新型コロナウイルスの流行など、
外部環境が激変する中で、
不動産投資のあり方も大きな転換期を迎えています。
不動産は一過性の資産ではなく、
短くても35年、
相続対策であれば1530年という長期スパンで保有するものです。
そのため、現在の状況だけでなく、
将来の環境変化を予測することが欠かせません。

不動産において最も重要な要素は「人」です。
人が住み、利用することで初めて価値が生まれます。
今回は、投資の成否を分ける「人口動態」の現実について掘り下げます。

加速する人口減少の衝撃

平成282016)年当時の総務省の推計では、
2050
年に日本の人口は約1億人になると予測されていました。
しかし、現実はその予測を大幅に上回るスピードで減少が進んでいます。

  • 出生数の推移:
    平成28年に初めて100万人を割り込んだ出生数は、
    令和元年には約86万人、
    令和2年には約84万人と急減しています。
    わずか5年間で約13.6万人も減少しており、
    当初2050年時点の予測として出されていた数字が、
    わずか10年後には現実のものとなるほどのペースです。

こうした状況にもかかわらず、
政府の「少子化対策」は成果を上げているとは言えません。
そもそも「少子化対策」という言葉自体が、
少子化を前提とした響きを持っており、
本来であれば「人口増加策」に舵を切るべきではないでしょうか。

「人生100年時代」と死亡者数の推移

一方で、死亡者数は年間約130万人から140万人台で推移しています。
令和32021)年には一気に145万人まで増加しました。
「人生100年時代」と言われますが、
平均寿命の延びは医療技術の向上によって乳幼児死亡率が低下した影響も大きく、
高齢者が一律に100歳まで生きるという予測には慎重な見極めが必要です。

変化する世帯構造と不動産への影響

2040年には単身世帯が全体の40%に達すると予測されています。
晩婚化や未婚率の上昇、
高齢者の単身化が進む中で、
ファミリー向け物件の需要は変化していくでしょう。

また、少子化は教育機関の経営を圧迫し、
大学の統合や廃校が加速します。
これまで「学生街だから安心」とされてきた学生向け物件も、
今後は供給過剰(飽和状態)になるリスクを孕んでいます。

「建てれば入る」時代の終焉

かつては「アパートを建てれば入居者は入る」
「不動産を買えば老後は安心」という時代がありました。
しかし、人口が急減し、
空室リスクが高まるこれからの時代に、
無条件での投資はあり得ません。

  • 戦略の転換:
     これからは「賃貸住宅を建てない」という選択肢を含めた、
    新しい土地活用の策を練る必要があります。
  • 現場の声を知る:
     管理会社や仲介業者の担当者から、
    入居者が今何を求めているのか(高速インターネットの完備など)といった最新のニーズを常に吸い上げ、
    物件の価値を維持・向上させる努力が求められます。

結論:リアルな現実を認識し、未来を見通す

不動産投資に「掘り出し物」や「淡い期待」は通用しません。
今の数字だけを見るのではなく、
そのエリアの数年後の人口推計を冷静に分析し、
経営戦略を立てる必要があります。

「都会だから安心」という思い込みを捨て、
物件の立地や構造、リノベーションの可能性まで含めた緻密な戦術を練ること。
もし将来的な売却を考えているのであれば、
買い手が減少する前に早めに動くことも、
重要な戦略の一つです。

現実の数字から目を逸らさず、
未来を見越した判断を行うことこそが、
これからの不動産投資における成功への道筋となります。

要約

- 前提(時間軸の現実)
  -
不動産は35年、相続対策は1530年の長期保有が前提。
    現状ではなく「将来の需給」を読むことが必須。

- 人口動態の急変
  -
出生数は2016年に100万人を割り、2020年に約84万人まで急減。
    減少ペースは従来推計を上回る。
  -
死亡数は145万人規模に増加。
  「人生100年」は平均の話であり、生活実感と乖離しやすい。

