【嫡出子・非嫡出子は「相続分が同等」】いつから、どこまで適用されるのか

【民法900条改正】嫡出子と非嫡出子の相続分が「平等」に。
新ルールが適用されるケースを解説

結婚している夫婦の間に生まれた子供を「嫡出子」、
そうでない子供を「非嫡出子」と呼びます。

かつては法律上、
この二者の相続分に差がありましたが、
現在は改正により「平等」となっています。
今回は、
この相続分に関する重要なルール変更とその適用範囲について解説します。

  1. 法改正の背景:相続分が「半分」から「同等」へ

以前の民法では、
非嫡出子の法定相続分は嫡出子の「半分」と定められていました。
例えば、
嫡出子が100万円相続する場合、
非嫡出子は50万円しか受け取ることができないという不平等なルールだったのです。

しかし、
平成25年(2013年)12月の民法改正により、
この格差は撤廃されました。
現在では、
嫡出子も非嫡出子も、
全く同じ割合の相続分を持つことになっています。

  1. 最高裁の「憲法違反」判決が転換点

この改正のきっかけとなったのは、
平成2594日の最高裁判所による決定です。
最高裁は、
「子供自身の努力では変えられない出自によって相続分に差をつけることは、法の下の平等を定めた憲法に違反する」
という判断を下しました。

この決定を受け、
民法が正式に改正されることとなりました。

  1. 新ルールはいつから、どの相続に適用されるのか?

実際にこの新しいルールが適用されるケースについては、
以下の通り整理されています。

  • 原則: 平成2595日以降に発生した相続(被相続人が亡くなった場合)に適用されます。
  • 遡及適用: 最高裁の決定により、平成13年(2001年)7月以降に発生した相続についても、遺産分割が未確定であれば新ルールに基づく主張が可能となっています。
  1. 具体的な適用ケースの分類

過去に発生した相続であっても、
現在の状況によって適用の可否が変わります。

  • 既に遺産分割が確定している場合
    既に遺産分割協議が成立している、
    あるいは審判・判決が確定している相続については、
    法的安定性を保つためにやり直しは行われません。
    当時のルールのまま確定となります。
  • 遺産分割がまだ終わっていない場合
    被相続人が亡くなったのが過去であっても、
    現在まだ遺産分割協議の途中である、
    あるいは協議が終わっていない場合は、
    新ルールが適用されます。
    非嫡出子であっても、
    嫡出子と同じ割合の相続分を主張することができます。
  • 一部の相続人が既に財産を受け取っている場合
    例えば、
    兄(嫡出子)が改正前の高い割合で既に預金を引き出してしまい、
    妹(非嫡出子)がまだ何も受け取っていないような場合、
    妹は兄に対して新ルールに基づいた不足分の支払いを請求できる可能性があります。

まとめ

家族の形が多様化する現代において、
子供の権利を平等に認めるこの改正は非常に重要な一歩です。
「過去の相続だから」
「非嫡出子だから」
と諦める必要はありませんが、
古い案件や権利関係が複雑なケースでは、
弁護士などの専門家に相談し、
適切な手続きを進めることが大切です。

全ての子供が平等に扱われるべきであるという改正の趣旨を理解し、
正しい知識を持って相続に臨みましょう。

相続分って何?

まず、「相続分」とは、
遺産を相続するときの取り分のことです。

家族が亡くなったとき、
誰がどれだけ遺産をもらえるのかを決める重要なポイントですね。

何が変わったの?

平成25年12月、
民法が改正されました。
この改正で嫡出子(結婚している夫婦の子)と
非嫡出子(結婚していない夫婦の子)の相続分が同じになりました。

以前はどうだったのかと言うと、
以前は、
非嫡出子の相続分は嫡出子の半分でした。
たとえば、
嫡出子が100万円もらえるなら、
非嫡出子は50万円しかもらえなかったんです。

いつから適用されるの?

この新しいルールは、
平成25年9月5日以降に、
発生した相続に適用されます。

☆最高裁の決定も重要!

実は、
平成25年9月4日に最高裁判所が、
「非嫡出子の相続分を半分とするのは憲法違反だ!」
と判断しました。

この決定により、
平成13年7月以降の相続についても、
非嫡出子は嫡出子と同じ相続分を主張できるようになりました。

じゃあ、過去の相続もやり直し?

そこが気になるところですよね。

既に遺産分割の協議や裁判が終わっている場合は、
そのままです。
法律の安定性を保つため、
過去の確定した相続には影響を与えません。

未確定の相続は新ルールが適用されます。
まだ遺産分割の協議が終わっていない場合や、
無効な協議があった場合は、
新しいルールが適用されます。

具体的な例で見てみましょう

ケース1:相続が確定している場合

兄(嫡出子)と妹(非嫡出子)がいて、
お父さんが亡くなりました。
遺産分割協議が終わり、
兄が2/3、妹が1/3の財産を受け取ったとします。

この場合、
相続は確定しているので、
やり直しにはなりません。

ケース2:相続が未確定の場合

同じ兄妹で、
まだ遺産分割協議が終わっていない場合。
妹は兄と同じ割合の相続分を主張できます。

ケース3:一部だけ受け取った場合

兄が改正前の割合(2/3)で預金を引き出し、
妹はまだ受け取っていない場合。
妹は兄に対して、
不足分を請求できる可能性があります。

どうすればいいの?

