スタンダードな相続税対策として、
住宅ローンなどの借入金を利用し、
未活用の土地の上に、
賃貸アパート・マンションを建てる方法があります。
土地とお金を『賃貸物件』に変え、
相続時の評価額を下げることで
節税に繋げることができます。
実は意外な落とし穴もあります。
そして、
金融機関や建設会社の
ステレオタイプの営業トークのように、
単純に借入金があれば、
相続税が減るわけではありませんので、
詳しくみていきましょう。
なぜ節税効果があるのか
借り入れで建てた賃貸物件
借り入れたお金を投資して、
持っている土地に賃貸物件を建てた場合、
相続税上の建物評価額は、
固定資産税評価額ベースで算出されることになります。
さらに、
持っていた土地の評価額も
『貸家建付地』
として評価し直されます。
これらにより、
お金・土地の形で財産相続するのに比べ、
税負担をかなり少なくすることができます。
1、借金というマイナス財産をつくること。
2、固定資産税評価額の評価減を目的とする。
この2点を殊更に強調して、
相続対策の錦の御旗として、
アパート建設のステレオタイプの営業トークとして
使用されるのです。
仕組みだけをみてみると
メリットばかりの様にみえますが...
大きく3つのリスクがある
賃貸物件を保有するとなると
そこにはリスクが存在します。
では、
相続税対策のために賃貸物件をた建てた場合、
どんなリスクがあるのでしょうか。
具体的には、
『賃貸物件の経営におけるリスク』
『ローン金利の変動リスク』
『長生きリスク』
があります。
『賃貸物件の経営におけるリスク』
高いお金を投資して建てたのに
空室が多い、
設備の不具合やリフォームで
一度に多額のお金が入用になる。
など
経営が危うくなることもあります。
『ローン金利の変動リスク』
いまは未曾有の低金利ですが、
この状態がいつまで続くかは誰にもわかりません。
金利の変動で返済が大変になる可能性もあります。
金利も一律ではなく、
それぞれの状況で、
0.9%の方もいれば、
4.5%の方もいます。
低い金利の方であれば、
まだ余裕があるかもしれませんが、
金利が高くなると直ぐに単月で赤字になってしまいます。
『長生きリスク』
本来は喜ばしいことではありますが、
そもそも相続間近だと思って賃貸物件を建てたのに、
相続までの期間が長くなり、
設備や建物の減価償却が進んで税金が増えて、
支払うお金が増えてしまう
といったリスクも存在します。
このように、
住宅ローンを組んで賃貸物件を建てるという方法は、
有効な節税方法である反面、
状況によってはマイナスにも転びかねません。
ちなみに、
よくある勘違いのパターンが
「借入金があるから相続税が減る」
と思ってしまうこと。
確かに、
借りたお金はマイナスの財産ですが、
自己資金を投入して不動産を購入するのと
相続上では変わりがなく、
評価額も変化しません。
このように、
節税の為だけが目的で、
アパートを建設するのは、
リスクが高いです。
では、
どのようにすれば良いでしょうか?
目的は、
相続税を納税すること。
とすれば、
相続対策を
納税対策として、
それぞれの実情に合った形を計画しましょう。
方法論として、
より流動性の高い所の土地と建物を購入する方法や
法人を設立して、
建物は法人で建設、
土地は買い上げて、
相続人が給料を貰って、
納税資金を用意する方法もあります。
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