- 世帯構造の変化
  - 2040
年に単身世帯が約4割。
    ファミリー比率は低下へ。
    大学の統合・廃校で学生需要の縮小も加速。

- 投資含意(神話の終焉)
  -
「建てれば入る」「学生街だから安心」は崩壊。
    人口減と空室リスクの高まりで、投資は事業設計が前提。

- 実務への落とし込み
  -
エリア将来人口・世帯構成・年齢別ピラミッドを起点に、
     商品(間取り/設備)・賃料帯・出口(売却タイミング)の整合を検証。
  -
土地活用は「建てない」選択肢(売却・暫定利用・分割・借地など)を含め再設計。

 

本動画のポイント

- 出生・死亡・単身化・学生需要の指標と読み方
-
将来人口商品設計賃料出口の一気通貫フレーム
-
学生街・郊外・都心で異なる勝ち筋と撤退基準
-
「建てない」土地活用と早期売却の判断軸

 

 

この動画から得られること

- 指標理解
  -
将来人口(総数・年齢別)/世帯構成(単身・ファミリー)/大学定員・偏差値帯の再編動向の捉え方

- エリア選定
  -
人口増減率・働く場・交通アクセス・生活利便の定量化と閾値設定

- 商品設計
  -
単身4割時代の間取り・通信・防音・収納・共用の優先順位

- 賃料戦略
  -
地域の賃料分布×設備補正でのレンジ決定と改定ルール

- 出口・代替策
  -
早期売却のトリガー/「建てない」活用(暫定利用・借地・分割・駐車場/ソーラー等)の比較

専門家の付加価値(実務テンプレート)

- デモグラ・スクリーニング(三段階)
  - 1
次スクリーニング:市区町村の将来人口増減率(IPSS/自治体推計)±0%を境にA/B/C区分
  - 2
次:年齢別人口(2039歳、65歳以上)と世帯構成(単身・ファミリー)比率
  - 3
次:就業地・大学定員・大規模雇用の新設/撤退計画

- スコアカード(例:100点満点)
  -
将来人口(20点)/単身比率(15点)/交通アクセス(15点)/生活利便(10点)/雇用集積(15点)/既存供給・空室(15点)/治安・災害(10点)基準点未達は見送り

- 学生街リスク評価
  -
定員/実充足率の推移、志願倍率、学部再編計画、近隣新築供給、学校間合併の公表資料

- 商品設計の優先度(単身系)
  -
通信(高速Wi-Fi)>防音・断熱>水回り更新>収納・照明>宅配BOX・セキュリティ

- 賃料レンジ決定

  - 成約分布×設備補正で中央値±レンジを設定、更新時は±3/年を上限に段階調整

- 出口・代替の選択肢
  -
早期売却(安定化NOI×想定Capで逆算)
     駐車場・トランク・ソーラー等の暫定利用
    借地・戸建分割・区分化

- KPI/トリガー
  -
稼働率<92%が3期連続賃料・商品・募集強化を即時実施
  -
将来人口の下方改定・大学統廃合公表売却検討会の招集
  - DSCR
1.2予見金利固定化・借換え・返済条件見直し

 

視聴後アクション

- 将来人口を確認する
  - IPSS
(国立社会保障・人口問題研究所)か自治体の推計で、
    対象エリアの総人口と年齢別の変化を1枚にまとめます。

- 世帯構成をチェックする
  -
単身・ファミリーの比率を調べ、予定している間取りと合っているかを見直します。

- 学生需要の先行きを見る
  -
近隣大学の定員・倍率・統合計画を公式資料で確認し、
    学生向けの賃貸に過度に依存していないか点検します。

- 賃料レンジを決める
  -
成約データから中央値を出し、設備差で±をつけた現実的な賃料を設定します。

- 出口を先に決める
  -
売却か長期保有かを明記し、売却価格の目安(NOI×想定Cap)と時期の目標を決めます。

- 「建てない」選択肢も比較する
  -
暫定利用・借地・分割・売却の収支を1枚に並べ、建築案と同じ土俵で比較します。

 

例え話

 ため池に水が入らなければ、
どれだけ立派な堤防でも機能しません。
出生数という水源を見ずに賃貸を計画すれば、
いずれ干上がります。
まず水量計(人口推計)を見るべきです。

 

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