拠を押さえれば、
不動産売却の税務は迷いません。
今日から整えていきましょう
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引用
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