2023年の公示地価が発表されました。
全国的に上昇地点が半数を超えるなど、
コロナ禍による下落傾向から完全に回復し、
上昇へと転じています。
今回は、主要都市圏ごとの動向や、
価格変動の背景にある個別の事情について詳しく解説します。
- 東京圏:世界的に見た「割安感」が投資を加速
東京23区は、商業地・住宅地ともに全ての区で上昇しました。
- 商業地:
平均3.0%の上昇。
特に千代田区、中央区、港区などの都心部では、
国内観光客の回復に加え、
オフィス投資への意欲が再び高まっています。 - 住宅地:
23区全てで上昇幅が拡大。
特に交通利便性の高い台東区、豊島区、中野区などの上昇が目立っています。 - 円安の影響:
外国人投資家から見ると、
円安の影響で日本の不動産には強い「割安感」があります。
1億円程度のマンションでも、
海外の大都市と比較すれば「格安」と捉えられ、
実物を見ずにネット経由で購入するケースも増えています。
- 大阪圏・名古屋圏:地域ごとの回復スピードの違い
- 大阪圏:
商業地が3年ぶりに上昇に転じましたが、
回復の足取りは東京に比べるとやや緩やかです。
一方で京都は観光客の回復が顕著で、
下落地点がなくなるほど底堅い推移を見せています。 - 名古屋圏:
東京・大阪を上回る上昇率を記録しました(商業地3.4%、住宅地2.3%)。
名古屋はもともとインバウンド依存度が低かったため、
コロナ禍での下落幅が小さく、
その分回復が早かったと考えられます。
東区などの閑静な住宅街や、
利便性の高い久屋大通り周辺、
また割安感のある東海市(太田川駅周辺)などで高い上昇率が見られました。
- 地方圏・その他:特定要因による急上昇
- 福岡市:
再開発促進プロジェクト(天神ビッグバン等)の効果により、
商業地が10.6%という驚異的な上昇を見せました。 - 北海道(北広島市):
住宅地・商業地の上昇率トップ10の多くを、
札幌周辺の北広島市などが占めました。
これは「エスコンフィールドHOKKAIDO(ボールパーク)」の開業に伴う
周辺整備や期待感が大きく影響しています。 - 熊本県:
台湾の半導体大手「TSMC」の工場進出により、
菊陽町や光の森駅周辺で地価が急騰(20.8%上昇)。
大規模な雇用創出が住宅需要を押し上げています。
- 観光・物流のニーズの変化
- 観光地:
浅草(台東区)や熱海(静岡県)などでは、
人流の本格的な回復により、
店舗やホテルの用地需要が拡大しています。 - 物流施設:
コロナ禍で通販利用が定着したことにより、
高速道路へのアクセスが良い工業地の需要が続いています。
千葉県柏市の柏たなか駅周辺などがその代表例です。 - 明暗分かれる地方都市:
仙台市の一部(青葉区など)では、
まだ人流がコロナ前の水準に戻りきっておらず、
下落が継続している地点も見られました。
まとめ:不動産市場の「二極化」
現在の不動産市場は、
需要がある場所とそうでない場所の「二極化」が激しくなっています。
日本全体として地価は戻りつつありますが、
背景には「円安による割安感」や
「特定の産業誘致・再開発」といった個別要因が強く絡んでいます。
地価は銀行融資の評価ベースとなる経済の土台です。
地価がどこで、
なぜ変動しているのかを観察することは、
今後の経済動向を予測する上でも非常に重要です。
要約
- 全体像
- 2023年公示地価は全国で上昇地点が半数超。
コロナ禍の下落局面から回復し、上昇トレンドへ。
- 東京圏
- 23区は商業地・住宅地ともに全区で上昇。
都心3区は投資マインド回復、住宅地は台東・豊島・中野など交通利便エリアが牽引。
円安で外資に強い割安感が継続。
- 大阪圏・名古屋圏
- 大阪圏の商業地は3年ぶりに上昇へ。
ただし回復は東京より緩やか。
京都は観光回復で底堅い。
- 名古屋圏は商業地+3.4%、住宅地+2.3%と三大圏で相対優位。
インバウンド依存の低さが回復の早さに寄与。
東区・久屋大通、東海市(太田川)などが顕著。
- 地方・個別要因
