国が発行する債券「国債」とは? 相続時の評価と取り扱いのポイント

今回のテーマは、相続財産の中に「国債」があった場合の取り扱いや、
そもそも国債とはどのような仕組みなのかについてです。
特に投資初心者や昭和世代の方々には馴染み深い国債ですが、
相続においては注意すべき点がいくつかあります。

  1. 国債の基本的な仕組みと種類

国債とは、
国が公共事業などの資金をまかなうために発行する「債券」です。
簡単に言えば、
国が投資家(国民や銀行など)から借金をするための証書です。
国が元本と利息を保証しているため、
非常に安全性が高い投資先として知られています。

国債には大きく分けて3つの種類があります。

  • 利付国債:
     半年ごとに利息を受け取ることができ、
    満期(償還時)になると元本が全額戻ってくるタイプです。
  • 割引国債:
     利息分があらかじめ額面から差し引かれた価格で発行され、
    満期時に額面金額を受け取ることで、
    その差額が利益となるタイプです。
  • 個人向け国債:
     利付国債の一種ですが、
    購入対象が個人に限定されています。
    発行後1年を経過すれば、
    国が中途換金を保証しているのが大きな特徴です。
  1. 「国の借金」にまつわる誤解

よくメディアで
「国の借金が膨らみ、国民一人あたり数百万円の借金を背負っている」
といった表現がなされますが、
これは不正確な煽りだと言わざるを得ません。

本来、国債は「国が国民(銀行や個人)から借りているもの」です。
つまり、国民にとっては「資産(貸しているお金)」です。
ギリシャなどの他国で起きたデフォルト(債務不履行)と異なり、
日本の国債はその90%以上が国内で保有されています。

また、国の財政を考える際には、
借金(負債)だけでなく
資産(インフラや外貨準備など)を含めた「バランスシート」で見る必要があります。
多くの行政組織では、
民間企業のような減価償却(資産価値を年々減らして計上する処理)が
適切に行われていないこともあり、
帳簿上の数字が実態を正しく反映していない側面もあります。
こうした「数字のマジック」に惑わされず、
正しく実態を把握することが、
賢い投資判断には不可欠です。

  1. 相続財産としての国債の取り扱い

国債は「相続税」の課税対象となる財産です。
相続が発生した場合には、
以下の2つのいずれかの方法を選択することになります。

  1. 名義変更: 亡くなった方から相続人へ名義を書き換えて、そのまま保有し続ける。
  2. 中途換金: 国債を解約して現金化し、その現金を相続する。
  1. 相続時の評価額の計算方法

相続税の計算における国債の評価額は、種類によって異なります。

  • 利付国債:
     「相続発生日の最終価格」+「既経過利息(前回利払い日から亡くなった日までに発生した利息)」で評価します。
  • 割引国債:
     「相続発生日の最終価格」で評価します。
  • 個人向け国債:
     「額面金額」+「既経過利息」-「中途換金調整額」で評価します。

中途換金調整額とは、
満期前に解約する際に差し引かれる調整金のことです。
個人向け国債は、
通常の利付国債と異なり、
相続発生時に1年を経過していなくても中途換金が可能です。

  1. 相続実務における注意点

国債には「最低購入単位」があります。
そのため、複数の相続人で均等に分けようとしても、
単位未満の端数が出てしまい、
物理的に分割できないケースがあります。

相続人間で国債をどう分けるか、
あるいは換金して現金で分けるかなど、
遺産分割協議で揉めないためには、
あらかじめ「誰が国債を引き継ぐか」を遺言書等で決めておくことが、
最もスムーズな解決策となります。

まとめ

国債は、
元本割れのリスクが極めて低く、
投資初心者にとって手堅い選択肢の一つです。
相続が発生した際も、
評価方法が明確であり、
手続きも比較的わかりやすい財産といえます。

ただし、相続人の数や分割の方法によっては、
事前の準備が必要になることもあります。
メディアの過度な不安を煽るような情報に惑わされることなく、
国債の特性を正しく理解し、
計画的な相続対策を心がけましょう。

