今日は、不動産オーナーの方にも関係が深い
「生前贈与と特例制度を上手に活用して、税負担を抑える方法」
についてお話しします。

 暦年贈与、相続時精算課税制度、配偶者控除、そして小規模宅地の特例――

これらを理解しておくと、将来の相続税が大きく変わります!

 

 暦年贈与と110万円非課税のしくみ

 
まずは、「暦年贈与」についてです。

多くの方が「毎年110万円までなら非課税で贈与できる」と聞いたことがあると思います。
ただし、ここには誤解があるんです。

 「暦年贈与制度」という特別な制度があるわけではなく、
暦年課税とは“贈与税の基本的な計算方法”のこと。

11日から1231日までの1年間に贈与を受けた金額のうち、
110万円までは非課税、
それを超えた分に贈与税がかかるという仕組みなんです。

 つまり、
110万円までは税金がかからない」というのは、
あくまで基礎控除の範囲です。

そして、
令和6年(2024年)の改正で大きな変更がありました。

これまで相続の「3年前までの贈与」が相続財産に加算されていましたが、
今後はなんと相続の「7年前までの贈与」が相続財産に加算されることになったんです。

 

つまり、
「毎年コツコツ110万円ずつ贈与しておけば、相続税とは別」
とはいかなくなりました。

相続開始の7年前から行った贈与は、
すべて相続税の対象に含まれるようになります。

 ただし、
暦年課税そのものは今も残っています。
7年より前に行った贈与は相続税の加算対象になりませんし、
贈与を受ける人が複数いれば、
それぞれに110万円の基礎控除が使えます。

 ですから、
長期的にコツコツ贈与を続けることは、
今でも有効な資産移転の方法なんです。

 

相続時精算課税制度

 次に、「相続時精算課税制度」です。

 この制度は、
まとまった金額を一度に贈与したいときに使えます。

例えば、
お子さんに住宅購入資金を2,000万円贈りたい場合などです。

この制度を使えば、
2,500万円まで非課税で贈与できます。
ただし、
その金額は相続のときにまとめて計算され、
相続税の対象になります。
また、
いったんこの制度を選ぶと、
その後の贈与はすべてこの方式で課税されるため、
暦年課税に戻すことはできません。

ですから、
「今、贈りたい資産の金額」と
「将来の相続の見通し」
を専門家と相談しながら慎重に判断することが大切です。

 

配偶者控除の特例

次は、「配偶者控除の特例」。

結婚して20年以上の夫婦であれば、
自宅の土地や建物、
またはその購入資金を贈与する際に、
最高2,000万円まで非課税となる特例です。

 たとえば、
長年一緒に暮らしてきた奥様に自宅を名義変更したい、
というケースでよく活用されます。

 ただし条件があり、
・婚姻期間が20年以上あること
・実際にその家に住んでいること
・翌年の315日までに贈与税申告をしておくこと

この3点が必要です。

 「夫婦間だから大丈夫」と思わず、
申告を忘れないことがポイントです。

 
小規模宅地等の特例

 続いて、
相続時に使える強力な制度、「小規模宅地等の特例」です。

 これは、被相続人が住んでいた宅地を相続した場合、
その評価額を最大80%減額できるという制度です。

 たとえば1億円の土地でも、
評価額が2,000万円に減額されることもあります。

ただし、この特例を使うには条件があります。
・相続人がその土地に住み続けること
・一定の期限内に申告を行うこと

この特例を活用することで、
相続税の負担を大幅に軽減することができます。

 

賢く活用するためのポイント

ここまでご紹介した制度をうまく使うために、
大切なポイントを3つにまとめましょう。

 

1️⃣ 計画的に贈与を行うこと

長期的な視点で、
相続の全体像を考えながら進めましょう。

2️⃣ 専門家に相談すること

税制は毎年のように変わります。
税理士や不動産の専門家と一緒に、最新情報を確認しましょう。

3️⃣ 書類を整えること

贈与契約書や通帳記録など、
「贈与の証拠」を残しておくことで、後々のトラブルを防げます。

 

今日のまとめです。

暦年課税は今も有効。ただし“7年ルールに注意!

相続時精算課税で大口の贈与も可能。

配偶者控除で夫婦間の資産移転をスムーズに。

小規模宅地等の特例で相続税を大幅に軽減。

 

知っているかどうかで、将来の税負担は大きく変わります。

今日からぜひ、「贈与の計画」を立ててみてください。

こんな方におすすめ

不動産の相続税を合法的に抑えたい

毎年贈与しているが“7年ルールが心配

配偶者に自宅を移したい/名義変更を検討中

小規模宅地の適用条件を知りたい

 

本編の見どころ

暦年贈与と110万円の正しい理解(制度ではなく計算の基本)

– 2024年改正:生前贈与加算が3→7年に拡大

相続時精算課税の使い方と戻れない注意点

配偶者控除(婚姻20年以上・2,000万円・申告必須)

小規模宅地等の特例(居住用地 最大80%減/申告期限内の手続)

行動の提案

まずは家族構成と資産リストを棚卸し

贈与契約書/通帳記録の保存を開始

税理士・不動産専門家に事前相談

 

注意事項

本動画は一般的な情報提供です。
 最終判断は必ず専門家へご相談ください。
 制度は改正・個別要件により取扱いが異なります。