【関係性構築】金融機関の変容と、中小企業はどう向き合うべきか?

今回のテーマは、
中小企業の経営者と銀行の関係性、
そして今後の金融機関との付き合い方についてです。
現在の銀行が抱える課題を浮き彫りにしつつ、
経営者が持つべき視点について考察します。

  1. メガバンクと中小企業の「距離」

かつて大規模な統合を経て誕生したメガバンクですが、
今なお内部には旧銀行時代の派閥意識が残り、
システム統合の不備がATM障害などの問題として表面化することもあります。

一般のサラリーマンにとって銀行はどれも同じに見えるかもしれませんが、
経営者の視点に立てば、
メガバンクは
「中小零細企業を相手にしていない」
というのが現実です。
彼らの基準はあくまで中堅企業以上にあり、
中小企業基本法に則った支援よりも、
自社の効率を優先する傾向があります。
そのため、
地域密着型の信用金庫や信用組合とは、
その立ち位置が明確に異なります。

  1. 「考えない銀行員」を生んだ金融マニュアルの弊害

現在、
多くの銀行で
「カスタマイズされた金融サービス」
が不足しています。
かつて金融庁主導で行われた行政改革により、
銀行には
「金融マニュアル」
が導入されました。

その結果、
銀行員は自ら考えることをやめ、
決算数値をパソコンに入力して出てくる
D評価」「C評価」
といった機械的な判定のみで
融資の可否や企業価値を判断するようになりました。
システムが
「貸し倒れ懸念」と出せば、
事業の将来性を見ることなく融資を断る。
こうした「紋切り型」の対応が、
特に中小企業の現場に大きな弊害をもたらしてきました。

  1. 「中小企業不要論」の波及

かつて政権中枢から
「中小企業は必要ない」
という極端な意見が出されたことがありましたが、
その冷徹な考え方は銀行業界にも波及しました。
日本全国の会社数の9割以上、
雇用人口の約7割を占める中小企業を軽視する姿勢は、
日本経済の土台を揺るがす結果を招いています。

銀行は現在、
低金利による収益悪化を補うため、
コンサル料の徴収や、
保険・投資信託の販売に注力しています。
これは目先の成績(売り上げ)を優先する
L型報酬(初期に多額の利益を得るモデル)」
の考え方です。
20
年、30年先を見越して地域企業と共に歩むという、
本来の銀行の姿を描けていないのが実情ではないでしょうか。

  1. 書類を「読まない・聞かない」担当者への対策

経営者の現場からは、
銀行担当者の
「勉強不足」
を嘆く声が多く聞かれます。
提出済みの契約書や決算書を読めばわかるはずの内容を、
わざわざ電話で質問してくるようなケースです。

また、
事業性(将来的な収益性)よりも担保を重視し、
他事業との兼ね合いで決まる法人税まで
融資判断に組み込むような、
硬直化した計算システムも問題です。
相手を知ろうとせず、
自社の都合やシステム上の数値を一方的に押し付ける姿勢は、
今の時代を象徴する
「聞く能力の欠如」
とも言えます。

  1. 賢い「銀行選び」と情報の自己防衛

これからの時代、
経営者は今付き合っている銀行が
「どこを向いているか」
を冷徹に判断する必要があります。

  • メガバンク化を目指す地方銀行:
    効率とシステムを優先し、
    中小企業を切り捨てる可能性がある。
  • 地域に根ざそうとする銀行:
     事業性を理解し、
    コミュニケーションを大切にしようとする。

これらはニュースや日々の担当者の態度、
情報の集め方で判断できます。
デジタル化が進む中で、
システムに流されるだけの銀行か、
デジタルを使いつつも対話を大切にする銀行かを見極めなければなりません。

結論:主体的な関係構築を

銀行は依然として、
ビジネスにおいてなくてはならない存在です。
しかし、
彼らに「お任せ」する時代は終わりました。

年始の挨拶ですら
「一番借りていない銀行」
しか来ないといった現状もあります。
相手が自分の会社を知ろうとしないのであれば、
こちらも冷静にその「リスク」を判断し、
情報の収集を怠らず、
自社の事業を真に理解してくれる
パートナーとしての銀行を自ら選別していく姿勢が求められています。

ポイント:

  • システム頼りの評価:
    銀行員が自ら考えず、
    PC
    の判定を鵜呑みにしている実態を理解する。
  • 銀行の方向性を見極める:
    効率重視か、
    地域密着か。
    新聞やニュースを注視し、
    付き合う銀行を自ら選ぶ。
  • コミュニケーションの重要性:
    担当者が「書類を読み、話を聞く」能力があるかを見極め、
    経営者側も主体的に情報を開示し、交渉する。

