「停止条件付の遺贈」における相続税の計算について
今回は「停止条件付の遺贈」をテーマに、
例えば「結婚することを条件に住宅を遺贈する」といった
遺言があった場合の相続税の計算について解説します。
- 停止条件付の遺贈とは
「停止条件付の遺贈」という言葉は、
あまり聞き馴染みがないかもしれません。
具体的な例を挙げると、
被相続人(亡くなった方)のAさんが
「娘のBさんが結婚したら、住宅を遺贈する」という
遺言を残して亡くなった場合などがこれにあたります。
この場合、
相続発生の時点でまだBさんが結婚していない(条件が満たされていない)とき、
相続税の計算において住宅を誰が取得したことになるのかがポイントとなります。
- 条件が満たされるまでの扱い
民法第985条第2項には、
「遺贈に停止条件がある場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺贈は、条件が成就した時からその効力を生ずる」と定められています。
つまり、条件が満たされるまでは、
その住宅は誰のものでもない「未分割の財産」として扱われます。
そのため、一度は法定相続分に従って相続人全員で申告を行う必要があります。
- 条件が成就した後の手続き
その後、Bさんが実際に結婚して条件が成就した場合、
その時点で初めてBさんが住宅を取得したことになります。
これに伴い、以下のような精算手続きが発生します。
- 新たに納税義務が発生する方(Bさん)
条件が成就した日を「相続の開始があったことを知った日」とみなし、
その日から10ヶ月以内に相続税の申告を行います。 - 税額が減少する方(他の相続人)
Bさんが住宅を取得したことで、
自身の取得割合が減り、
相続税額が下がる相続人がいる場合は、
条件が成就した日から4ヶ月以内に「更正の請求」を行うことで、
納めすぎた税金の還付を受けることができます。
このように、停止条件付の遺贈がある場合は、
条件の成就前後で二段階の手続きが必要になる可能性がある点に注意が必要です。
「停止条件付の遺贈」について、
「停止条件付」ってなんだか難しそうですが、
今回は「結婚を条件に住宅を遺贈する」という具体例をもとに解説していきます。
質問の事例
Aさんが亡くなる前に、
「娘Bが結婚したら住宅(甲)を遺贈する」と遺言を残していた場合、
相続税の計算では、
いったい誰がこの住宅を取得したことにするのでしょうか?
ポイントは「結婚する」という条件が、
まだ満たされていない時点で遺言の効力が、
まだ有効でないという点です。
まだ条件(結婚)が満たされていない間は、
「未分割の財産」として扱い、
法定相続分に従って申告します。
その後、
条件が成就したら修正申告などをして最終的に精算します。
「いつ相続したことになるの?」
とモヤモヤするかもしれませんが、
まだ条件を満たしていない財産を
「とりあえず保管しておこう」
ということになります。
詳しい解説
☆停止条件の効力発生:
・民法上(民法985条2項)、停止条件がある場合は、
その条件が満たされたときに効果が生じます。
・つまり、Bさんが結婚した時点で初めて、
「住宅甲を取得した」ということになります。
☆相続税の取り扱い:
・条件が成就するまでは、
住宅甲は「未分割」財産として扱います。
・そして、ひとまず「相続人全員の法定相続分」で、
取得したものとみなして課税額を計算します(相基通11の2―8)。
・もし遺産分割協議で「住宅甲は将来Bにあげるよ」
という話が明確にまとまっているなら、
その通りに申告しても大丈夫です。
☆条件が成就(Bさんが結婚)した後:
1.修正申告
・すでに相続税の申告をした人が、
実際の取得内容(Bさんが住宅甲をもらう)と合わなくなった分を修正します。
2.新たに申告が必要な人
・条件が成就して初めて相続税の納税義務が発生した人は、
「その条件が成就した日」=「相続開始を知った日」として、
そこから10か月以内に申告書を出しましょう(相基通27―4⑼)。
3.更正の請求
・条件が成就した結果、
他の相続人の取得割合が減って、
