税務署はすべてを知っている?タンス預金と相続税調査の実態

現在、日本国内には約50兆円もの「タンス預金」があると言われています。
数年前までは30兆円ほどと推測されていましたが、
コロナ禍を経てキャッシュの流通が変化したこともあり、
その額はさらに膨らんでいると考えられます。

「タンス預金なら相続時にバレないのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、
税務署の調査能力を甘く見てはいけません。

税務署がタンス預金を把握する仕組み

税務署は、
相続が発生すると被相続人(亡くなった方)の銀行口座の出入りを徹底的に調査します。
過去数年間にわたって、
一度に大きな金額が引き出された形跡があれば、
それが何に使われたのか、
あるいはどこかに保管されているのではないかと疑いの目を向けます。

また、税務署は個人の「生活水準」も分析しています。
過去の確定申告データから推測される収入に対し、
支出が少なすぎたり、
逆に不動産や高価な資産の保有状況が見合わなかったりする場合、
その差額がタンス預金として蓄えられていると類推するのです。

強力な監視システム「KSK」の存在

国税庁には「KSK(国税総合管理システム)」という
非常に強力な情報ネットワークがあります。
このシステムには、
国民一人ひとりの所得、資産、取引履歴、
さらには社会保険の情報などが蓄積されており、
全国の税務署が情報を共有しています。

例えば、会社員が子供のアルバイト代が103万円を超えていることを知らずに
扶養控除を受けていた場合、
数年後に会社を通じて是正通知が届くことがあります。
これはKSKが自動的に不整合を検出し、
各税務署に通知しているためです。
相続においても、
相続人自身が把握していないような親族関係や資産状況を、
税務署側がすでに把握しているというケースは珍しくありません。

未申告が発覚した際のリスク

タンス預金を隠し、
それが税務調査で発覚した場合、
重いペナルティが課されます。
「無申告加算税」に加え、
悪質な隠蔽とみなされれば「重加算税」の対象となり、
本来納めるべき税額の40%が加算されます。
相続税の最高税率が55%であることを考えると、
罰金を含めれば資産のほとんどを税金として徴収されることにもなりかねません。

適切な節税対策を

来年には新紙幣の発行が予定されていますが、
これにはタンス預金を市場にあぶり出す狙いもあると言われています。
税金の使途や二重課税の問題など、
現状の税制に不満を感じる部分はあるかもしれませんが、
現金を隠すことは決して賢い「節税」ではありません。

タンス預金として放置するのではなく、
法律に基づいた適正な節税対策を講じることが重要です。
相続に関する不安がある場合は、
自分一人で判断せず、
税理士などの専門家に相談し、
リスクのない確実な方法を選択することをお勧めします。

記事の要約

- 事実
  - 国内の「タンス預金」は推計約50兆円規模に拡大。
    相続で発覚しやすい。
  - 税務署は相続開始後、
    被相続人の口座入出金(大口引出し等)と生活水準(収入・支出・資産保有の整合)を徹底照合。

- 仕組み
  - 国税総合管理システム(KSK)で所得・資産・社会保険等の情報を全国で共有。
    扶養控除の不整合通知などはKSKの自動検知が背景。
    相続でも親族・資産関係を税務側が把握済みのケースは多い。

- リスク
  - タンス預金の隠匿が発覚すると、無申告加算税や重加算税(本税の最大40%)が賦課。
    相続税最高税率55%と合算すると、資産の多くを失う可能性。

- 含意
  - 新紙幣発行はタンス預金の顕在化を促す面も。
    現金隠匿は節税ではなく高リスク。
    法に基づく適正な相続・贈与対策が合理的。

この動画から得られること(Learning Outcomes

- 税務が見る判定軸
  - 大口引出しの時期・回数・使途、生活水準と資産の整合、名義預金との総合判定

- 実務の型(相続前〜相続時)
  - 現金の見える化:相続財産目録に在庫現金を明記、保管場所と数量の照合 
  - 証拠の残し方:出金ごとに用途メモ・領収書、支払先との突合 
  - 名義整理:生前からの契約書・振込・贈与税申告の三点セット

- リスク管理
  - 加算税(無申告・重加算)の要件と回避策/自主修正・修正申告のタイミング 
  - 新紙幣発行に伴う現金換金時の留意点(出所説明の準備)

- 合法的対策
  - 暦年贈与(110万円)・相続時精算課税(2,500万円+年110万円)・小規模宅地等の特例の活用
  - 納税資金準備(生命保険の非課税枠、預金の分散・換金計画)

例え話

相続における現金管理は「防災訓練」に似ています。
平時に避難経路(資金の出所)と非常持出袋(領収書・メモ)を整えておけば、
災害(税務調査)が来ても慌てずに対応できます。
隠すのではなく、
見せられる準備が安全策です。

専門家としての付加価値(実務の勘所)

- 口座トレースに備える
  - 相続開始前5〜10年の通帳コピーを確保。
    大口出金は「金額・日付・用途・関係者」を一覧化し、領収書・契約書と紐付け。

- 在庫現金の管理
  - 年1回の残高確認(家族立会い・日付入り写真)
 /保管場所の記録化
 /相続開始時の現金実査手順

- 名義預金との線引き
  - 名義人の自由支配(通帳・印鑑・カード本人管理)、
    贈与契約、
    銀行振込、
    110万円超は申告の四点で外形を整える

- 自主修正の判断
  - 故意の隠匿が疑われる前に、専門家同席で自主修正の可否を判断。
   重加算税回避のため、事実関係と証憑を一貫化

- 相続設計との接続
  - 贈与・遺言・生命保険・不動産特例の組合せで「課税ベースを合法的に圧縮」し、納税資金を先に確保

視聴後アクション

- 現金の状況を見える化(本日)
  1) 手元現金の総額・保管場所をメモ。
      相続財産目録の草案を作ります。 
  2) 過去5年の通帳コピーを保存し、大口出金の用途を一覧にします。

- 証拠をそろえる(今週)
  3) 出金ごとに領収書・請求書・契約書を揃え、用途メモを添えます。
  4) 名義預金が疑われないよう、贈与は「契約+振込+申告」で実行します。

- 専門家に相談(今月)
  5) 税理士に目録と証憑を見せ、申告方針と必要な是正(自主修正の可否)を確認します。 
  6) 合法的に税負担を抑える贈与・特例・保険の設計を依頼します。

隠すリスクより、整える安心。
今日から“見せられる相続”の準備を始めましょう。

引用

2023年10月24日 税理士法人AtoY メルマガ
【相続】タンス預金の相続はバレる!?

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