遺言書は、
遺言者が亡くなった瞬間に法的効力を発揮します。
しかし、
その時点では本人の真意を直接確認する術がないため、
内容が不明瞭であったり、
改ざんが疑われたりすることは避けなければなりません。
そのため、
民法(第960条、第967条)では、
遺言が法的に有効とされるための厳格な方式が定められています。
今回は、
法律上の遺言として認められる方式の種類と、
それぞれの特徴、
そして遺言を作成すべきケースについて解説します。
- 普通方式による遺言の3つの種類
日常生活の中で作成される通常の遺言には、
主に以下の3つの形式があります。
- 自筆証書遺言:
全文、日付、氏名を遺言者本人が手書きし、
押印する方式です。
最も手軽ですが、
形式不備で無効になるリスクもあります。 - 公正証書遺言:
公証役場で公証人が遺言の内容を聞き取り、
公文書として作成する方式です。
法的な不備が起こりにくく、
原本が公証役場に保管されるため、
最も確実で安全な方法といえます。 - 秘密証書遺言:
遺言の内容を誰にも知られずに、
遺言書の存在だけを公的に証明してもらう方式です。
- 遺言書が必要となる具体的な場面
遺言がない場合は、
法律で定められた「法定相続分」に従って遺産を分けることになります。
しかし、
現実には「機械的に平等に分ける」だけでは解決できないケースが多く、
以下のような状況では遺言書の作成が不可欠です。
- 相続割合を指定したい場合:
法定相続分とは異なる配分で財産を分けたいとき。 - 相続人以外に財産を遺したい場合:
親族以外でお世話になった方や、
特定の団体に寄付したいとき。 - 「平等」では不都合な事情がある場合:
例えば、
長年親の介護を献身的に支えた子供と、
全く関わりを持たなかった子供がいる場合など、
本人の意思で報いたい相手がいるとき。 - 資産の種類が多く、分割が困難な場合:
複数の不動産や自社株などを所有している場合、
遺言がないと財産が細分化されたり共有状態になったりしてしまいます。
特定の資産を特定の人に「単独所有」させたいときには、
遺言による指定が極めて有効です。
- 様式の遵守と作成の意義
遺言書には、
方式ごとに法律で定められた厳格なルールがあります。
このルールを一つでも欠いてしまうと、
せっかくの遺言も「無効」となり、
本人の意向が反映されなくなってしまいます。
遺言を作成することは、
大切な財産を次世代へ適正に引き継ぎ、
家族間の争いを未然に防ぐための「最後のコミュニケーション」です。
大切な資産と家族の絆を守るためにも、
元気なうちに正しい知識を持って作成を検討されることを強くお勧めします。
【要約(MECE・専門家視点)】
- 遺言の法的前提
- 遺言は死亡の瞬間に効力発生。
真意確認が不可能なため、民法で厳格な方式(960条・967条等)が要求され、方式違反は原則無効。
- 普通方式の3類型(用途と特徴)
- 自筆証書遺言:全文・日付・氏名を自筆+押印。
手軽だが方式不備・紛失・改ざんリスク。
法務局保管制度を併用すれば検認不要・改ざん対策が可能。
- 公正証書遺言:公証人が公文書として作成。
検認不要・原本公的保管・無効リスク極小。
最も確実。
- 秘密証書遺言:内容秘匿のまま存在のみ公証。
保管は自己責任・死後は検認が必要。
内容のリーガルチェックは別途要。
- 遺言が必須となる代表場面
- 法定相続分と異なる配分をしたい(介護貢献・事業承継等を反映)。
- 相続人以外(内縁・長年の支援者・団体等)へ遺したい。
- 複数不動産・自社株など分割が難しい資産を特定人へ単独承継させたい。
- 作成の意義と遵守事項
- 遺言は「最後のコミュニケーション」。
方式(形式)を一つでも欠くと無効。
元気なうちに正しい形式で作成し、争いと手戻りを回避。
例え話
- 遺言の方式は、重要書類を海外へ送る「国際便の規格」。
規格(方式)を満たさない荷物は税関で止まり(無効)、
中身(意思)は相手に届きません。
規格に沿って梱包(作成)し、
追跡と保険(保管・検認不要の仕組み)まで整えるのが安心です。
【この動画から得られること(学習・実践)】
- 自筆・公正・秘密の3方式の違いと検認の要否/保管の仕組み
- 無効を防ぐ方式遵守の要点(自筆の必須要件、秘密の手順、公正の証人制限)
- 家族構成・資産構成別の最適方式の選び方
- 保管・通知・執行(法務局保管、公証役場保管、遺言執行者)の実務フロー
- 争い予防の工夫(付言事項、遺留分配慮、代償資金の手当て)
【専門家としての付加価値(実務チェックリスト)】
- 形式別の要点
- 自筆:全文自筆・日付・氏名・押印
/法務局保管で検認不要化
/訂正方法の厳格遵守
- 公正:検認不要・原本公的保管
/証人2名(資格制限あり)
/遺言執行者・予備受遺者・財産特定を明確化
- 秘密:封印・証人2名・公証役場手続
/内容は公証人不関与→専門家チェック必須
/死後検認必要・保管は自己責任
- 共通条項の勘所
- 財産の特定(地番・口座番号・銘柄)
/予備的受遺者
/遺言執行者の指定と権限(払戻・名義変更・第三者委任)
/付言(背景・家族への言葉)
- 争い予防
- 遺留分配慮(代償資金の手当て・保険活用)
/相続人以外への遺贈の趣旨説明
/所在と手続メモの家族共有
【視聴後アクション】
- 1枚に整理:家族関係図・財産目録・配分方針・候補方式・遺言執行者
- 相談予約:公証役場/法務局と、弁護士・司法書士へ事前相談
- 書類収集:戸籍・登記・評価証明・印鑑証明・本人確認書類
- 実行:方式に応じた手続(公正=役場作成、秘密=封印&公証、自筆=清書&法務局保管)
- 周知:所在・検認の要否・執行者連絡先を家族へ文書で通知
家族と資産を守る最短距離は、
「正しい形式の選択×無効回避の実務×保管と周知」の三位一体です。
今のご状況に合わせて一歩を進めましょう。
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引用
【相続】遺言の方式
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