要約

- 何が論点か
  - インボイス、低金利長期化、規制対応で「効率偏重」へ傾く銀行と、
  対話と事業性を求める中小企業のミスマッチが拡大。
    経営者は「銀行の方向性を見極め、自ら関係性を設計する主体性」が必要。

- 銀行側の構造変化
  - メガバンクは中堅以上中心・効率先行。
    地銀の一部はメガ化志向で中小切り離し、他は地域密着を強化。
    信金・信組は対話力が相対的に高い。
  - 金融マニュアル依存で「数値一発判定」が横行。
    将来性や現場の熱量が伝わりにくい。

- 現場の摩擦点
  - 決算・契約を読まずに再質問
/担保過度重視
/法人税等を機械的に判断に組み込み事業性を無視
「聞かない・読まない」対応が増加。

- 経営者の打ち手(方向性)
  - 銀行のスタンスを可視化し、相互理解を前提に「選ぶ・組み合わせる」。
    情報は自ら整理して差し出し、事業性の物語と数字を同期させる。

例え話

 同じ地図アプリでも「高速優先」と「一般道優先」でルートは変わる。
銀行も「効率優先」と「対話優先」で走り方が違う。
自社の行き先に合うナビ(銀行)を選ぶことが近道である。

専門家としての付加価値

- 銀行セグメントマップ(使い分け)
  - メガバンク:大型投資・海外決済・デリバティブ。審査厳格・スピードは速い。
  - 地銀(広域):案件規模中〜大、プロダクトは豊富。事業性評価はバラつき。
  - 地銀(地域密着)/信金・信組:中小の運転・設備資金、対話と継続支援に強み。
  - 政策金融公庫/保証協会:創業・長期資金・金利安定。審査は手堅い。

- 銀行スコアカード(8指標、各5点満点)
  1) 事業理解
  2) 担当継続性
  3) 意思決定スピード
  4) 提案力
  5) 条件柔軟性(金利・担保・コベナンツ)
  6) 不測時の伴走
  7) 手数料透明性
  8) デジタル対応
  - 合計28点以上:主力候補/2027点:補完/19点以下:見直し

- バンク・データルーム(銀行向け資料一式)
  - 3カ年決算
・試算表
・資金繰り表(月次)
・売上上位20社/仕入上位20
・受注残と解約率
KPI(粗利率、在庫回転、回収・支払サイト)
・主要契約
・許認可
・固定資産台帳
・事業計画(KGI/KPI・投資回収・感度分析)
・取締役会議事録サマリ

- 借入設計と交渉テンプレ
  - 基本方針:運転資金=コミットライン+短資
                   /設備資金=長期ストラクチャ(平均返済年限=償却年数経済耐用年数)
  - 交渉骨子:目的・資金使途・返済財源・DSCR試算・担保代替(コベナンツ/情報開示)・価格(全コスト)
                             ・期中レポーティング枠組み

- 年間コミュニケーション計画
  - 四半期:決算早期提供・KPIレビュー・差異分析・次Qアクション
  - 半期:事業計画アップデート・投資案件プレ相談
  - 期末:年次総括・条件見直し・来期資金計画

この動画から得られること

- 銀行の立ち位置(メガ/地銀/信金・信組/公的)の使い分け
- 銀行スコアカード(8指標)による主力・補完の仕分け法
- バンク・データルームの作り方(事業性を伝える資料セット)
- 運転/設備の資金設計とDSCR・感度分析の実務
- 交渉テンプレ(担保代替・全コスト・期中開示)と年間対話計画
- 関係見直しの基準(閾値・アラート)と切替手順

視聴後アクション

- 付き合い先を整理する
  - 取引銀行を一覧化し、8指標スコアカードで点数を付ける。
    主力・補完・見直しに仕分ける。

- 事業性資料を整える
  - データルーム(決算・KPI・資金繰り・受注残・計画・感度分析)を1フォルダ化。
    四半期で更新する。

- 資金の設計図を作る
  - 運転はコミットライン、設備は償却年数内の長期で設計。
    DSCR≥1.2を確認し、感度(売上▲10%、金利+1%)も試す。

- 交渉の準備をする
  - 借入シート(使途・返済財源・代替担保・情報開示)と全コスト見積を作成。
    希望条件を明記して面談予約。

- 年間の対話を決める
  - 四半期レビュー日程を共有。
   差異分析と次Qアクションを1枚で提出する。

- 切替の基準を作る
  - 対応遅延、条件硬直、情報非読解などのアラート3項目を設定。
    2回連続で該当すれば補完行へ切替検討。

 まずは「見える化」と「仕分け」です。
今日、取引銀行のスコアリング表を作り、
主力・補完を明確化。
事業性を語るデータルームを整備し、
四半期レビューの日程を先に押さえてください。
銀行を選び、
関係を設計できる経営者が、
資金調達を制します。

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