九州に匹敵する「所有者不明土地」問題:2024年4月から始まる相続登記義務化とその対策
今回は「相続登記の義務化」について解説します。
2021年4月に法改正が行われ、
いよいよ2024年4月1日から施行されます。
不動産相続をめぐる大きな転換点となりますので、
その背景と実務上の注意点を確認しておきましょう。
- 相続税の現状:土地から現預金へ
2021年の統計によると、
相続税の課税割合(亡くなった方のうち、相続税の対象となる方の割合)は
全国平均で9.3%となり、
初めて9%台に乗りました。
2015年の基礎控除引き下げにより、
東京都では18.1%、
千代田区や目黒区などの都心部では10人中4人が課税対象となっています。
また、相続財産の構成にも変化が見られます。
2012年には土地が45.8%と約半分を占めていましたが、
2021年には33.2%まで減少しました。
一方で、現預金が34.0%となり、
順位が逆転しています。
これは、将来の納税を見据えて、
あらかじめ土地を手放し現預金へシフトする傾向が強まっていることを示しています。
- 2024年4月施行「相続登記の義務化」
これまで不動産の登記は、
売買と異なり相続では義務ではありませんでした。
その結果、九州の面積に匹敵するほどの「所有者不明土地」が発生し、
空き家の処理や公共事業の妨げになるなど深刻な社会問題となっています。
これに対応するため、
2024年4月1日から相続登記が義務化されます。
- 申請期限:
不動産の取得を知った日から3年以内。 - ペナルティ:
正当な理由なく怠った場合、
10万円以下の過料が科される可能性があります。 - 注意点:
施行日より前に発生した相続についても適用されるため、
放置されている不動産がある方は早急な対応が必要です。
- 遺産分割がまとまらない場合の救済措置
相続人間で協議が調わず、
3年以内の登記が難しい場合のために、
新たに「相続人申告登記制度」が新設されました。
これは、3年以内に「自分が相続人であること」を単独で申告しておくことで、
登記義務を果たしたものとみなされる制度です。
その後、分割協議が成立してから改めて3年以内に正式な登記を行えば、
ペナルティを避けることができます。
- 登記費用の免税措置
義務化に伴い、
負担を軽減するための免税措置も設けられています。
- 中間省略登記の特例:
相続登記をしないまま次の相続が発生した場合(例:祖父→父(未登記)→子)、
一定の条件を満たせば、
本来必要な2回分の登録免許税のうち、
亡くなった一次相続人(父)の分の税金が免除されます。 - 少額土地の免税:
市町村が定める「不動産の価額が100万円以下の土地」の相続については、
2025年3月31日まで登録免許税が免税となります。
- 相続土地国庫帰属制度の現実
「どうしても管理できない土地を国に引き取ってもらう」
ための相続土地国庫帰属制度も2023年4月からスタートしています。
しかし、この制度の利用には非常に厳しい条件と高額な費用が伴います。
- 主な条件:
建物がない更地であること、
担保権が設定されていないこと、
管理に過大な労力を要さないこと。 - コスト:
審査手数料に加え、
10年分の土地管理費を納付する必要があります。
原野で約20万円、
市街地の宅地(200㎡)なら80万円程度の負担が生じます。
実務上は、
申請から審査完了まで長期間(1年近く)かかることもあり、
手続きの煩雑さやコストを考えると、
安易に「国が救ってくれる」と期待するのは禁物です。
結論
相続登記の義務化は、
放置された土地問題に対する強力な一手ですが、
相続人にとっては新たな負担にもなり得ます。
特に地元を離れて暮らしている方は、
いざ相続が発生した際に管理や処分で頭を悩ませることになります。
今回の制度改正を機に、
ご自身の所有する、
あるいは将来相続する不動産の状況を一度整理し、
早めに対策を検討されることをお勧めします。
要約
- 何が起きるか(制度の骨子)
- 2024年4月1日から相続登記が義務化。
