氣になった言葉や頭の中にふっと沸いた言葉を調べて、
改めてその言葉の意味を感じるシリーズ。
言葉は言靈であり、言葉は行動を伴う。
言葉にすることで、未来を実現する方向に自分を導いてくれる。
だからこそ、言葉の意味をしっかりと感じ、
丁寧に目に見える世界ではなく、
目に見えない世界を大切にする。
そういう意味でも、言葉の意味をしっかりと五感と第六感で味わい感じる。

非理法権天(ひ・り・ほう・けん・てん)
楠木正成がその旗に記したという。
非は理に勝たず、
理は法に勝たず、
法は権に勝たず、
権は天に勝たず。
という話しに基づく。
人事はつまるところ天の命のままに動くもの、
天を欺くことはできないとの意。
非(ヒ・あらず、そしる)
解字
指事
飛ぶ鳥の羽が左右にそむきあっているさまを示す。
そむく意をとって、
否定の意を表した。
字義
①わるい。正しくない。よくない。不正。 対義語 是
➁そしる。せめる。とがめる。非難する。「非を打つ」。
③あやまり。きず。欠点。いつわり。つみ。罪悪。
④あらず。命名や理由を否定する語。「・・・でない」にあたる。
⑤否定または反対の意味を表す接頭辞「非民主的」。
理(リ・おさめる、ことわり)
解字
形声
里が音を表し、
治からきている。
玉を厲(みが)き治めるの意。
字義
①おさめる。おさまる。ととのえる。ただす。ものごとのすじみち。正しくおさめる。
➁みがく。玉をみがきおさめる。
③つくろう。「修理」
④みち。ひとのふみおこなうべき道。「義理」
⑤宇宙の本体。対義語 氣。
⑥すじ。すじみち。「条理」。
⑦ことわり。「道理」。
⑧きめ。㋑あや。気のもくめ。「木理」。㋺皮膚のきめ。「膚理」。
⑨さが。天性。
⑩たのむ。
⑪たのもしい。
⑫なかだち。 媒介。
⑬つかい(使)。
⑭みめかたち。容貌。
⑮たちいふるまい。容止。
⑯さとる。
法(ホウ、ハッ、ホッ・のり、おきて)
解字
形声
キョウまたは去の転音が音を表し、
ふせぐ意の語原(拒)からきている。
法のもと、堤防で囲まれた水の平らかなさまの意。
借用して、公平に訴訟をさばく意。
ひいて、標準・法律の意。
字義
①のり。てほん。かた。
➁おきて。きまり。「法規」。
③てだて。しかた。「方法」。
④礼儀作法。
⑤のっとる。てほんとする。
⑥かたち。形相。
⑦仏教で道の意味に用いる。「説法」「仏法」。
⑧割り算で割る方の数。除数。
権〔權〕(ケン、ゴン・おもり)
解字
形声
雚(かん)が音を表し、
黄色の意の語原からきている。
黄色の花の木の意。
はかりの分銅で懸けるものであるから、
ケンの音をもつ、そこで、同音の権を分銅の意に借りた。
ひいて、かりの意。
分銅はまた軽重を支配するものであるところから威権・権勢などの意に用いられる。
新字体はその略語。
字義
①おもり。はかりのおもり。
➁はかり物の重さをはかる器具。
③はかる。物の目方をはかる。
④めかた。軽重の標準。
⑤つりあい。物事のつりあい。「権衡」。
⑥はかりごと。「権謀」。
⑦いきおい。ちから。物事を思い通りに処置する威力。「威権」。
⑧かり。そえ。かりそめ。正に対する副の意。
⑨かねる。「権官」。
⑩はじめ。はじまり。おごり。「権輿」
天(テン・あめ)
解字
仮借
人のもっとも上にある大きな頭(顚)を示し、
これを借りて、
人間界の上にあるものを意味した。
古代人は、人間界の上に万物を支配する神(帝)がいると信じたので、
天はまた造物主の意となり、
その宗教心がうすれると、
大空とめぐりあわせとを意味することになった。
また、人為に対するなりゆきの意。
字義
①そら。おおぞら。てん。
➁万物を支配しているもの。造化。造物主。
③時節。気候。「天候」。
④正義。真理。
⑤人為・人工に対して、天然・自然の道。
⑥帝王または帝王に関する敬称。「天照」。
⑦いただき。うえ。
⑧うまれつき。「天才」。
⑨めぐりあわせ。運命。「天理」。
⑩人間界の上にある世界。
⑪キリスト教で、神のいる所。「天国」。
⑫一日のこと。「今天」。
〈国訓〉あめ・あま
楠木正成
鎌倉時代末期から南北朝にかけての部将。
南朝の守護神 大楠公。
元弘の乱で後醍醐天皇を奉じ、
鎌倉幕府倒幕に貢献した。
三徳(智・仁・勇)兼備の和朝最大の部将と太平記で評価されている。
道鏡事件を解決した和気清麻呂と共に、
現在も皇居を守護している。
非は理に勝るあたわず、
理は法に勝るあたわず、
法は権に勝るあたわず、
権は天に勝るあたわず、
天は明らかにして私なし。
仁が無い者は北朝に寝返り、
勇が無い者は死を恐れてかえって死罪に合い、
智が無い者は時流の変遷を理解できず道理のない振る舞いばかりしていたなかで、
楠木正成は、智仁勇を兼ね備え偉大な死にざまをした者はいない。
そして、ある意味、義に準じたともいえるかもしれない。
残念なことだが、
今は権が私している時代。
それを選んだ民の責任でもあるのだが。
天からの天罰が権にも民にも下るしかないのか...。
もう一度天の声を訊ける権に立ち戻ることが、
可及的速やかに必要となっている。
要約
- 企画意図(シリーズの前提)
- 気になった言葉を辞書で調べ、言葉の意味を「理解」ではなく「体感」し直す。
- 言葉は言霊であり、言葉にした内容が行動と未来の方向性を決める、という立場を取っている。
- 中核テーマ(非理法権天とは何か)
- 非理法権天は、楠木正成が旗印に記したとされる語で、
- 非は理に勝たず
- 理は法に勝たず
- 法は権に勝たず
- 権は天に勝たず
という秩序観を示す。
- 言葉の分解(各文字の意味領域)
- 非:正しくない、否定、そむく、非難など
- 理:筋道、道理、整える、磨く(玉を治める)など
- 法:規範、標準、法律、方法、公平に裁くなど
- 権:はかり(分銅)を語源に、軽重を支配する力、威権、権勢、仮の意など
- 天:万物を支配するもの、正義・真理、自然の道、運命、天理など
- 歴史的人物の位置づけ(楠木正成)
- 智・仁・勇を兼ね備えた武将として評価され、義に殉じた存在として描写される。
- その精神性を、現代の政治や社会の在り方への問題意識(権の私物化)に接続している。
- 現代への問題提起(結論)
- 現代は「権が私している時代」であり、それを選んだ民の責任もある。
- 天の声を聴ける権(公のための統治)へ早急に立ち戻る必要がある、という主張で締めている。
例え話
非理法権天は、
組織の
意思決定における
「優先順位表」に
似ています。
感情的な
否定(非)より
道理(理)、
道理より
ルール(法)、
ルールより
権限(権)が
強く働く
場面があっても、
最後は
自然の摂理や
公正(天)を
欺けない、
という警告
として
機能します。
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