今回は、ドラマのような世界が実際に起こり得る「相続権の剥奪」について、
現代の法律制度である「相続欠格」と「相続廃除」の違いを詳しく解説します。
- 歴史に見る相続権の剥奪
戦国時代の歴史などを見ると、
嫡男(跡継ぎ)を廃して
別の子供に家督を継がせる「廃嫡(はいちゃく)」という言葉が登場します。
例えば、武田信玄が嫡男の義信を廃し、
四男の勝頼(厳密にはその息子)に家督を継がせた事案などが有名です。
現代においても、
これに類する「相続権を奪う制度」が法律で定められています。
それが「相続欠格」と「相続廃除」です。
- 自動的に権利を失う「相続欠格」
「相続欠格」とは、
相続人が極めて悪質な行為を行った場合に、
本人の意思や家庭裁判所の判断に関わらず、
法律上当然に相続権を失う制度です。
主な該当理由は以下の通りです。
- 重大な犯罪行為:
被相続人(亡くなった人)や、
自分と同等以上の相続順位にある人を殺害、
あるいは殺害しようとして刑に処せられた場合。 - 殺害の隠ぺい:
被相続人が殺害されたことを知りながら、
告訴や告発をしなかった場合
(ただし、是非善悪の判断ができない子供や、
殺害者が自分の配偶者・直系血族である場合は例外です)。 - 遺言の妨害・強要:
詐欺や脅迫によって、
被相続人に遺言を書かせたり、
撤回・変更させたりした場合。 - 遺言書の偽造・隠匿:
遺言書を偽造、変造、破棄、あるいは隠匿した場合。
欠格事由に該当すると、
その人は最初から相続人でなかったものとみなされます。
当然、遺留分(最低限の取り分)も認められません。
ただし、欠格者に子供がいる場合は、
その子供が「代襲相続」として権利を引き継ぐことになります。
- 被相続人の意思で排除する「相続廃除」
一方で「相続廃除」とは、
被相続人が「この人には相続させたくない」という意思を家庭裁判所に申し立て、
認められた場合に相続権を剥奪する制度です。
廃除が認められる理由
- 相続人から虐待を受けていた。
- 相続人から重大な屈辱(侮辱)を受けていた。
- 相続人に著しい非行があった
(例:多額の借金を親に肩代わりさせ続ける、
親の財産を勝手に処分する、犯罪を繰り返すなど)。
相続廃除は、
生前に家庭裁判所へ申し立てるか、
遺言書にその旨を記しておくことで手続きが可能です。
なお、廃除の対象となるのは「遺留分を有する相続人(配偶者、子、父母)」に限られます。
遺留分のない兄弟姉妹については、
遺言書で「譲らない」と書くだけで実質的に排除できるため、
わざわざ廃除の手続きをする必要はありません。
- 実際にあった相続トラブルの事例
山内税理士が実際に経験した、
ある深刻な事例を紹介します。
【事例:放蕩息子と妹の策謀】
ある家庭の長男が、
父親の財産を勝手に処分して自分の借金返済に充てたうえ、
最終的にコンビニ強盗を犯して服役するという事件が起きました。
激怒した父親は家庭裁判所に申し立て、
この長男を「相続廃除」にしました。
これで解決かと思われましたが、
後日、別の問題が浮上します。
嫁いでいた妹が、
入院中で認知症気味の父親のもとへ弁護士を連れて現れ、
自分に有利な内容に遺言書を書き直させたのです。
妹は立ち会った親族に対し
「お兄ちゃん(長男)の分も私が受け取って、後で分けるから」
と説得して判を突かせましたが、
実際には資産価値の高い物件を独占するような、
非常に荒っぽい手法でした。
このように、
親族間であっても、
多額の財産を前にするとドラマを凌駕するようなトラブルが現実味を帯びてくるのです。
- 争いを防ぐ「思い」を込めた遺言書
相続におけるトラブルや悪知恵を未然に防ぐために、
最も重要なのは「遺言書」です。
遺言書は、
単に「誰に何を何分の一」と数字だけを並べる事務的な書類ではありません。
なぜそのような配分にしたのか、
どのような思いで子供たちを育て、
財産を遺したいと考えたのか、
という「付言事項(ふげんじこう)」を書き添えることが非常に大切です。
親の真意や深い愛情が文面から伝われば、
相続人たちも冷静になり、
不当な争いや悪だくみを思いとどまるきっかけになります。
円満な相続を迎えるためには、
法的な手続きに加え、
残される家族への「心のケア」を遺言書に込めることが最善の策と言えるでしょう。
相続に関する悩みや、
具体的な遺言書の書き方については、
信頼できる専門家に相談することをお勧めします。
要約
- 相続権を失う2制度の全体像
