事業承継と相続、
特に「長男に家業を継がせたい」という場合の注意点と対策について解説します。

父親と長男が共同で小さなスーパーを経営し、
他の兄弟姉妹は別の仕事に就いているというケースを想定します。
父親が
「事業資産である土地や建物をすべて長男に継がせたい」
と願っていても、
現在の民法では、
戦前の家督相続(長男が全財産を継ぐ制度)とは異なり、
すべての子供に平等な相続権が認められています。
そのため、
何の対策も講じなければ、
事業資産が分散してしまい、
経営の継続が困難になるリスクがあります。

この問題を解決するための第一歩は「遺言書」の作成です。
遺言書に
「スーパーの土地建物や経営に関する資産はすべて長男が相続する」
と明記することで、
名義変更の手続きなどをスムーズに進めることが可能になります。

ただし、
遺言書があっても
「遺留分(いりゅうぶん)」
の問題が残ります。

遺留分とは、
兄弟姉妹などの法定相続人に最低限保証されている遺産の受け取り分のことです。
もし長男が全資産を継ぐことで他の兄弟の遺留分を侵害した場合、
他の兄弟は長男に対して
「遺留分侵害額請求」
を行うことができます。
この請求は原則として「現金」で支払う必要があるため、
相続財産が土地や建物ばかりで現金が不足している場合、
長男は多額の支払いに窮することになります。
支払いができないと、
事業資産を共有にしたり、
最悪の場合は売却して廃業に追い込まれたりする恐れもあります。

こうした事態を防ぐための法的な救済策も存在します。
平成30年の民法改正により、
遺留分の支払いについて
「期限の猶予」
を裁判所に求めることが可能になりました(民法1047条の5)。
また、
適切な手続きを踏むことで、
遺留分の負担を軽減できる場合もあります。

事業承継は家族間の感情も絡む非常にデリケートな問題です。
「これまで共に苦労してきた長男に継がせたい」
という親の思いが、
他の兄弟の法的権利によって阻まれるケースは決して珍しくありません。
農家や老舗店など、
日本の伝統的な事業を守っていくためにも、
早い段階から税理士や相続に強い弁護士などの専門家に相談し、
万全の対策を立てておくことが重要です。

 

今回は、家族経営のスーパーを継がせる際に直面しがちな相続問題について
取り上げます。

Q:長男に継がせたい

私は長男と二人で小さなスーパーをやっています。
ほかの子供たちは別の道に進んでいますが、
スーパーの土地と建物は私のもので、
私が亡くなった後、
他の兄弟姉妹が相続を主張すると、
長男が困るかもしれません。
長男にスーパーを継がせたいのですが、
どうすればいいでしょうか?

A:遺言書を作成

現代の民法では、
家督相続のように長男だけが全財産を相続することはできません。

すべての子どもが相続権を持ち、
財産が分散されるリスクがあります。

そのため、
事業資産を守るためには、
遺言書を作成しておくことが、
とても重要です。

たとえば、
「スーパーの土地や建物、経営に関連する財産はすべて長男が相続する」
といった内容の遺言を残しておけば、
長男がスーパーの事業を引き継ぐことがスムーズに行えるでしょう。

遺留分の問題とは?

ただし、
長男以外の兄弟姉妹には「遺留分」があるため、
遺言だけでは彼らの相続権を完全に無視することはできません。

遺留分が侵害されたと判断された場合、
他の兄弟姉妹が長男に対して「遺留分侵害額の請求」を行うことができます(民法1046)。

ここで注意したいのは、
請求されると長男がその金額を現金で支払わなければならなくなる可能性があることです。

もし金銭で弁済できない場合、
事業資産が共有状態になるリスクもあります。

これでは事業継続が難しくなるかもしれませんね。

解決策はあるの?

平成30年の相続法改正により、
長男は遺留分侵害額の支払いについて、
「期限の猶予」を求めることができるようになりました(民法1047⑤)。

さらに、
長男が他の兄弟姉妹のために相続債務を弁済した場合、
求償権」を持つことが認められ、
遺留分侵害額を減らすことが可能です(民法1047③)。

つまり、
適切に準備をすることで、
遺産分割によって事業が立ち行かなくなるのを防ぎつつ、
家族全員の権利を守ることができるんです!

まとめ

事業継承は家族間での大きな課題です。
でも、しっかりと準備をすれば、
家族全員が納得できる形で事業を継続させることができます。
大切なのは、
「早めに動くこと」。

遺言書の作成や法的手続きの準備を進めて、
未来への道を切り拓いていきましょう!

