- 残価設定型住宅ローンの仕組み
自動車ローンでは一般的になっている「残価設定型ローン(残クレ)」が、
住宅ローンでも普及し始めています。
これは国が普及を後押ししている制度で、
主な特徴は以下の通りです。
- 返済額軽減オプション・買い取りオプション:
あらかじめ数十年後の住宅の資産価値(残価)を設定し、
その分を最終回の支払いに据え置くことで、
月々の返済額を抑える仕組みです。 - 返済期間終了後の選択肢:
期間終了時には「一括返済」「物件の売却(買い取り)」「ローンの借り換え(再ローン)」などの選択が必要になります。
新型のリバースモーゲージのような性質も併せ持っています。
- メリット
- キャッシュフローの改善:
子育て世帯など、
特にお金がかかる時期に月々の負担を軽減できるため、
手元の資金に余裕が生まれます。 - 売却リスクの軽減:
あらかじめ買い取り額(残価)が設定されているため、
将来売却する際の「逆ざや(売却額がローン残高を下回る状態)」のリスクを
一定程度抑えられる可能性があります。
- デメリットと注意点
- 総支払額の増加:
月々の返済は抑えられますが、
据え置いた元本にも金利がかかるため、
一般的な住宅ローンよりも総支払額が増える可能性があります。 - 満期時の意思決定とコスト:
満期時には一括返済か再ローンの選択を迫られます。
再ローンを組む際には、
改めて事務手数料などの諸費用が発生することに注意が必要です。
また、最近では50年ローンなども登場していますが、
その長期的な妥当性については慎重に考える必要があります。
- 不動産における「残価評価」の難しさ
自動車の場合、
数年後の評価額(残価)はある程度予測しやすいですが、
不動産の場合は非常に困難です。
25年〜30年後の物件価値を正確に評価して残価を設定することは、
プロの視点から見ても現実的ではないという側面があります。
- 結論:新制度への慎重なアプローチ
国が推奨しているからといって、
必ずしも安全が保証されているわけではありません。
かつての「ステップローン(当初の返済額を低く抑え、後に引き上げるローン)」が
後に大きな問題となった例もあります。
新しい制度が導入された際は、
その仕組みとリスクを十分に理解することが重要です。
メリットだけに目を向けず、
安易に飛びつかずに慎重に検討すべきでしょう。
息子が「残クレでマイホームを買う」と言っています。車の残クレは知っていますが、住宅も残クレで購入できるのですか?
https://financial-field.com/loan/entry-486352
要約
- 制度の骨子
- 残価設定型住宅ローンは、将来の想定価値(残価)を最終回に据え置き、月々の返済を軽くする仕組み。
満期時は一括返済/買取・売却/再ローンの選択が必要。
リバースモーゲージ的性質も一部含む。
- メリット
- 子育て期など費用負担が高い時期のキャッシュフロー改善。
- 事前に買取価格等が決まるタイプでは、逆ざやリスクの緩和に一定の効果。
- デメリット・注意点
- 据置元本にも金利がかかるため総支払額が増えやすい。
満期時に資金手当や再ローン費用が発生。
50年ローン等の長期化はライフイベントとの整合が重要。
- 残価評価の難しさ
- 不動産の25〜30年後の価値は、金利・人口・地域需給・建物コンディションに強く左右され、
精緻な残価設定は困難。
自動車の「残クレ」とは本質的にリスク構造が異なる。
- 結論
- 国の後押し=安全ではない。
ステップローンの教訓の通り、構造とリスクを理解し、目的と出口を先に決めたうえで限定的に活用すべき。
この動画から得られること
- 仕組みの理解
- 残価設定・据置金利・満期オプション(買取・再ローン・売却)の関係と資金フロー
- コストの全体像
- 総支払額(TCO)の比較式、再ローンの諸費用、金利上昇時の負担増
- リスク管理
- 残価乖離(市場価格<残価)の影響、買取条件(原状・修繕・査定基準)の読み方
- 物件・個人適性
- 流動性の高い立地・管理良好物件の選び方、年齢・収入推移・退職時期との整合
- 出口設計
- 満期時の3択(売却・一括返済・再ローン)の判断基準と資金手当の段取り
専門家の付加価値(実務テンプレート)
- 総支払額(TCO)比較式(概念)
- 通常型:毎月元利返済総額+手数料等
- 残価型:毎月元利返済総額+据置元本の金利累計+満期一括(または再ローン諸費用)− 売却/買取入金
- 金利・価格ストレス(目安)
- 金利+1.0%で月額返済+約1.7〜2.0万円/3,500万円・35年相当
- 残価乖離:市場価格が残価比▲10%・▲20%の場合の不足額と再ローン要件(LTV・年収倍率)の可否判定
- 物件選定KPI
- 駅徒歩10分以内
生活利便スコア
管理費・修繕積立金の健全性(修繕積立金≥200〜300円/㎡)
大規模修繕履歴
- 契約条項チェック
- 買取条件(原状回復・故障・査定基準・減額要件・期限)
早期繰上・手数料
金利タイプ・上限
- 個人適性の基準
- 返済比率(DTI)≦手取り30%
退職年齢と満期の整合
防衛資金=生活費6〜12カ月
将来の再ローン年齢・属性
- 出口プランの型
- A 売却:中央値相場×控除コスト>残債+据置金なら可
- B 一括返済:積立+退職金+売却益で手当
- C 再ローン:年齢・LTV・DTI基準クリア、諸費用回収期間≤5年
視聴後アクション
- 月々と総額を並べる
- 通常型と残価型の月々返済・総支払額(TCO)を1枚に比較し、
差の理由(据置金利・満期費用)を可視化します。
- ストレステストをかける
- 金利+1.0%、市場価格▲10〜20%で再試算。
満期時の不足額と対応策をメモします。
- 物件の健全性を点検
- 駅距離、管理・修繕のデータ、積立金水準を確認。
残価リスクが低い物件かを見極めます。
- 買取オプション条項を読む
- 減額・失効条件(損傷、査定基準、期限)にマーカーを引き、不明点を文書で確認します。
- 満期の出口を決める
- 売却/一括/再ローンの優先順を決め、必要資金の積立計画(年次)を立てます。
- 相談の順番を決める
- 不動産会社→金融機関→FP/税理士の順で、条項・費用・税の整合をチェックします。
例え話
高速道路の深夜割引で「いま」は料金が安くても、
出口の通行料とガソリン代まで含めると高くつくことがあります。
残価設定も同じで、入口の安さだけでなく、
出口の支払いと燃費(総額)まで見て判断すべきです。
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