近年社会問題となっている
「空き家で火災が起きた場合の法的責任と損害賠償」について解説します。
- 増加する空き家と「遠距離管理」の難しさ
最近では、
親が亡くなった後、
都市部に住む子供が実家を相続し、
そのまま空き家になるケースが増えています。
山内税理士のクライアントでも、
大阪の実家を相続したものの、
遠方に住んでいるために管理が行き届かず、
地震で一部損壊した際に近隣住民からの連絡でようやく事態を把握した、
という事例がありました。
物理的に距離があると、
建物の劣化や防犯上の不備に気づきにくく、
トラブルの火種になりやすいのが実情です。
- 空き家火災の原因:最も多いのは「放火」
消防庁の統計(令和4年)によると、
建物火災の出火原因で最も多いのは「放火」および「放火の疑い」です。
これはタバコの火や焚き火による不始末を上回る数字であり、
特に人の気配がない空き家は狙われやすい傾向にあります。
空き家の火災は決して他人事ではありません。
- 空き家火災における「法的責任」と「重過失」
民法では、故意や過失によって他人に損害を与えた場合、
損害賠償責任を負うと定められています。
しかし、火災に関しては「失火責任法(失火法)」という特別な法律があり、
軽微な過失(うっかりミス)による失火であれば、
隣家への延焼について賠償責任を負わないとされています。
ただし、例外があります。
それが「重過失」と認められた場合です。
重過失(じゅうかしつ)とは
「わずかな注意を払いさえすれば避けられたはずの損害を、
漫然と見過ごしていた状態」を指します。
空き家管理において重過失と判断される例には、
以下のようなものがあります。
- 誰でも簡単に侵入できる状態で放置(鍵がかかっていない、窓が割れたまま等)
- 建物の周りに、見るからに燃えやすいもの(ゴミや枯れ草など)を放置している
このような状態で、
第三者によって放火された場合、
所有者に「管理責任の不備(重過失)」があるとして、
損害賠償責任を問われる可能性が非常に高くなります。
一方で、
「施錠はしていたが、
たまたま鍵が壊れていた隙に不良少年が侵入してタバコで失火した」というような、
予見が困難と判断されるケースでは、
責任が軽減される場合もありますが、
それでも管理実態が厳しく問われることに変わりはありません。
- 賠償責任以外に被る大きな損失
たとえ法的な賠償責任を免れたとしても、
火災を起こしたことによる損失は甚大です。
- 社会的信用の失墜:
近隣に多大な迷惑をかけるため、
その土地に住み続けることや戻ることが困難になり、
多くの方が引っ越しを余儀なくされます。 - 資産価値の下落:
火災(特に死者が出た場合など)が起きた土地は、
売却時に「心理的瑕疵(かし)」として告知義務が生じます。
噂なども相まって、
正当な価格での売却が極めて難しくなります。
- 空き家オーナーが取り組むべき対策
火災だけでなく、
ブロック塀の倒壊による歩行者の死傷事故なども所有者の責任となります。
これらを防ぐためには、
以下のような適切な管理が不可欠です。
- 定期的な現状確認:
建物やフェンス、ブロック塀に破損がないかチェックする。 - 不用品の処分:
室内外に燃えやすいものを置かない。 - 専門会社への依頼:
遠方で自ら管理できない場合は、
空き家管理サービスを利用して定期巡回を依頼する。
「将来売るつもり」であればなおさら、
資産価値を維持し、
近隣トラブルを防ぐためにも、
早め早めの対策を心がけてください。
要約
- 空き家化の進行と遠距離管理の限界
- 相続で実家が空き家化する事例が増加。
遠方管理は劣化や防犯不備を見落としやすく、事故・火災リスクが高まる。
- 出火要因の実像
- 消防庁統計では建物火災の主因は「放火・放火の疑い」。
人の気配がない空き家は標的になりやすい。
- 法的責任の枠組み
- 失火責任法により軽過失の延焼は原則免責。
ただし「重過失」があると所有者に損害賠償責任が生じ得る(管理不備=施錠なし・可燃物放置など)。
- 経済的・非経済的損失
- 法的賠償の有無にかかわらず、近隣関係の悪化、心理的瑕疵化による資産価値毀損が大きい。
- 実務解
