【相続税の納め過ぎ】土地評価の見直しで還付が受けられるケースと注意点

「相続・贈与相談センター マガジン(20245月号)」の記事に基づき、
相続税の申告後に「不動産(土地)の評価」を見直すことで、
過払いした税金が還付されるケースについて解説します。

  1. 相続税の還付手続き「更正の請求」とは

相続税の申告・納付が完了した後でも、
後から「税金を納めすぎていた」と分かった場合には、
所定の手続きを行うことで払い戻しを受けることができます。
これを「更正の請求(こうせいのせいきゅう)」と呼びます。

  1. なぜ土地の評価で見落としが起きるのか

還付が生じる最大の理由は、
「土地の評価が非常に難しいから」です。
土地には「一物多価(いちぶつたか)」という性質があり、
一つの土地に対して複数の評価基準が存在します。
国税当局は税収を確保するために評価を高く見積もりたい一方、
納税者はできるだけ低く抑えたいという構図があるため、
評価の仕法によって税額に大きな差が生じます。

また、
不動産の評価は図面上の数値だけでは判断できません。
所得税や消費税をメインに扱う一般的な税理士の中には、
相続税、特に土地評価の「減額テクニック」に詳しくないケースもあります。
税務署側から「納めすぎですよ」と指摘してくれることはまずないため、
自ら見直しを行わない限り、
過払いに気づくことはありません。

  1. 評価を下げられる可能性が高い土地の例

以下のような特徴を持つ土地は、

評価を見直すことで相続税が安くなる可能性があります。

  • 広大な土地:
    面積が1,000㎡(三大都市圏は500㎡)以上の「地積規模の大きな宅地」。
  • 不整形地:
    形が歪(いびつ)で、正方形や長方形でない土地。
  • 間口が狭い土地:
     道路に接する間口が狭く、
    奥行きが長い土地。
  • 傾斜地:
    高低差がある土地。
    表面的な図面だけではわからず、
  • 現地を確認して初めて評価減の要因が見つかることも多いです。

これらを正しく評価し直すことで、
路線価に基づく評価額を大幅に下げられる場合があります。

  1. 還付を受けるための期限と手続き

更正の請求ができる期限は、
「相続税の法定申告期限から5年以内」です。
相続発生(被相続人の死亡)を知った翌日から10ヶ月が申告期限ですので、
実質的には相続開始から
510ヶ月以内」
に請求を行う必要があります。

【手続きの流れ】

  1. 提出済みの相続税申告書の内容を再確認する。
  2. 土地評価を再計算し、
    評価減の根拠をまとめた書類(修正申告書や請求書)を作成する。
  3. 税務署へ提出し、審査を受ける。
  4. 請求内容が妥当だと認められれば、
    還付通知書が届き、
    指定口座に還付金が振り込まれる。
  1. 専門特化した税理士と報酬について

世の中には、
この「相続税還付」を専門に扱う税理士も存在します。
彼らは不動産登記情報を分析し、
高額な相続税を支払った可能性のある方へ
ダイレクトメールなどでアプローチすることもあります。

こうした専門事務所の報酬は、
一般的に「成功報酬制」です。
還付された金額の30%〜40%程度が相場とされており、
決して安くはありません。
しかし、
専門的な知見に基づいた評価を行い、
税務署からの調査や質問に対しても責任を持って弁明してくれるため、
多額の土地を相続した場合には検討する価値があります。

  1. まとめ

たとえ税理士であっても、
全員が不動産評価のプロであるとは限りません。
中には税務署OBの税理士であっても、
細かな減額要因を見落としているケースもあります。

特に相続財産の多くが土地である場合、
一度専門特化したプロに見積もりを依頼してみるのも一つの手です。
現在の顧問税理士がいる場合は、
「外部の専門家の意見も聞いてみたい」と相談してみるのも、
大切な資産を守るための有効な手段となります。