相続税が下がる場合には、
その日から4か月以内に更正の請求が可能です。
押さえておくポイント
1.条件が満たされるまで「未分割財産」として普通に相続税申告をする。
2.条件が満たされたら、あらためて修正申告や更正の請求をする。
という流れを踏めば大丈夫です。
記事の要約(MECE)
- 定義
- 停止条件付の遺贈=「ある条件が成就したら効力が生じる遺贈」。
例:「娘Bが結婚したら自宅を遺贈」。
- 条件成就までの扱い
- 民法985条2項:条件は成就時に効力発生。成就前は当該財産は未分割として扱い、相続人は一旦「法定相続分」で相続税申告を行う(一次申告)。
- 条件成就後の手当て(精算)
- 条件成就時に初めて受遺者(例:B)の取得が成立。
- 新たに納税義務が生じる者(B):成就を知った日の翌日から10カ月以内に相続税申告。
- 税額が減る相続人:成就日から4カ月以内に更正の請求で還付を受ける。
- 留意点
- 二段階の手続(一次申告→成就後の精算)が前提。評価や書類・スケジュール管理を誤ると加算税リスク。
この動画から得られること(Learning Outcomes)
- 仕組み理解
- 停止条件付遺贈の法的位置づけ(民法985条2項)/未分割扱い→精算という二段階構造
- 期限と手続
- 一次申告(法定相続分)→条件成就後の新規申告(10カ月)/更正の請求(4カ月)の起算点
- 評価・書類の実務
- 一次申告の評価・明細、成就後の評価(原則、成就時の時価が課税価格)、分与に関する審判・合意文書の保存
- リスク回避
- 期限管理ガントチャート、相続人間の役割分担、過少申告加算税・延滞税を避ける事前準備
- 応用論点
- 条件が長期にわたる場合の年次点検、財産の保全(保険・管理)と評価変動の記録、納税資金の先行確保
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例え話
停止条件付の遺贈は「鍵付きの保管箱」に似ています。
相続で箱は引き継がれますが、
鍵(条件成就)が回るまで中身は誰のものにもなりません。
いったん仮の台帳(法定相続分で申告)に載せ、
鍵が回った時の中身の価値で最終精算する、
という流れです。
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専門家としての付加価値(実務の勘所)
- 期限管理の型
- 成就通知の受領日=起算日の証拠化(郵便物・書面・メールの保全)。10カ月/4カ月をカレンダーに反映し、逆算で評価・書類作成のマイルストーンを設定。
- 評価の線引き
- 不動産は成就時点の路線価/時価評価。市場動向により差が出るため、比較可能な資料(成約事例・査定書)を添付。
- 書類と証拠
- 一次申告書控・未分割財産の明細、条件内容が分かる遺言書写し、成就の事実を示す資料(例:婚姻届受理証明)を体系的にファイル。
- 税額試算と資金
- 受遺者側は新規税額の概算→納税資金(預貯金・物納・延納の可否)を前もって検討。減額側は更正の請求の根拠と添付を整理。
- 相続関係の整理
- 条件不成就時の帰属先(予備受遺者・残余財産条項)を確認。相続人間の争点を減らすため、事前の合意書・議事録作成が有効。
視聴後アクション
- まず流れを紙に書く
1) 「一次申告(法定相続分)→条件成就→受遺者の新規申告(10カ月)/他相続人の更正請求(4カ月)」と時系列で整理。
- 証拠をそろえる
2) 遺言書写し、一次申告控、成就の証明(例:婚姻届受理証明)をファイル化。
- 評価と資金の準備
3) 成就時点の不動産評価を依頼し、受遺者は納税資金の目途を立てます。減額側は更正請求の下書きを作成。
- 専門家に相談
4) 税理士(申告・更正)、司法書士(名義変更)、弁護士(紛争回避)の順で早めに確認しましょう。
手順と期限を押さえれば、
条件付遺贈は怖くありません。
今日から段取りを整えて、
ミスのない精算を進めましょう。
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