相続による不動産取得を知った日から3年以内に申請が必要。
怠ると10万円以下の過料の可能性。施行前の相続分も対象。
- なぜ義務化か(背景)
- 相続登記任意の結果、所有者不明土地が「九州に匹敵」する規模に拡大。
空き家処理・公共事業・防災に支障。
社会コストの抑制が狙い。
- どう備えるか(救済・軽減策)
- 相続人申告登記:遺産分割が間に合わない場合、相続人である旨を単独申告すれば「義務履行みなし」。
後日、本登記へ。
- 登録免許税の軽減:
- 中間省略の特例(未登記のまま次の相続が発生した場合、一次相続人分の登録免許税を免除)。
- 少額土地(100万円以下)相続の登録免許税免除(〜2025/3/31、自治体基準)。
- 何に注意か(国庫帰属の現実)
- 相続土地国庫帰属制度は厳格な要件(更地・担保なし・管理容易)と
負担(審査手数料+10年分管理費:原野約20万円/市街地200㎡約80万円)。
審査長期化もあり、安易な期待は禁物。
- 相続税の現在地(意思決定の背景データ)
- 課税割合は全国平均9.3%(東京18.1%、一部都心は約4割)。
資産構成は土地比率が2012年45.8%→2021年33.2%に低下、
現預金が34.0%で逆転。
納税見据えた現金化の傾向。
例え話
相続登記は道路の「道標」に相当します。
道標が無いと救急車(公共事業・防災)が現地に辿り着けません。
まず仮の立て札(相続人申告登記)でも立て、
後から正式な道標(本登記)に差し替える
——これが混乱を防ぐ最短ルートです。
専門家としての付加価値
- 期限管理と起算点
- 「取得を知った日」から3年。
死亡日・戸籍取得日・遺言開封日など客観資料で起算点を証拠化。
- 最短手順(書類と順番)
- 被相続人の戸籍一式
→相続人の戸籍
→法定相続情報一覧図
→固定資産評価
→相続人申告登記(必要時)
→遺産分割協議
→本登記。
- 放置相続の整理
- 施行前分も対象。
未登記の過去相続は中間省略特例の適用可否を確認し、登録免許税負担を最小化。
- 売却・納税視点の併走
- 相続税の特例(小規模宅地、配偶者軽減)と登記・処分の時系列を整合。
土地のままか現金化かを納税計画と併せて決定。
- 国庫帰属の適否判断
- 更地化コスト・担保解除・境界確定など前提整備費用を含めた総負担で可否判断。
申請〜審査の時間的コストも考慮。
この動画から得られること
- 相続登記義務化の要点(対象・期限・過料・施行前分)
- 相続人申告登記の仕組みと限界、起算点の証拠化
- 登録免許税の軽減(中間省略の特例、少額土地免税)の適用判断
- 相続土地国庫帰属制度の要件・費用・期間の現実
- 相続税と登記・処分の連動設計(現金化の是非、特例の活用)
- 実務チェックリスト(書類/順番/スケジュール)
視聴後アクション
- 名義と期限を確認する
- 登記事項証明で現名義を確認し、「相続を知った日」から3年の期限を手帳とカレンダーに記録。
- 書類を集める
- 戸籍一式
→法定相続情報一覧図
→固定資産評価証明を順に取得。
相続人の連絡先リストも作る。
- 申告登記で先に守る
- 分割が長引きそうなら、相続人申告登記を先に提出し、期限リスクを回避する。
- 軽減策を確認する
- 中間省略特例・少額土地免税の適用可否を税理士・司法書士に確認。
- 国庫帰属は慎重に
- 要件・費用・期間を把握し、処分・寄附・隣地売却など代替案と比較する。
- 専門家に相談する
- 司法書士(登記)・税理士(相続税)へ面談予約。
登記・納税・処分の時系列を一枚にまとめて検討。
まずは「名義の見える化」と「期限の固定化」です。
今日、登記事項証明と法定相続情報一覧図の取得に着手し、
3年の相続登記期限をカレンダーに設定。
分割未了なら相続人申告登記で先に義務を履行し、
登録免許税の軽減策と国庫帰属の適否を専門家と確認してください。
正しい順序で前倒しすれば、
過料と手戻りを確実に防げます。
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