相続が始まった時、先ず行うのが相続財産の確定と相続人の確定です。
このうち、相続財産の確定においては、
相続財産となるものを特定し、
その評価額を算出した上で相続税を計算する作業が発生します。
何故、アパートやマンションを建てることが、相続対策になるのでしょうか?
そのあたりの解説も交えて、『相続財産の評価』について説明します。

土地や建物などの不動産の評価は国税庁が定めた評価方式で

相続財産には、
預貯金や不動産のほか
さまざまな種類があります。
このうち、
すでに金額が明らかな現金や預貯金以外については、
改めて金額を特定しなければなりません。
これを『相続財産の評価』といいます。
相続財産の評価額は、
国税庁が定めた『財産評価基本通達』というルールに基づいて計算し、
その『相続税評価額』を基に、
相続税を計算します。

ここでは、特に複雑な不動産や株式、保険金の相続財産の評価方法について説明します。

◎不動産の評価方法

ほとんどの財産が相続開始時点での換金価値で相続税評価額を算出するのに対して、
土地や建物は国税庁が定めた評価方式で評価を行います。
土地の場合は、
路線価(その道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額)が定められている地域であれば、
これを基にした『路線価方式』で計算します。
路線価は毎年7月に国税庁から公表され、
公表年の1月1日から1月31日までの土地の相続税評価額に用いられます。

路線価が定められていない場合には『倍率方式』というその土地の固定資産税評価額に、
一定の倍率を乗じる方法で計算します。

また、建物の場合は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

一般的に、相続税の算出に使われる路線価は、
公示地価(公共事業用地の取得価格の算定基準であり、
一般の土地の取引価格の指標となる土地価格のこと)の8割程度とされており、
売買価格よりも低い金額になる傾向にあります。

有価証券の評価方法と生命保険の権利の評価方法

◎有価証券の評価方法

有価証券には、株式や社債・手形や投資信託の証券などが含まれます。
原則として、
相続税評価額は相続開始時の時価で評価されますが、
有価証券は種類により評価方法が異なります。

たとえば上場会社の場合、
1,被相続人の死亡日の終値、
2,課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
3,課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
4,課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
という4つの値を比較した上で、
最も低い金額が評価額となります。

一方、非上場会社の場合は市場価格がついていないため、
過去の配当実績などから算出されます。
有価証券の算出方法は複雑なので、
専門家に依頼した方がよいでしょう。

◎生命保険契約に関する権利の評価方法

通常、生命保険などは、加入していた生命保険を途中で解約すると、
解約返戻金が戻ってきます。
それと同じ様に、被相続人が自分以外の人を被保険者として積立式の生命保険に加入し、
死亡した場合には、
加入者である被相続人が亡くなった日に解約した場合の解約返戻金に相当する額が評価額なります。
解約返戻金相当額がわからないときは、
契約先である生命保険会社に問い合わせましょう。

相続税額を計算する上で財産の評価はとても大事ですが、
評価が難しい相続財産もあります。
手続きに時間が掛かるものもありますので、
早めに対策を取っておくことをお勧めします。

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