・既に相続が終わっている場合:

特に何もしなくて大丈夫です。

・これから相続が始まる場合:

新しいルールを前提に話し合いましょう。

・未確定の相続がある場合:

専門家に相談して、適切な手続きを進めましょう。

まとめ

この改正によって、
すべての子どもが平等に相続できるようになりました。
家族の形が多様化する中で、
とても大切な一歩です。

参考:民法第900条の改正

改正前(平成25年12月11日まで)

第900条【法定相続分】

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、
各自の相続分は、
相等しいものとする。
ただし、
嫡出でない子の相続分は、
嫡出である子の相続分の2分の1とし、
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、
父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

改正後(平成25年12月11日以降)

第900条【法定相続分】

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、
各自の相続分は、
相等しいものとする。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、
父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

記事の要約(MECE・専門家視点)

- 何が変わったか(民法900条のポイント)

  - 旧ルール:非嫡出子(婚姻外の子)の法定相続分は嫡出子の1/2

  - 現行ルール:嫡出子・非嫡出子の相続分は「完全に同等」。

  - 根拠:最高裁大法廷(平成2594日)が差別規定を憲法違反と判断同年12月に民法改正。

- 適用範囲(いつの相続に適用されるか)

  - 原則適用:平成2595日以降に開始した相続。

  - 遡及適用:平成13年(2001年)7月以降に開始した相続で、遺産分割が未確定なら新ルールで主張可能。

- ケース別の取り扱い

  - 既に協議・審判・判決が確定:やり直し不可(法的安定性を優先)。

  - 未分割・係争中:新ルール適用で「平等の相続分」を主張可。

  - 一部が先に取得済み:未調整分について不足分の清算・請求が生じ得る。

- 実務での論点(証拠・手続・留意)

  - 子の身分関係の確認(認知・嫡出否認の有無、戸籍の連続性)。

  - 未確定の相続では評価・範囲・寄与分・特別受益の整理も同時進行。

  - 諸手続は非公開の調停が軸。合意形成が難しければ審判で確定へ。

- 結論

  - 過去の相続でも未確定なら平等ルールが適用可。
確定済みは維持。
まずは「相続開始日」「確定の有無」を起点に適用可否を判定し、次に評価・清算・手続へ進むのが現実解。

例え話

  - 旧ルールは「片側に偏った秤」でした。
最高裁の判断で秤が調整され、
今は左右が同じ重さで釣り合う設計に。
未確定の相続なら、
あらためて正しい目盛で量り直せます。

この動画から得られること(学習・実践)

- 相続分平等化の法的根拠と適用範囲(原則・遡及)の理解

- 自身の事案が「新ルール適用可」かを判定する手順

- 未分割相続の評価・清算・合意形成の進め方

- 調停・審判で必要な資料、論点の整理の仕方

- 適用外(確定済み)案件でのリスク説明と対応の勘所

視聴後アクションのやさしい解説(初学者向け)

- 今すぐやること

  - 相続開始日を確認:死亡日で「適用の原則・遡及」の対象か判定。

  - 状態を分類:分割が「確定/未確定」を整理。未確定なら新ルールで再設計。

  - 身分関係の資料集め:戸籍一式、認知の事実、出生から現在までの連続性。

  - 評価と不足分の見取り図:不動産・預金の評価方法と清算額の概算。

  - 進め方の選択:家族会議合意が難しければ家庭裁判所調停へ。

- 何が得られるか

  - 自分の事案で新ルールを主張できるか即時に判断できる。

  - 必要資料と手続の流れが明確になり、無駄な対立や手戻りを防げる。

専門家としての付加価値(実務チェックリスト/実装指針)

- 適用可否フロー

    ①死亡日の特定
→②分割の確定有無
→③未確定なら新ルール適用
→④評価・清算の計画
→⑤調停条項案の作成。

- 身分・証拠

  - 戸籍(出生から現在の連続)、認知・養子縁組の有無、父母関係の確認、必要に応じDNA鑑定の検討。

- 評価・清算

  - 基準時点・方法(相続開始時/現時点の評価は論点に応じ選択)、特別受益・寄与分の整理、預金出入の実質調査。

- 手続・条項

  - 調停条項例:持分・代償金・支払期限・利息・不履行時対応、不動産登記・金融払戻しの実行期限を明記。

- リスク管理

  - 確定済みの安定性、時効・除斥期間が関係する個別債権(不当利得等)の可能性、費用対効果の事前評価。

- 用語配慮

  - 実務では「婚姻外の子」等の中立的表現を基本とし、説明時の配慮を徹底。

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引用
税理士法人A to Y メルマガ 令和6年11月26日配信
【相続】嫡出子も非嫡出子もみんな平等に!相続分の改正について

税理士法人 A to Y
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