- 定期巡回・施錠強化・可燃物の除去・専門会社の活用が基本。
売却・活用予定があるなら、早期の対策で価値を守る。
この動画から得られること
- 法律の枠組み:民法(不法行為・工作物責任)、失火責任法、空家等対策特別措置法の要点
- 重過失の判断軸:施錠・破損放置・可燃物管理・侵入容易性・周辺苦情の有無
- 経済インパクト:賠償・心理的瑕疵・固定資産税特例解除(特定空家等)の可能性
- 管理実務:巡回頻度、点検項目、是正の優先順位、外注の使い分け
- 保険設計:火災保険(空き家特約)、個人/施設賠償責任保険の適用範囲
- 行動手順:90日で整える「可視化→是正→予防」の実装フロー
専門家の付加価値
- 法的観点(抑える条文・論点)
- 失火責任法:軽過失延焼の免責。
ただし重過失は免責されない。
- 民法709条:不法行為責任(管理懈怠が損害と相当因果関係を持つか)。
- 民法717条:工作物責任(倒壊・落下等の瑕疵)。
管理受託者も責を問われ得る。
- 空家等対策特別措置法:特定空家等指定→勧告・命令・代執行、
固定資産税住宅用地特例の解除リスク。
- 「重過失」になり得るレッドフラグ(例)
- 施錠なし/破損放置(窓・扉が外れている)、
敷地内の可燃物堆積(枯草・古材・ゴミ)、
夜間照明ゼロ、
近隣からの度重なる注意喚起の無視、
侵入痕の放置。
- 管理のKPI(最低基準)
- 巡回頻度:月1回(遠隔なら四半期1回+臨時点検)。
雑草/可燃物の除去≤30日、
破損補修≤14日で手配。
- 侵入対策:全出入口施錠100%、
破損開口部の即日仮補修(板金・ベニヤ+ビス留め)。
- 記録:点検チェックシート・写真記録・是正履歴の保存(保険・紛争時の立証用)。
- 保険・費用感(目安)
- 火災保険(空き家特約付き):建物構造・立地により年数万円〜。
賠償責任特約の上限額は1億円目安を推奨。
- 個人賠償責任保険:特約で年間数千円〜(世帯包括型)。
貸家なら施設賠償責任保険を検討。
- 空き家管理サービス:月3,000〜10,000円(外観点検・通風・清掃等)。
除草/剪定は別途見積。
- 防犯補助:人感ライト・カメラ各1〜2万円/台、
郵便物転送・ポスト封鎖数千円。
- 行政・制度の活用
- 空き家バンク、
地域の防犯パトロール連携、
固定資産税特例解除の回避相談、
相続土地国庫帰属制度の適否検討。
例え話
空き家管理は「消火栓の水圧チェック」に似ています。
火が出てから慌てても水が出なければ意味がありません。
平時の点検(施錠・破損・可燃物)と記録が、
非常時の被害と責任を最小化します。
視聴後アクション
- 1. 現状を見える化:外周・開口部・可燃物・ブロック塀の状態を写真で記録し、
チェックリストに〇×を付ける。
- 2. すぐ直す:鍵交換、
破損窓の仮補修、
枯草/ゴミの撤去を今週中に手配。
- 3. 予防を入れる:人感ライト・簡易カメラ・ポスト封鎖・「管理中」掲示で侵入抑止。
- 4. 巡回を決める:毎月の点検日をカレンダー固定。
遠方なら管理会社に定期巡回を委託。
- 5. 保険を見直す:火災・賠償の補償範囲と保険金額を確認。
空き家特約の有無を必ずチェック。
- 6. 記録を残す:点検・是正・支払いの記録(写真・領収書)をクラウド保存。
万一の立証に備える。
- 7. 出口を検討:売却・賃貸・解体・国庫帰属の選択肢を比較し、年内に方針を一つに絞る。
運用の勘所
- チェック頻度:季節変わり目(乾燥期・台風前後)は臨時点検を追加。
- 近隣連携:連絡先を掲示/配布し、異変の通報ルートを明確化。
- 境界・外構:ブロック塀は高さ・控壁基準を確認し、危険なら早期改修か撤去。
- 可燃物ゼロ方針:枯草・古材・新聞・段ボールは置かない。
物置は施錠。
- 出口の前提整備:登記・相続関係書類・固定資産評価の整備で売却・賃貸の準備を並行。
火災リスクは「管理の見える化」で大半がコントロール可能です。
点検・是正・記録を一枚のチェックリストに落とし込み、
30・60・90日の検証サイクルで運用してください。
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