今回の税制改正大綱には、
多くの企業や富裕層にとって看過できない項目がいくつか含まれています。
まずは、あまり周知されていない「オープンイノベーション促進税制」と、
実務に大きな影響を与える「電子取引データ保存の義務化」について解説します。
- オープンイノベーション促進税制の形骸化
法人課税の一つとして「オープンイノベーション促進税制」があります。
これは、大企業がスタートアップ企業と協業・共栄し、
改革や革新(イノベーション)を促進することを目的とした制度です。
しかし、実態としては認知度が非常に低く、
内容も一定の見直しを経て2年延長されましたが、
疑問が残ります。
この制度で最もメリットを受けるのは、
出資を受けるスタートアップ側ではなく、
出資を行う側の上場企業です。
本来の目的である「日本から新たな企業を輩出する」ための支援になっているのか、
首を傾げざるを得ません。
- 電子取引データ保存義務化とインボイス制度
中小企業の間で大きな騒動となったのが、
「電子取引データの保存義務化」です。
当初は2022年1月から即座に実施される予定でしたが、
準備が間に合わない企業が続出しました。
この制度は、
電子メール等で受け取った請求書や領収書を、
紙ではなく電子データのまま保存することを義務付けるものです。
違反した場合には「青色申告の取り消し」もあり得るといった、
半ば脅しのような強い姿勢で導入が進められました。
業界団体からの強い反対もあり、
最終的には2年間の猶予期間が設けられ、
2024年からのスタートとなりました。
しかし、これと同時期に導入される「インボイス制度」とも密接に関連しており、
実務上の負担は依然として重いものです。
場当たり的な見直しを繰り返す政府の姿勢には、
不信感を抱かざるを得ません。
- 大口株主に対する課税強化(3%ルール)
上場企業の株式を3%以上保有する個人株主(大口株主)が受け取る配当についても、
厳しいメスが入りました。
これまでは分離課税の対象でしたが、
今後は確定申告において総合課税の対象となり、
所得税と住民税を合わせて最大55%の税率が課されることになります。
政府は「節税対策としての同族会社名義への振り替えを封じる」という名目を掲げていますが、
創業者の努力によって築き上げられた富に対し、
累進課税によって過度な負担を強いることは、
企業の成長意欲を削ぐ結果になりかねません。
- 富裕層情報の把握と財産債務調書の提出義務
政府は富裕層の情報をより詳細に把握しようとしています。
現在、課税所得が2,000万円を超え、
かつ一定の財産を持つ者には「財産債務調書」の提出が義務付けられています。
2023年分からは、
所得に関わらず10億円以上の財産(土地・建物等の評価額を含む)を所有している者も、
この調書の提出義務対象となります。
これは所得の有無に関わらず、
保有資産を国が完全に捕捉しようとする動きであり、
個人情報の管理という点でも過剰な介入であると感じます。
- 相続税と贈与税の一本化の行方
最大の懸念事項であった「相続税と贈与税の一本化」については、
今回の改正では具体的な着手は見送られ、
「検討を続ける」という文言に留まりました。
日本では現在、
亡くなる前3年以内の贈与については相続税の計算に持ち戻す(加算する)ルールがありますが、
諸外国に合わせてこの期間を10年や15年に延ばそうという議論が続いています。
もしこれが実施されれば、
年間110万円の非課税枠を利用した生前贈与による節税は、
実質的に意味をなさなくなります。
今回は先送りされましたが、
今後必ず改正される項目といえるでしょう。
結論:税制の不公平感と国の責任
現在の税制改正の流れを見ると、
富の再分配という美名の下、
一律に富裕層から増税しようとする「小手先の財源確保」が目立ちます。
例えば、銀座の一等地に土地を持つ者と、
人口減少が激しい地方の土地を持つ者とでは、
同じ資産価値でも収益性や実態は大きく異なります。
そうした個別の事情や不公平感を調整することこそが国の責任であるはずですが、
