【サラリーマン増税の実態】控除縮小と「通達主義」による税制改正の裏側

昨今世間を騒がせている「サラリーマン増税」の正体と、
日本の税制が抱える構造的な問題について深く掘り下げていきます。

  1. 過去最高の税収と増税議論の矛盾

現在、ガソリン代の高騰や電気代の値上げなど、
国民生活は非常に厳しい状況にあります。
その一方で、国の税収は過去最高を更新し続けています。
これには円安による輸出企業の好業績や、
輸入価格の上昇に伴う消費税収の増加が大きく寄与しています。

しかし、こうした潤沢な税収があるにもかかわらず、
政府内では「サラリーマン増税」や「退職金課税の見直し」といった議論が後を絶ちません。
なぜ今、あえて働く世代の負担を増やそうとしているのでしょうか。

  1. 「サラリーマン増税」の巧妙な仕組み

「サラリーマン増税」と言われるものの正体は、
税率そのものを上げることではなく、
「給与所得控除」を縮小することにあります。

通常、給与所得者には自営業者の「経費」に相当する「給与所得控除」が認められています。
例えば年収1,000万円の人に200万円の控除があれば、
課税対象は800万円となります。
しかし、この控除額を50万円にまで圧縮すれば、
課税対象は950万円に跳ね上がります。

このように、
国民が気づかないうちに「手取り」を減らす手法が検討されているのです。
また、通勤手当への課税や、
これまで優遇されてきた退職金控除の圧縮も同様の文脈で議論されています。

  1. 「通達主義」という日本の税制の歪み

日本の税制には
「租税法律主義(税金は法律によって決められるべき)」
という大原則がありますが、
実態は「通達主義」に大きく依存しています。
これは、行政(国税庁など)が出す「通達」によって、
実質的なルールの運用が左右される仕組みです。

例えば、以前このチャンネルでも取り上げた「タワーマンション節税」の規制も、
法律の改正ではなく通達一つで運用が大きく変わりました。
このように、政府にとって都合の良い変更が、
法律を通さずとも比較的簡単に行われてしまうのが日本の現状です。

これは「ルールが後から簡単に変えられてしまう」ことを意味し、
納税者にとっての予測可能性や公平性を損なう要因となっています。

  1. 政治の在り方と「しらす・うしはく」の精神

日本の統治の在り方を歴史的に見ると、
古事記や日本書紀には「しらす」と「うしはく」という言葉が出てきます。

  • 「しらす」:
     統治者が国民の声を聴き、
    公(おおやけ)を最優先する理想的な統治。
  • 「うしはく」:
     権力者が領土や民を「私有物」として支配する統治。

現代の世襲政治や、
国民の不満を顧みない性急な増税議論は、
残念ながら「公」を忘れ、
「私」の都合を優先する「うしはく」の精神に近いように感じられます。
政治家が「海外視察は自腹だ」と主張しても、
その原資が国民の血税である以上、
それは決して自腹ではありません。

結論:私たちが主張すべきこと

税金は国家運営において極めて重要な政策ですが、
特定の層に過度な負担を強いたり、
不透明な形で変更を繰り返したりすることは、
長期的には国力を削ぐことにつながります。

「今すぐにはやりません」という言葉は、
裏を返せば「数年後にはやる」という布石です。
私たち一人ひとりが税金の仕組みを正しく理解し、
納得のいかない制度に対してはしっかりと声を上げ、
論理的に主張していく姿勢が、
これからの時代には求められています。

要約

- 何が問題か(現状と矛盾)
  - 税収は過去最高更新にもかかわらず、
  「サラリーマン増税」「退職金課税見直し」など労働世代への負担増が議論。
  - 物価・エネルギー高で家計が厳しい中、増税議論は政策整合性に欠ける。

- 「サラリーマン増税」の正体(仕組み)
  - 税率引上げではなく、給与所得控除の縮小・通勤手当課税・退職金控除の圧縮など控除削りで実質増税。
  - 例:年収1,000万円、控除200万円→課税800万円が、控除50万円へ縮小で課税950万円に増え、手取り減。

- なぜ進むか(通達主義の歪み)
  - 本来は租税法律主義だが、実務は「通達主義」に依存。
    法律改正なしでも行政通達で運用変更が可能(例:タワマン節税規制)。
  - 予測可能性・公平性を損ない、納税者の納得感とガバナンスを弱める。

- 歴史観(統治の視座)
  - 「しらす(公を聴く統治)」ではなく、「うしはく(私的支配)」的な意思決定が増えている。
     公金の使途・説明責任の脆弱さが不信を助長。

- 結論(行動)
  - 税は国家の基盤。
    特定層に偏る負担・不透明なルール変更は国力を削ぐ。
    仕組みを学び、論理とデータで是々非々の声を上げることが必要。

 

例え話

 ルールが試合中に審判のメモで頻繁に書き換わる競技では、
選手は戦略を立てられません。
税制も同じで、
通達一枚で土俵が変われば、
納税者は合理的な人生設計を失います。

 

専門家としての付加価値

- 家計・企業の実務対策
  - 所得階層別シミュレーション:給与所得控除・基礎控除・社会保険料負担を合わせた「実効負担率」を
                                                     年1回棚卸。
  - 退職給付の設計:退職一時金 vs 企業型DC/確定給付、分割受取の税務差を事前検証。
  - 通勤手当・在宅手当:課税・非課税の境界と社内規程の整合を再点検。

- 政策評価のフレーム
  - 給与所得控除縮小の分配影響(所得分位別の可処分所得変化)、
    通達改定の予見可能性への影響、
    制度運用のコスト(事務負担)を定量評価。
  - 法改正と通達運用の適切な役割分担(重要変更は国会審議・附帯決議・影響評価の必須化)。

- 情報リテラシー
  - 通達・Q&A・基本通達の階層と法源としての拘束力の違いを理解。
    原典(条文・政令・省令・通達)に立ち返る癖をつける。

 

この動画から得られること

- サラリーマン増税の仕組み(控除縮小・課税対象拡大)の理解
- 通達主義の問題点(予測可能性・公平性への影響)と法源の階層
- 家計・企業の実効負担の測り方(所得分位別・制度横断の可視化)
- 退職給付の税最適化(分割/DC/一時金)の判断軸
- 社内規程(通勤・在宅手当)と税務の整合の点検ポイント
- 政策提言の作法(データ・論理・原典に基づく是々非々の姿勢)

 

視聴後アクション

- 手取りの実態を可視化する
  - 最新の源泉徴収票・年末調整結果で、所得税・住民税・社会保険料を合算した実効負担率を算出する。

- 控除縮小の影響を試算する
  - 給与所得控除・退職金控除が縮小された場合の可処分所得の減少額を年収別に試算する。

- 就業・退職設計を見直す
  - 退職金の一時金/分割、企業型DCの活用可否、通勤・在宅手当の課税ルールを会社の規程と照合する。

- 根拠を学ぶ
  - 該当条文(所法・所令・所基通)と最新通達・Q&Aを原典で確認する習慣をつける。

- 意見表明の準備をする
  - 納得できない点は、一次情報・数値・比較国データを添えて、業界団体やパブコメに建設的に意見を出す。

 

 まずは「数字」と「原典」です。
今日、手取りの実効負担率と控除縮小時の影響額を試算し、
自社規程と税務の整合を点検。
所法・通達の原文に当たり、
納得できない点はデータを添えて声を上げる準備をしてください。
ルールを理解し、論理で主張する
それが、公正な税制をつくる最短ルートです。

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