1. 会計はすべての人に関係するもの

「会計」と聞くと、
経営者や経理担当者だけに関係するものと思われがちですが、
実際にはすべての人に密接に関わっています。
例えば、町内会で会費を集めて運営報告をするのも会計ですし、
家庭でつける家計簿も立派な会計です。

会計の本質は、
「集めたお金を何に使い、いまいくら残っているのか」を数字で明らかにすることです。
まずは、一般的に使われる3つの会計(財務会計・税務会計・管理会計)の違いを理解しましょう。

  1. 三つの会計の違い

財務会計(Financial Accounting

主に上場企業などが、
株主、銀行、取引先といった「外部の利害関係者」に対して、
経営成績や財政状態を報告するための会計です。

  • 主な書類:
     貸借対照表(B/S)、
    損益計算書(P/L)、
    キャッシュフロー計算書(C/F)の「財務三表」。
  • ルール:
     国際的なルールや国内の法令(金融商品取引法など)に基づき、
    客観的で適正な報告が求められます。

税務会計(Tax Accounting

国や地方自治体に対して、
正しく税金を申告・納税することを目的とした会計です。

  • 特徴:
     財務会計上の「利益」と、
    税務上の「所得」は必ずしも一致しません。
    税務会計では、独自のルール(益金・損金)に基づいて所得を計算します。
  • 目的:
     公平な課税のために、
    保守的かつ厳格なルールに基づいて計算されます。

管理会計(Management Accounting

会社の内部で、
経営分析や意思決定の指標として使うための会計です。

  • 特徴:
     外部への報告義務がないため、
    決まったフォーマットはありません。
    各企業が自由に設計できます。
  • 事例:
     京セラの稲盛和夫氏が考案した「アメーバ経営」が有名です。
    部門ごとに採算を数字で把握し、
    現場のやる気を引き出し、
    利益を最大化させる仕組みです。
  • 活用:
     難しいシステムを使わなくても、
    Excel
    などで「弱点の発見」や「成長の分析」に役立てることができます。
  1. 社会の数字に関心を持つことの重要性

会計の視点を持つと、
国の財政の見え方も変わってきます。
例えば、メディアでよく耳にする「国の借金が国民一人あたり〇〇万円」という表現があります。
しかし、会計的に見れば、
これは「政府の負債」であって「国民の借金」ではありません。
むしろ、国債を買っているのは銀行等を通じて国民であるため、
国民側から見れば「資産」としての側面もあります。

また、国の予算には「一般会計」のほかに、実態が見えにくい「特別会計」が存在します。
行政の会計報告においても、
取得原価のまま据え置かれ、
減価償却(時の経過による価値の減少を計算すること)が適切に行われていないケースが見受けられます。

  1. 自身の「人生経営」に活かす

「管理(Management)」という言葉は、
本来「経営」を意味します。
会社経営だけでなく、
私たちの人生も一つの経営です。

  • 主体性を持つ:
     国や自治体が税金をどのように集め、
    何に使っているのか。
    その数字に対して無関心でいることは、
    自身の人生経営を放棄することに等しいと言えます。
  • 理解して発信する:
     数字は「意思の現れ」です。
    予算の使われ方に疑問を持ち、
    選挙などを通じて意思表示をすることは、
    主権者としての重要な責務です。

会計の知識は、
単なる事務作業の道具ではありません。
現状を正しく把握し、
より良い未来を選択するための「思考の枠組み」です。
身近な数字や国の指標に興味を持ち、
理解を深めることから始めてみてください。

要約

- 会計は万人に関係
  -
本質は「集めたお金の使途」と「いま残るお金」を数字で可視化する枠組み。
    会社だけでなく、町内会・家計にも適用可能。

- 三つの会計の違い
  -
財務会計:外部利害関係者向けの公正表示(財務三表:B/SP/LC/F)。
                      法令や会計基準に準拠。
  -
税務会計:適正申告・納税を目的に、税法(益金・損金)で所得計算。
                      財務会計の利益と一致しないことがある。
  -
管理会計:社内意思決定・改善のための設計自由な指標。
                      アメーバ経営など部門採算やKPI打ち手を導く。