要約

- 国債の基礎
  -
国債は国が発行する債券。
    元本と利息の支払いが国により保証され、相対的に安全性が高い。
    主な種類は利付国債、割引国債、個人向け国債。

- 誤解と実態
  -
「国の借金=国民一人あたり負担」はミスリード。
     国債は国民・金融機関が保有する国への貸付。
     国内保有が大半で、国の財政はバランスシートで把握すべき。

- 相続の基本手続
  -
相続時は「名義変更」または「中途換金(現金化)」を選択。
    個人向け国債は相続発生時は1年未満でも中途換金が可能。

- 評価方法(相続税)
  -
利付国債:相続発生日の最終価格+既経過利息
  -
割引国債:相続発生日の最終価格
  -
個人向け国債:額面+既経過利息−中途換金調整額

- 実務上の留意点
  -
最低購入単位があり等分割しにくい。
   遺言等で承継先を明確化すると分割が円滑。
   既経過利息の取り扱い、名義変更・換金の期限管理も重要。

 

この動画から得られること

- 国債の種類と相続に関係する特徴(換金性・安全性)の正しい理解
-
国債の相続税評価式(利付・割引・個人向け)の使い分け
-
名義変更/中途換金の判断フレームと必要書類の全体像
-
最低単位による等分困難への解決策(遺言・換金・代償分割)
-
「国の借金」報道を鵜呑みにしない、資産負債の見方

 

例え話

国債は「座席指定の列車」に似ています。
発車(満期)まで待てば快適に目的地(償還)へ着きますが、
途中下車(中途換金)するなら手数料(中途換金調整額)がかかることもある。
複数人で同じ指定席を均等に分けられないように、
最低単位ゆえに等分が難しい場面がある

——この前提を知って計画を立てると、
相続の混乱を避けられます。

 

専門家としての付加価値

- 評価・手続のミニ・フローチャート
  1)
種類の特定:利付/割引/個人向け(目論見書・残高報告で確認)
  2)
評価日確定:相続発生日=被相続人の死亡日
  3)
評価算定:
     -
利付=最終価格+既経過利息
     -
割引=最終価格
     -
個人向け=額面+既経過利息−中途換金調整額
  4)
分割方針:名義継続/換金/代償分割(最低単位を先に試算)
  5)
手続実行:必要書類収集金融機関で名義変更or換金

- 手続に必要な主書類(例)
  -
被相続人の死亡診断書(又は除籍謄本)、相続人の戸籍一式、遺言書(検認済)又は遺産分割協議書、相続人の本人確認書類、国債の取引機関情報(証券会社・銀行)

- 税務の留意点
  -
既経過利息は相続財産に含めて評価。
    後日支払われる利息の按分処理は明細を確認(金融機関の処理方針に従い差異が出やすい)。
  -
相続税の申告期限(原則10か月)から逆算して評価・分割・手続を前倒しで進行。

 

視聴後アクション

- 具体ステップ
  1)
国債の保有先を特定(証券会社・銀行・郵便局)し、残高・種類を一覧化
  2)
相続発生日を確定し、評価に必要な「最終価格」「既経過利息」の取得方法を確認
  3)
最低購入単位を踏まえ、名義継続/換金/代償分割の3案で分割シミュレーション
  4)
必要書類(戸籍・遺言・協議書・本人確認)をチェックリストで収集開始
  5)
税理士・金融機関窓口に相談し、申告期限から逆算した実行スケジュールを確定

- 用語の簡潔説明
  -
既経過利息:前回利払日から死亡日までに発生した利息。相続財産に算入。
  -
中途換金調整額:満期前換金時に差し引かれる調整金。個人向けは相続時に1年未満でも換金可。

 

補助資料

- チェックリスト(抜粋)
  -
国債の種類・額面・満期・利払日
  -
評価日(死亡日)時点の最終価格入手先
  -
既経過利息の算定・明細確認
  -
最低単位と分割案(代償分割の有無)
  -
名義変更or換金の手続先・必要書類・期限

- 相談テンプレ(要点)
  -
件名:国債の相続評価・手続に関するご相談
  -
本文:相続発生日、国債の種類・額面・保有機関、分割希望、申告期限、確認したい論点

 

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