記事の要約(専門家視点・MECE

- 論点(何が問題か)

  - 現行民法は家督相続ではなく子ども全員が平等。
 何も対策しないと、長男に家業(小規模スーパー)を集中承継させたい意向が、相続で分散・共有化し、
 経営継続が難しくなる。

- 基本解(まずやるべきこと)

  - 遺言書:事業資産(店舗の土地・建物・設備・在庫・屋号等)を長男へ集中承継させる旨を明記し、
     遺言執行者を指定。

- 詰めるべき論点(遺留分・資金)

  - 遺留分:他の兄弟姉妹の遺留分侵害額請求は原則「現金」での清算が必要。
     現金不足だと、共有化・売却・廃業リスクが高まる。
  - 救済規定:民法1047条の5により遺留分の「支払期限の猶予」を家庭裁判所に申し立て可能
      (資金繰りの時間を確保)。

- 実務の選択肢(資金・法務・組成)

  - 資金手当:事業継続資金+遺留分清算資金を生命保険(受取人=長男)・退職金・積立で確保。
  - 事業と不動産の分離:土地建物は親名義や資産管理会社で保有、事業会社(または個人事業)に賃貸し、
           承継の柔軟性を高める。
  - 遺留分放棄の公正証書化:他の兄弟が同意する場合、家庭裁判所許可付きで遺留分放棄を事前取得。
  - 法人成り(未法人の場合):会社化し、議決権の集中(種類株式)や持株分散設計で「経営権=長男、
              経済的価値=兄弟へ代償」も可能。
  - 家族信託:親の判断能力低下時も、受託者(長男)が事業資産の管理・賃貸を継続できる設計に。

- 結論

  - 遺言で集中承継の道筋を示し、遺留分の資金手当(保険等)、救済規定の活用余地まで織り込む。
 可能なら事業・不動産の分離や法人成りで共有化リスクを構造的に下げるのが現実解。

 

例え話

  事業承継は「バトンリレー」。
バトン(事業資産)を長男に確実に渡すには、
ルール(遺言)と走路確保(遺留分資金)、
転倒時の救済(支払猶予)を事前に整える必要がある。

 

この動画から得られること(学習・実践)

- 集中承継の基本パッケージ(遺言+遺言執行者)の作り方
- 遺留分侵害額請求の基礎と「現金清算」への備え(支払猶予の申立)
- 承継資金の作り方(生命保険・退職金・資産売却・借入の是非)
- 事業・不動産の分離、法人成り・種類株式等の使い分け
- 家族信託の活用で「認知症リスク下でも回る」運用体制を設計

 

視聴後アクションのやさしい解説(初学者向け)

- 今すぐやること

  - 資産の棚卸し:土地・建物・設備・在庫・運転資金・借入を一覧化。
  - 遺言の骨子作成:事業資産は長男、それ以外の按分方針、遺言執行者の候補。
  - 遺留分の概算:他の兄弟の遺留分額を試算し、清算資金の目安を把握。
  - 資金手当の方針:生命保険(受取人=長男)、退職金積立、金融機関との相談。
  - 体制検討:不動産と事業の分離、法人成りや家族信託の可否を専門家に照会。

- なぜ必要か

  - 廃業や共有化を防ぎ、相続発生後の混乱を最小化して、スムーズにバトンを渡せる。

 

専門家としての付加価値(実務チェックリスト/設計指針)

- 法務・相続設計

  - 公正証書遺言+遺言執行者/負担付条項(就業・競業避止・賃貸条件)/遺留分放棄の許可申立(必要に応じて)。

- 資金計画

  - 遺留分清算と運転資金の二段構え:生命保険・退職金・与信枠(コミットライン)・資産売却の優先順位。

- 組成・ガバナンス

  - 不動産と事業の分離(資産管理会社事業会社へ賃貸)、法人成り(未法人)、種類株式(議決権集約/配当調整)、株式の承継順序。

- 救済規定の実務

  - 民法1047条の5「支払期限の猶予」:申立要件・提出資料(資金繰り計画・事業継続性の説明)・審理の流れ。

- リスク管理

  - 認知症対策の家族信託(受託者:長男、受益者連続の設計)/保証・担保の取り回し(金融機関との事前協議)。

- タイムライン(目安)

  - 01カ月:棚卸し・試算・骨子
  - 23カ月:遺言・保険・与信方針の確定
  - 36カ月:組成(分離・法人成り)・就業規則整備
  - 以降:年次レビュー(遺留分・資金・評価の見直し)

 

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引用
税理士法人A to Y メルマガ 令和6年10月18日配信
【相続】事業継承と相続の問題:長男にスーパーを継がせるための方法とは?

税理士法人 A to Y
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