- 相続欠格:極めて悪質な行為があると、本人の意思や裁判所の判断を待たず「法律上当然に」相続権を失う
(遺留分も失う)。
ただし欠格者の子は代襲相続が可能。
- 相続廃除:被相続人の意思に基づき、
家庭裁判所の審判(または遺言による指定→死後に推定相続人が申立)で相続権を剥奪。
対象は遺留分を有する相続人(配偶者・子・直系尊属)。
- 欠格の典型事由(自動剥奪)
- 被相続人・同順位以上の相続人の殺害/未遂で処罰
- 被相続人殺害の不告知(一定の例外あり)
- 遺言の詐欺/脅迫による作成・撤回・変更の強要
- 遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿
- 廃除の典型事由(裁判所の審査)
- 被相続人への虐待・重大な侮辱
- 著しい非行(反復する犯罪、資産の横領・浪費、過度な借金肩代わり強要等)
- 兄弟姉妹は遺留分がないため、遺言で排除できる(廃除手続は不要)
- 実例が示す現実
- 放蕩・犯罪歴のある長男を父が「廃除」。
その後、妹が認知症気味の父へ有利な遺言を書かせ資産を独占
——家族内でも巨額の財産を前に不正が現実化しうる。
- 予防の核心(法と心の両輪)
- 法:公正証書遺言+遺言執行者の指定、廃除事由があれば生前申立/遺言で意思表示
- 心:付言事項で配分理由・想いを具体的に残し、相続人の納得と抑制を促す
この動画から得られること
- 相続欠格と相続廃除の違い(自動剥奪/裁判所審査、対象、効果)の正しい理解
- 欠格・廃除それぞれの該当行為・立証ポイント・手続の流れ
- 欠格者の代襲相続・遺留分の扱いなど、家系図に及ぶ実務影響
- 公正証書遺言、遺言執行者、付言事項の活用で不正と争いを予防する具体策
- 認知症リスク期のガード(意思能力・医師の診断書・録音/録画の証拠化等)
例え話
欠格と廃除は、
ルール違反での「一発退場」と、
主催者判断の「出場停止」に似ています。
明白な反則(遺言偽造・殺害未遂等)は即退場(欠格)。
一方、危険行為(虐待・重大侮辱等)は審議(裁判所)で出場停止(廃除)。
そもそも危険プレーを起こさせないための
ルールブック(公正証書遺言+付言)が重要です。
専門家としての付加価値
- 欠格/廃除 早見表
- 欠格:刑事処分・遺言妨害・偽造/破棄/隠匿・不告知(例外付)→自動失権、遺留分なし、代襲相続は可
- 廃除:虐待・重大侮辱・著しい非行
→家庭裁判所の審判(生前申立 or 遺言指定)で失権、遺留分も失う、代襲相続は可
- 手続SOP(廃除)
1) 事実の記録化(日時・場所・証拠:診断書、警察届出、SNS/録音)
2) 家庭裁判所へ申立(申立書・事情説明書・証拠)/遺言指定なら死後に推定相続人が申立
3) 審理→審判/不服なら即時抗告
- 遺言の堅牢化
- 公正証書遺言(作成過程・本人意思確認の担保)
- 遺言執行者の指定(専門職推奨)
- 付言事項(配分理由、家族への想い、行為抑止のメッセージ)
- 認知症リスク期は医師の診断書添付・作成時の録音/録画で意思能力の証拠化
- 代替/補完策
- 家族信託(統治・管理を前倒しで設計)
- 推定相続人の廃除に準じる合意形成(危機介入のガイドライン化)
- 生前対策と相続開始後手続(弁護士・税理士・司法書士の役割分担)
視聴後アクション
1) 家族歴の棚卸(衝突・虐待・非行の有無)と事実の記録化
2) 遺言方針の決定:公正証書/遺言執行者/付言の骨子を作成
3) 証拠の保全:診断書・通報履歴・録音/録画・SNSログ等を整理
4) 廃除が視野なら、家庭裁判所の要件・証拠基準を弁護士と確認し準備
5) 認知症リスク期の防御:意思能力の証明(医師意見書)と作成プロセスの可視化
- 用語の簡潔説明
- 相続欠格:重大な反社会的行為で当然に相続権を失う制度。
- 相続廃除:被相続人の申立や遺言指定に基づき、家庭裁判所が相続権を剥奪する制度。
補助資料
- チェックリスト(抜粋)
- 欠格/廃除 事由の該当性
- 証拠資料の有無と強度
- 遺言(公正証書・付言・執行者)準備状況
- 家族信託等の補完スキーム適否
- 弁護士・司法書士・税理士の連携体制
- テンプレ(要点)
- 家庭裁判所 申立概要メモ
- 付言事項サンプル(配分理由・想い)
- 遺言執行者委任条項 ひな形
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