【評価の可視化が不可欠】社会貢献と資産形成を両立する「インパクト投資」の特徴と課題

今回は、近年注目を集めている「インパクト投資」について、
その概要からメリット、
そして投資家が注意すべきリスクまでを解説します。

  1. インパクト投資とは何か?

一般的な投資は、
企業が将来生み出す利益を予想し、
そのリターン(配当や値上がり益)を期待して資金を投じるものです。
それに対し「インパクト投資」は、
金銭的なリターンだけでなく、
その企業が社会や環境に与える
「インパクト(影響)」も考慮して投資を行う手法を指します。

主な対象は、以下のような社会課題の解決に取り組む企業です。

  • 環境保全:
     再生可能エネルギーの開発や提供
  • 社会貢献:
     貧困対策、教育支援
  • 持続可能性:
     SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する事業
  1. なぜ今、注目されているのか

背景には、
産業革命以来の経済発展が地球環境に与えてきた負荷への反省があります。
「環境を犠牲にしてでも産業を成長させる」
というこれまでのあり方を見直し、
社会貢献と資産形成を両立しようとする姿勢が評価されています。

日本国内の市場も急拡大しており、
2016
年に337億円だった投資額は、
2021
年には約13,204億円にまで成長したと言われています。

  1. インパクト投資が抱える4つの課題とリスク

注目度が高まる一方で、
投資として考える際には冷静な視点が必要です。

  1. 評価の可視化と客観性の欠如
    「社会に貢献している」という数値をどのように測定するのかが不明確です。
    客観的な基準が定まっていないため、
    企業間の比較が難しく、
    マスコミの報道に惑わされやすい側面があります。
  2. 市場の未熟さ
    伝統的な投資先には数十年の歴史がありますが、
    インパクト投資はここ数年で盛り上がった分野です。
    市場が成熟していないため、
    予測不可能なリスクが伴います。
  3. 財務的リターンの低下
    社会・環境的利益を重視しすぎるあまり、
    肝心の財務的な利益(儲け)が疎かになる可能性があります。
    「流行り」に乗ることと、
    長期的な資産形成は別物です。
  4. 資金の流動性(回収の遅さ)
    社会課題の解決は一朝一夕には成し遂げられません。
    インパクト投資は超長期の運用を前提とするため、
    2
    3年で結果を求める投資には向かず、
    リターンの回収が非常に遅くなる傾向があります。
  1. 投資家が持つべき「批判的な視点」

SDGsへの取り組み」と謳っていても、
実態が伴っているかを確認する必要があります。
例えば、
再生可能エネルギーのために森林を伐採して太陽光パネルを設置するような事業に、
本当の意味での持続可能性(サステナビリティ)があるかは疑問です。

また、
証券会社やマスコミが特定のテーマを煽る際は、
自身の成績や利益誘導が目的であることも少なくありません。
投資の本質として
「誰もが自分の利益のために動いている」
という認識を持ち、
背景にあるストーリーを自分で勉強することが不可欠です。

結論:インパクト投資との向き合い方

インパクト投資は素晴らしい理念ですが、
それだけで資産を増やそうとするのは現実的ではありません。
あくまでポートフォリオの一部、
つまり「自分に合った比率」にとどめておくのが鉄則です。

投資を検討する際は、
自分の利益だけでなく、
真に親身になってアドバイスをくれる専門家
(ときには「それはやめておきなさい」と止めてくれる人)
を見つけることが、
失敗しないための「羅針盤」となるでしょう。

要約

- 定義と対象
  - インパクト投資=金銭リターンに加え、社会・環境への好影響(インパクト)を意図して資本を投じる手法。
    主な対象は再エネ、教育・貧困対策、SDGs/ESG関連事業。

- なぜ注目か}
  - 産業発展の負荷に対する反省と「社会貢献×資産形成」の両立志向。
    国内市場規模は2016337億円→2021年約1.32兆円へ急拡大。