- 社会の数字を見る視点
  -
「国の借金=国民の借金」ではなく政府の負債。
      国債は国民側の資産でもある。
     一般会計だけでなく特別会計の把握も必要。

- 人生経営へ応用
  -
管理会計=経営。
    主体性をもって家計・選挙・納税の数字に関心を持つ。
    数字は意思の表明であり、未来選択のための言語。

 

本動画のポイント

- 財務・税務・管理会計の違いと接点を一枚図で理解
-
家計版P/LB/SC/Fの作り方とKPI(貯蓄率・投資比率・安全資金)
-
税務と会計がズレる代表例(減価償却・引当・益金/損金)
-
国の財政を会計で読む視点(政府負債と国民資産・特別会計)

 

この動画から得られること

- 概念理解
  -
三会計の定義・目的・主要書類・利用者の違い

- 数字の設計
  -
家計版財務三表テンプレと、
    管理会計KPI(貯蓄率=可処分所得比、固定費比率、投資比率、流動性カバレッジ)

- 税務との橋渡し
  -
財務利益と課税所得のズレ(別表四・五の考え方、代表論点)

- 社会会計リテラシー
  -
政府負債・国民資産・特別会計の読み方と注意点

- 実装手順
  -
月次“1枚決算の運用(可視化対策再計画)

 

専門家の付加価値(実務テンプレート)

- 家計版財務三表(雛形)
  -
家計P/L(年間):手取り収入 − 固定費 − 変動費 − 税・社会保険 = 家計営業利益(貯蓄余力)
  -
家計B/S(時点):現金・預金/投資/居住資産 − 住宅ローン・各種借入 = 純資産
  -
家計C/F(月次):営業CF(手取り−生活費)/投資CF(積立・教育・住宅)/財務CF(借入・返済)

- 管理会計KPI(目安)
  -
貯蓄率=(手取り−生活費)/手取り≥20
  -
固定費比率手取りの50%、住居費手取りの25
  -
流動性カバレッジ(生活防衛資金)=612カ月分
  -
投資比率=手取りの1020

- 中小企業向けブリッジ
  -
月次“1枚決算P/L簡易+資金繰り表+KPI(粗利率、固定費率、営業CFDSCR
  -
税務差異の管理:別表四・五の主要調整(減価償却、交際費、引当金、受取配当)チェックリスト

- 社会会計インプット
  -
政府負債=政府B/Sの負債、国民側では金融資産(国債保有)でもある
  -
特別会計:財投・年金等の資金循環を図で確認

- 運用リズム
  -
月次:1枚決算更新→KPI乖離の原因翌月アクション
  -
四半期:固定費見直し/投資配分リバランス
  -
年次:税務最適化(控除・青色申告・iDeCo/NISA)、目標再設定

 

視聴後アクション

- 家計の「1枚決算」を作る
  -
収入・固定費・変動費を書き出し、貯蓄率と固定費比率を計算します。
     20分で完成します。

- B/Sを埋める
  -
預金・投資・不動産と借入残高を一覧化し、純資産を出します。
     写真に撮って毎月更新します。

- 安全資金を確保する
  -
生活費の612カ月分を別口座に移し、触らないルールにします。

- KPI3つ決める
  -
貯蓄率、固定費比率、投資比率など、今月から追う数字を3つに絞ります。

- 税務の基礎を1つだけ確認
  -
減価償却や控除の要件など、今年の自分に関係する論点を税理士に相談します。

- 予定を入れる
  -
毎月末30分を月次決算タイムとしてカレンダー登録します。

 

例え話

- 車に速度計だけでは安心して走れません。
燃料計(キャッシュフロー)とナビ(管理会計)があってこそ、
地図(財務会計)を意味あるものにできます。
三つを揃えることが、
安全で速い到着への近道です。

 

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