相続税の納税は金銭納付が原則ですが、
延納によっても金銭での納付が困難な場合に、
一定の要件を満たせば、
不動産で納税する物納という方法も選択できます。
今回は、物納の仕組みやメリット・デメリット、
手続きの流れ、注意点などについて説明します。

https://youtu.be/Y1xsVVREjVI

国税は金銭で納付することが原則ですが、
相続税に限り、
延納(分割払い)を利用してもなお金銭で、
納付することが困難な場合には、
納税者の申請によって、
その納付を困難とする金額を限度として、
一定の相続財産で納付する物納が認められています。

これは、
相続財産に不動産の割合が多く、
金銭が少ないケースのように、
相続税の申告期限内に、
納税資金を準備できない場合があるためです。

そして、
物納の対象となる財産は、
相続税の課税価格の計算の基礎となった相続財産のうち、
国内にある土地、建物、株式などに限られており、
物納に充てる順位も決められています。

物納を利用する場合には、
金銭での納付が困難な場合でも相続税を納付できる、
物納に充てる財産の譲渡所得税は非課税になる
などのメリットがありますが、
一方で、
物納に充てる財産の評価額が、
売買価格よりも低くなる可能性や
物納申請の手続きが煩雑である
などのデメリットを認識しておくことが重要です。

なお、
近年は物納の利用状況が変化し、
2020年以降は年間数十件程度にとどまっています。

減少傾向の背景には、
2006年の相続税法改正で物納の要件が厳しくなり、
流動性が低い財産の物納が困難になった
不動産市場の活性化により売却して現金化しやすくなった
相続税を最長20年間分割で支払う延納制度が普及し、
物納よりも比較的手続きが簡単な延納の利用が増加したこと
などが挙げられます。

引用
相続・贈与相談センターマガジン2025年6月号
不動産で相続税を支払う?知っておきたい物納の仕組み

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