家を建てた子ども以外に相続人がいる場合は、
権利関係が複雑になります。

なぜなら、その土地も遺産分割の対象になるからです。

預貯金など、その土地の価額に見合う程度の遺産がほかにもあれば、
家を建てた子がその土地を取得し、
ほかの遺産はほかの相続人が取得したり、
足りない分は代償金として家を建てた子が負担したりして、
遺産分割をすることができます。

しかし、
相続財産がその土地だけだったり、
ほかの遺産にその土地に見合うほどのものがなかった場合は問題です。

家を建てた子が代償金を出捐できるほどの資力があればともかく、
その資力がなくて遺産分割協議が調わなければ、
最悪、子の自宅の敷地になっていてもその土地を競売に掛けて売却するような事態になりかねません。

 
これを防止する方策として、
親の生前中に、家を建てた子にその土地を相続させるとの遺言書を親に作成してもらうことが考えられます。

それでも、
土地以外に目ぼしい遺産がなければ、
ほかの相続人への遺留分(相続分の半分)侵害額の支払を免れません。

また、
親から、その土地を生前贈与してもらうとか、
譲渡を受けておくといった手段もあります。

もちろん、
贈与税や不動産取得税、譲渡所得税は課税されますが、
相続争いの火種になることは避けられるでしょう。

なお、
代償金や遺留分侵害額の支払に備えて、
親の生命保険金をその子が受け取れるようにしておくことも可能です。

いずれにせよ、早めに対策しておくことが大切です。
また、親の生前に贈与してもらった場合、
子には、贈与税(基礎控除後の課税価格の10%~最大55%)や不動産取得税(固定資産税評価額の3~4%)、
登録免許税(固定資産税評価額の2%)などの税金がかかるので注意が必要です。

子どもが親の土地に家を建てる場合は、
将来の相続トラブルの発生を防ぐことに加えて、
想定外の税金がかからないよう十分に対策を講じましょう。

引用
税理士法人 A to Y 令和4年2月1日 メルマガ
『親の土地に子が家を建てる』ことは贈与に当たるのか

令和3年11月30日 メルマガ
親の土地に家を建てる時に、知っておきたい相続対策

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