- 福岡市:天神ビッグバン等の再開発で商業地+10.6%。
- 北海道(北広島市):ボールパーク開業効果で周辺が上昇率上位に。
- 熊本県(菊陽町・光の森):TSMC進出で住宅・商業が急騰(20%超)。
- 需要の質的変化
- 観光地(浅草・熱海等)は人流回復で店舗・ホテル用地が回復。
EC定着で高速IC至近の物流適地(柏たなか等)に継続需要。
- 一部地方中枢(仙台一部等)は人流回復が遅れ、下落地点も残存。
- 帰結
- 地価は「二極化」。
円安・外資マネー、再開発・産業誘致など個別要因が上昇を牽引。
投資・経営判断は地域別・用途別に分けて検討が必須。
この動画から得られること
- 市場把握:主要圏(東京・大阪・名古屋)と注目地方(福岡・札幌圏・熊本)の地価上昇要因
- 需要構造:観光回復、物流最適地、外資マネーと円安の影響メカニズム
- 個別要因:再開発・ボールパーク・半導体工場などの地価感応度
- リスク視点:回復遅延エリアの特徴と回復パス
- 実務指標:賃料トレンド、空室率、CAP、イールドギャップ、建設コスト
- 行動手順:データ収集→モデル化→ストレステスト→資金計画→DD→モニタリング
専門家の付加価値
- データと先行指標
- 10年国債利回り、
USD/JPY、
コアCPI、
建設工事費デフレーター、
用途別空室率・成約賃料(エリア別)
- 収益評価の目安(例)
- 都心レジ:CAP 3.0〜3.8%、出口+25〜50bp
- 準都心・郊外駅近:CAP 4.0〜5.0%
- 地方中核(駅近):CAP 5.0〜6.5%
- ストレステスト
- 金利+100bp、
賃料▲5〜10%、
建設コスト+10〜15%でもDSCR≥1.2、
LTV≤70%を維持
- 立地粒度(住宅)
- 駅徒歩≤10分、都心30分圏、生活利便、低ハザード。
転売時の流動性(平均売却日数)も事前確認
- 物流・商業のキーポイント
- 物流:IC至近・天井高・床荷重・EV台数、賃料改定条項
- 商業:人流回復データ(POS・モバイル位置)、テナントミックス再構成余地
- 個別テーマの見極め
- 再開発・産業誘致は一次効果(建設)と二次効果(常時雇用・消費)を分けて評価。
住宅需給と賃料上限の検証を併走
例え話
地価は「三本の川」が合流してできる流れです。
川1は需要(人流・雇用)、
川2は資金(金利・外資)、
川3は政策(再開発・規制)。
三本の水量が揃えば本流は太くなりますが、
どれかが涸れると流れは一気に細くなります。
合流点(個別要因)を見極めるのが肝要です。
視聴後アクション
- 1. 地域を選ぶ:関心エリアの地価・賃料・空室・人流データを1枚にまとめる
- 2. 仮説を立てる:再開発・産業誘致・観光・物流の有無と時系列(開始〜波及)を整理
- 3. 収益モデル化:賃料・稼働・CAP・出口利回り・金利の前提でDCF/還元法を作る
- 4. ストレステスト:金利・賃料・CapExの悲観条件でDSCRとLTVを確認
- 5. 資金計画:固定/変動のミックス、ヘッジ方針、借入先の当たりを取る
- 6. 現地確認:平日/休日・昼/夜で人流・生活利便・災害リスクを点検
- 7. DDを実行:法務・建物・環境・リーシングのチェックリストでリスクを洗い出し、是正計画を添える
運用の勘所
- 住宅は「駅距離・利便・ハザード・流動性」の4点セットで鑑別
- 商業は人流データとテナント再編の実現性、物流はIC距離とスペックで選別
- 建設コスト上昇を前提条件に、開発は予備費・遅延リスクを織込む
- 円安下の外資動向はヘッジコストと連動。
相対指標として監視
- 出口利回りは保守的に+25〜50bpで設計し、売却期間・コストを先に定義
地価は「需要・資金・政策」の合力で動きます。
データで仮説を置き、
ストレステストで耐性を確認し、
出口から逆算する。
この基本を守れば、
二極化の相場でも足元をすくわれません。
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