現在は納税者にその負担を押し付けている状況です。
抜本的な景気対策を講じるのであれば、
消費税やガソリン税のあり方を含め、
もっと根本的な改革や変革が必要ではないでしょうか。
私たち納税者は、こうした税制の不合理さに対し、
常に注視し、声を上げていかなければなりません。
要約
- 企業向け
- オープンイノベーション促進税制は延長も実効性が乏しく、出資側の上場企業偏重で“形骸化”が懸念。
- 電子取引データ保存は2024年から義務化(猶予を経て本格稼働)。
インボイス制度と一体で実務負荷が大きく、違反は青色取消など重いリスク。
- 個人・富裕層向け
- 大口株主(3%以上保有)の配当は総合課税へ(最高55%)。
名義振替などの節税封じが目的。
- 財産債務調書は、所得要件に加え「純資産10億円以上」は所得ゼロでも提出義務(資産捕捉の強化)。
- 相続税と贈与税の一本化は先送りだが、持戻し期間(現行3年)を10–15年へ延長する方向性は残存。
年110万円の暦年贈与は“将来的に効きにくい”可能性。
- 総評
- 「富の再分配」の名の下に増税色が強まり、制度の場当たり感も残る。
納税者側は制度を見極め、合法的な最適化と声を上げる姿勢が必須。
この動画から得られること
- 制度の要点
- オープンイノベーション促進税制の狙いと限界
電子取引保存・インボイスの全体像
3%配当総合課税の影響
10億円基準の調書義務
相続・贈与一体化の論点。
- 実務対応(企業)
- 電子保存の設計(命名規則・検索3要件・事務処理規程・タイムスタンプorログ)
インボイス運用・ベンダー選定
監査対応体制。
- 実務対応(個人・資産家)
- 3%ルール該当の判定・受取配当の課税選択
財産債務調書の作成プロセス・資産評価のポイント
贈与戦略(生前贈与の記録化・相続前後の設計)。
- リスク管理
- 青色取消・重加算税の回避
誤課税・過少申告の防止
データ改ざん防止と監査ログ整備。
- 戦略的示唆
- 法人・個人の両輪で“合法的最適化”:報酬・配当のバランス、資産保有体の再設計、海外資産の透明性確保。
専門家の付加価値(実務テンプレート)
- 電子保存ルール(最小構成)
- 命名規則:YYYYMMDD_取引先_金額_書類種別.pdf
検索3要件(取引日・金額・相手先)を満たすメタ設計
訂正削除ログ or タイムスタンプ
事務処理規程ひな形。
- インボイス運用
- ベンダー比較(TCO・API・SLA・解約条項)
受領・照合・保管フロー図
社内教育スクリプト。
- 3%ルール対応
- 保有比率の年次確認、配当課税(申告分離 vs 総合課税+配当控除)比較表、家族名義・同族判定の整理。
- 財産債務調書の作成
- 評価一覧(不動産・有価証券・預貯金・海外資産)
裏付書類パッケージ(評価証明・残高証明・登記・明細)
提出カレンダー。
- 贈与・相続の設計
- 年110万円の暦年贈与は贈与契約書+振込+受領記録の三点セットで証跡化
相続前後の資産移転シミュレーション(持戻し期間延長の感応度)。
視聴後アクション
- 電子保存の棚卸し
- 見積・請求・領収の電子受領フローを洗い出し、命名規則・検索要件・ログの有無を点検。
- インボイスの一次評価
- ベンダー3社をTCO・API・SLAで比較。
受領・照合・保管を図式化しギャップを特定。
- 3%該当の有無を確認
- 上場株の保有比率を年次で把握。
配当課税の有利不利を試算し、源泉徴収・申告の方針を固める。
- 調書の準備
- 純資産の概算(時価)を算出し、10億円基準の該当性を判定。
評価資料を1フォルダに集約。
- 贈与の記録化
- 暦年贈与を行うなら、贈与契約・振込・受領確認の三点セットを整備。
家族内の資産移転は証跡重視へ。
- 年間カレンダーの設定
- 電帳法・インボイスの社内教育日、調書作成日、配当課税の試算時期を年次で固定。
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