相続放棄の受理件数が年々増加しており、
最新の統計では年間28万件を突破しました。
今回は、最高裁判所事務総局が公表した
「令和5年度 司法統計年報(家事編)」
のデータをもとに、
相続放棄が急増している背景とその要因について解説します。
- 統計が示す相続放棄の推移
司法統計によると、
相続放棄の受理件数は以下の通り、
右肩上がりで推移しています。
- 2019年:225,416件
2020年:234,732件
2021年:251,994件
2022年:260,497件
2023年:282,785件
わずか5年の間に約6万件も増加しており、
相続放棄を選択する人が確実に増えていることがわかります。
- 急増の背景にある3つの要因
相続放棄が増え続けている背景には、
現代日本が抱える構造的な問題が深く関わっています。
① 高齢化社会に伴う相続件数自体の増加
高齢化が進むことで、
亡くなる方の数(死亡数)が増え、
それに比例して相続が発生する母数そのものが底上げされています。
② 管理不能な「負動産」の増加
かつては「資産」であった不動産が、
現在は管理や維持が困難な「負動産(ふどうさん)」となるケースが増えています。
地方の空き家や山林、
使い道のない土地など、
引き継ぐことでかえって固定資産税や管理責任といった負担を背負うことを避けるため、
相続放棄が選ばれています。
③ 借金や保証債務に対する防衛策
故人が残した借金や、
生前の保証債務などを引き継がないための防衛策としても、
相続放棄は広く利用されています。
プラスの財産よりもマイナスの負債が多い場合、
相続人の生活を守るための有効な手段となります。
- 「相続登記の義務化」による影響
2024年4月から施行された
「不動産の相続登記の義務化」も、
今後の件数に大きな影響を与えると考えられます。
これまでは放置されていた不動産も、
法律によって名義変更が義務付けられたため、
「名義を変えてまで所有し続けたくない」
「将来の負担を今のうちに断ち切りたい」
という心理が働き、
さらに相続放棄の件数を押し上げる要因となる可能性があります。
まとめ
相続放棄は、
個人の生活を守るための正当な権利です。
しかし、一度手続きを行うと、
家宝や思い出の品も含めて一切の財産を引き継げなくなるため、
慎重な判断が必要です。
相続放棄は
「自己のために相続の開始があったことを知った時」
から3か月以内に行う必要があります。
期限が迫っている場合や、
判断に迷う場合は、
早めに専門家へ相談することをお勧めします。
この動画から得られること(Learning Outcomes)
- 統計で読む相続放棄の増加要因(負動産・債務・登記義務化)
- 相続放棄の基本(効果・範囲・注意点)と限定承認の位置づけ
- 3か月ルール(熟慮期間)の起算・伸長申立・NG行為(処分・使用)の実務
- 負動産(空き家・再建築不可・山林)を含む場合の判断手順
- 相続登記義務化(2027/3/31の経過措置等)との関係と優先順位
- 実行用チェックリスト(資産負債棚卸→費用見積→家族合意→裁判所申述)
例え話(理解促進)
相続は「背負子に荷物を詰める登山」。
貴重品(資産)もあれば、重い石(負動産・借金)も混ざります。
出発前(3か月)に仕分け(放棄・限定承認)をしないと、
途中で足が止まります。
専門家としての付加価値(実務の要点)
- 放棄の効果は「初めから相続人でなかった」扱い=一切承継しないが、
単独処分等の“単純承認”に注意
- 熟慮期間:起算日は「相続を知った時」。
不明瞭なら伸長申立で時間を確保
- 限定承認:相続人全員で同時申述が要件。
財産目録の整備が肝
- 登記義務化:放棄を選ぶ場合は、義務は原則回避。
代襲・他相続人の負担も想定して合意形成
- 負動産:特定空家指定で税負担増の可能性。
放置せず棚卸→処分・管理委託も検討
チェックリスト(視聴者が実行)
1) 財産目録(資産:預貯金・不動産・保険/負債:借金・保証・滞納)を作る
2) 評価と費用見積(固定資産税・管理費・解体費・原状回復・相続税)
3) 家族会議(放棄or限定承認の合意/感情の共有と議事メモ)
4) 期限管理(起算日→3か月カレンダー/伸長申立の要否)
5) 裁判所申述(相続放棄/限定承認の書式・添付書類・郵券)
6) 放棄後の対応(遺留品・管理義務・債権者対応/利害関係者連絡)
視聴後アクション(CTA)
- 3か月カレンダーを作成し、財産目録テンプレで棚卸を開始
- 放棄/限定承認の判断は「資産−負債」「維持費」の試算で数値化
- 家族会議を設定し、合意メモと役割分担を明文化
- 不明点は家庭裁判所や専門家へ早期相談(伸長申立を忘れずに)
視聴者の意思決定を“感情”ではなく“手順と数値”で支援する構成です。
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引用
相続放棄は年々増加
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