2023年3月下旬に国土交通省から発表された「公示地価」について、
今年の動向とポイントを絞って解説していきます。

  1. 公示地価の全体像:2年連続の上昇と回復

2023年の公示地価は、
全国平均で2年連続の上昇となりました。
全用途の全国平均は前年比1.6%増となっており、
上昇地点も全体の半数を超えています。
これは、地価がコロナ前の水準へと鮮明に回復しつつあることを示しています。

特に注目すべきは、
上昇率がリーマンショック前(2008年)の1.7%に迫る水準まで戻ってきた点です。
住宅地・商業地ともに上昇幅が拡大しており、
不動産市場の活気が戻っていることが伺えます。

  1. エリア別の動向:都市部と地方の格差

地価の動向をエリア別に見ると、以下のような特徴があります。

  • 3大都市圏(東京・大阪・名古屋):
    住宅地は平均1.7%、
    商業地は2.9%上昇しました。
    東京23区においては全ての区で上昇を記録しています。
  • 地方4市(札幌・仙台・広島・福岡):
    住宅地は8.6%、
    商業地は8.1%と非常に高い上昇率を維持しています。
    これらの中核都市は10年連続で上昇が続いています。
  • その他の地方圏:
    地方の商業地が3年ぶりに上昇に転じたほか、
    住宅地も28年ぶりに上昇へと転換しました。
    主要都市だけでなく、
    地価回復の波が地方にも波及し始めています。
  1. 日本一高い地点はどこか?

公示地価の最高額地点は、
例年大きな変動はありません。

  • 商業地:
     17年連続で東京都中央区銀座の「山野楽器銀座本店」がトップです。
    1
    平方メートルあたり5,380万円という驚異的な価格です。
  • 住宅地:
     6年連続で東京都港区赤坂(1-14-11)がトップとなり、
    1
    平方メートルあたり512万円でした。
  1. 「一物四価」と実勢価格

土地の価格には、
今回の「公示地価」のほかに
「基準地価」
「路線価」
「固定資産税評価額」があり、
これらを合わせて「一物四価」と呼びます。
公示地価は公共事業の取得価格の基準となる客観的な指標ですが、
実際の売買価格(実勢価格)を合わせると
「一物五価」とも言われます。
投資を検討する際は、これらの指標の差を理解しておくことが重要です。

  1. 今後の見通しと「二極化」

現在の市場は、
需要がある場所とそうでない場所の「二極化」が非常に激しくなっています。
投資家目線では、
円安の影響もあり、
海外勢から見て日本の不動産は依然として「割安」に映っています。
1
億円程度の物件であっても、
大都市としては安いと判断され、
海外マネーの流入が地価を押し上げる要因の一つになっています。

一方で、人口減少が著しい県では依然として地価が下落し続けている地点もあり、
国内でも格差が広がっています。
地価は「生物(なまもの)」であり、
景気や政策、さらには統計的な傾向(干支による相場の格差など)にも影響されます。

結論

公示地価の動きをしっかりと定点観測することで、
売買のタイミングを見極める大きな目安になります。
今回の回復傾向を一つの参考にし、
今後の投資戦略に役立てていただければと思います。

要約

- 全体像
  - 2023年公示地価は全国平均で2年連続上昇(前年比+1.6%)。
 上昇率はリーマン前(2008年)の+1.7%に迫り、住宅・商業とも回復が鮮明。

- エリア別動向
  - 三大都市圏:住宅+1.7%、商業+2.9%
       東京23区は全区上昇。
  - 地方4市(札幌・仙台・広島・福岡):住宅+8.6%、商業+8.1%と高水準で10年連続上昇。
  - その他地方:商業地は3年ぶり上昇、住宅地は28年ぶりの上昇転換。
       回復の波が地方へ波及。

- 最高額地点
  - 商業地:東京都中央区銀座(山野楽器銀座本店)5,380万円/㎡で17年連続首位。
  - 住宅地:東京都港区赤坂1-14-11、512万円/㎡で6年連続首位。

- 価格指標
  - 一物四価(公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額)+実勢価格=「一物五価」。
 投資判断は各指標の差異理解が前提。

- 見通し
  - 円安で海外投資家に「割安」認識が継続。
 一方で人口減少エリアは弱含み。
 需要の強弱による「二極化」が一段と進行。

 

この動画から得られること

- 市場把握:全国・三大都市・地方4市・その他地方の上昇要因と差異
- 指標理解:公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価・実勢価格の使い分け
- 二極化の構造:人口動態・雇用・再開発・外資流入が地価へ与える影響
- 評価フレーム:賃料仮説・稼働・CAP・出口利回り・金利前提の立て方
- リスク管理:金利・資材・政策変更に対するストレステストと耐性指標
- 実務行動:データ収集
     →モデル化
               →資金計画
               →DD
               →
モニタリングの一連手順

 

専門家の付加価値

- 先行指標
  - 10年国債利回り、
     USD/JPY、
     コアCPI、
     建設工事費デフレーター、
     空室率・成約賃料(エリア別)

- 収益評価の目安(例)
  - 都心レジ:CAP 3.03.8%
                      出口利回りは取得+2550bpで設計
  - 準都心・郊外駅近:CAP 4.05.0%
  - 地方中核駅近:CAP 5.06.5%

- 財務KPI
  - LTV 6570%以内、
    DSCR≥1.2(ストレス後)、
    固定/変動ミックスで金利リスク分散

- ストレステスト(最低3点)
  - 金利+100bp
 /賃料▲510%
 /CapEx1015%でもDSCR維持

- エリア粒度(住宅)
  - 駅徒歩≤10分、
    都心30分圏、
    生活利便・低ハザード、
    流動性(平均売却日数)

- 一物四価の使い分け
  - 取得時:公示・基準地価で妥当性検証、
                 路線価で相続・節税影響確認
  - 保有時:固定資産税評価のコスト管理、
                 実勢価格は成約事例で都度補正

 

例え話

地価の把握は「地図と高度計」を併用する登山に似ています。
地図(公示地価・路線価などの基準値)で進路を定め、
高度計(実勢価格)で現在地を補正する。
どちらか一方では安全に山頂(収益確保)へ到達できません。

 

視聴後アクション

- 1. データを集める:対象エリアの公示地価・路線価・実勢成約・空室率・賃料を1枚に整理
- 2. 仮説を置く:賃料・稼働・CAP・出口利回り・金利の前提を定義
- 3. モデル化:収益還元/DCFで価格帯と利回りを試算
- 4. ストレスチェック:金利・賃料・CapExの悲観条件でDSCR・LTVを検証
- 5. 現地確認:平日/休日・昼/夜で人流・利便・ハザードを点検
- 6. 資金設計:固定/変動比率とヘッジ方針を決め、複数行に見積依頼
- 7. DDを実施:法務・建物・環境・リーシングのチェックリストでリスク洗出しと是正計画

 

運用の勘所

- 二極化下の原則:駅距離・利便・低ハザード・流動性を優先。
                              需給が弱い地点では過度なレバレッジを避ける
- コスト前提:建設コスト上昇を織込み、保有・改修CapExの予備費を確保
- 政策感応:金融政策・税制・経済安保のイベントカレンダーを持ち、仮説を随時更新
- 出口から逆算:出口利回り+2550bp・想定売却期間・売却コストを先に定義
- 指標の整合:公示地価の動向と実勢のズレは成約事例で補正し、時差の影響を意識

 

公示地価は「地図」、実勢価格は「現在地」。
両輪で市場を可視化し、
評価軸とKPIを決め、
ストレステストで耐性を確認すれば、
回復局面の二極化にも対応できます。

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