- 主要メリット
  - 資本で社会課題解決に参画できる
 /ESGリスクを意識した長期的レジリエンス
 /投資家の非財務ゴール(価値観)との整合。

- 4つの課題・リスク
  - 可視化の難しさ:インパクト測定・比較の客観性が未整備(指標・検証のバラツキ)。
  - 市場未熟:データ蓄積が浅く、テーマバイアスや規制変更リスクが大きい。
  - 財務リターンの希薄化:社会価値を重視し過ぎるとROE/IRRが低下しやすい。
  - 流動性の低さ:成果創出に時間を要し、資金回収は超長期前提。

- 結論(使い方)
  - インパクト投資はポートフォリオの一部に留め、測定・開示を精査したうえで採択。
    理念先行に流されず、財務リスク・流動性・規制を織り込んだ配分が必須。

例え話

 インパクト投資は「土づくりから始める林業」に似ています。
植林(資金投下)直後に大木(リターン)は得られません。
成長を測る物差し(土壌データ・樹高計測=測定指標)と、
間伐・下草刈り(継続モニタリング)があって初めて、
森(社会価値と財務価値)が育ちます。

専門家としての付加価値

- 測定フレームの確認
  - 目標設定:IMPACTImpact Management Project)の5次元(何を・誰に・どれほど・追加性・リスク)。
  - 指標整合:IRIS+SDGターゲット、PCAF(排出量)などの標準指標との整合性を確認。
  - 追加性・因果:投資がなければ起きなかった変化か(追加性)、
                             結果が投資の因果か(アトリビューション)を検証。
  - バリュエーション:財務KPI(売上・EBITDA・キャッシュフロー)と
                                    非財務KPI(CO2削減/教育到達度等)の両建て。

- デューデリの要点
  - ガバナンス:インパクト・スラッジ(看板倒れ)防止の社内体制、第三者監査の有無。
  - 規制・地域:環境アセス、許認可、用地・住民合意の確度。
                         メディア・政策リスクをシナリオ化。
  - 流動性:ロック期間・出口想定(IPO/トレードセール/配当回収)と資本コスト。

- ポートフォリオ設計
  - 上限配分の基準:全体の5〜15%目安(年齢・資産規模・流動性需要で調整)。
  - 補完関係:コアは低コスト分散(全世界株等)、衛星にインパクトを配置。
                      相関の低さを検証。

この動画から得られること

- インパクト投資の定義・対象・市場動向
- 測定・開示の国際フレーム(IMPACT/IRIS+等)の読み方
- 財務リターンと非財務KPIを両立させる評価設計
- デューデリジェンス(ガバナンス・規制・流動性)の要点
- ポートフォリオ内の配分上限とコア・サテライト設計
- テーマ煽りに対する検証手順(追加性・アトリビューション・第三者監査)

視聴後アクション

- 目的を言語化する
  - どんな社会課題に、どの水準の金銭リターンで、どれくらいの期間資金を置くかを1枚に書く。

- 候補を3件選ぶ
  - 各ファンドの指標(IRIS+等)・追加性・第三者監査・ロック期間・出口を表で比較する。

- 配分上限を決める
  - 総資産に対し515%の範囲で上限比率を設定。
     残りは低コスト分散をコアにする。

- モニタリングを仕組み化
  - 半期に一度、非財務KPIと財務KPIの達成率をチェック。
    乖離が大きい場合は縮小・入替を検討。

- 専門家の目を入れる
  - サステナビリティと財務の両面がわかる専門家に、デューデリ項目とレポートの妥当性をレビュー依頼。

- テーマ煽りをチェック
  - メディア・販売側の主張は一次資料(招集通知・アニュアルレポート・監査報告)で裏取りする。

 まずは「測定と配分」を決めましょう。
今日、目的と上限比率(515%)を明文化し、
候補ファンド3件の指標・追加性・出口を一覧化。
半期モニタリングの日程をカレンダーに登録してください。
理念で選ばず、指標と数字で選ぶ
——
それが、社会貢献と資産形成を両立する最短ルートです。

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