還付の可能性は、
ほとんどのケースにおいて「土地がある場合」に集約されます。
心当たりのある方は、
期限が切れる前に一度見直しを検討してみてください。

記事の要約(専門家視点・MECE

- 結論
  - 相続税申告後でも、土地評価を見直せば「納め過ぎ(過誤納)」が還付されるケースは少なくない。
    手続は「更正の請求(法定申告期限から5年以内)」で行う。

- 見直しが必要な理由
  - 土地評価は一物多価・個別性が強く、図面だけでは判断困難。
    一般税理士は所得税・消費税中心で土地評価の減額要素を見落とすことがある。
    税務署は基本的に過納を指摘しないため、自主見直しが必須。

- 還付の可能性が高い土地の例
  - 地積規模の大きな宅地(概ね1,000㎡超、三大都市圏は500㎡超)
  - 不整形地、
     間口狭小・奥行長大、
     傾斜地・高低差あり、
     接道条件が不利、
     特殊用途・利用制限あり等

- 期限・手続フロー
  - 期限:相続税の法定申告期限(相続開始の翌日から10か月)から5年以内
             =相続開始から実質510か月以内
  - 流れ:既申告の確認
            →②評価の再計算・根拠作成
            →③更正の請求書提出
            →④審査
            →⑤認容で還付

- 専門家の選び方と費用
  - 相続税還付に特化した税理士の成功報酬は概ね還付額の3040%。
    高額だが、技術・交渉・立会いを任せられるメリット。
    現顧問がいる場合も、外部セカンドオピニオンの併用は有効。

- 比喩(理解促進)
  - 土地評価は「立体パズル」。
    平面図(図面)だけでは凹凸(高低差・形状・接道)の全貌が見えない。
    立体で組み直す(現地実査と評価調整)ことで、正しい形(適正評価)に戻せる。

この動画から得られること(学習・実践)

- 更正の請求の期限・流れ・必要書類
- 還付につながりやすい土地の判定ポイント(広大地、不整形、間口狭小、傾斜、接道不利 等)
- 路線価評価の調整手法の基本的考え方(形状補正・奥行価格補正・がけ地・私道負担 等の概念理解)
- 専門税理士の選定基準(相続税専門・土地評価実績・交渉力・成功報酬体系・説明の透明性)
- 実務上の留意点(現地確認の重要性、評価根拠の文章化、税務署からの質問対応)

例え話

土地評価は「立体写真のピント合わせ」。
真正面からの一枚では歪みや段差が映らないことも。
角度を変え(現地・資料・補正)ピントを合わせ直すと、像(評価)が正しく浮かび上がります。

専門家としての付加価値(実務チェックリスト)

- 期限
  - 更正の請求:相続税の法定申告期限から5年以内(相続開始から実質510か月)

- 初期診断(Yes/No
  - 形状:不整形
            /間口狭小・奥行長大
            /がけ地・高低差
            /私道負担
            /市街化調整区域 等
  - 規模:三大都市圏500㎡超・その他1,000㎡超の地積規模の大きな宅地
  - 接道:幅員・接道長・角地/袋地の有無

- 書類
  - 公図・地積測量図・現況図、
    登記事項証明書、
    固定資産課税明細、
    近影写真、
    近傍成約事例

- 進め方
  - 既申告書の評価方法・係数の洗い直し
 →補正可能性の仮説立案
 →根拠の文書化
 →更正の請求書提出質問対応

- 税理士選定
  - 相続税専門比率、
    土地評価の実績(事例の提示)、
    成功報酬の料率と最低報酬、
    税務調査対応力、説明の明瞭さ

視聴後アクション

- 今すぐやること
  - ①相続開始日と申告期限を確認し、更正の請求期限をメモ
  - ②対象土地の図面・写真・登記・課税明細を集める
  - ③不整形や傾斜などの該当性をチェック表で確認
  - ④相続税還付に強い税理士へ無料相談を1件予約(顧問がいればセカンドオピニオン前提で相談)

- なぜ必要か
  - 期限を過ぎると還付の道は閉ざされるため。
    今日の一歩が、納め過ぎた資金を守る最短ルートになります。

土地がある相続なら「見直す価値あり」。
期限内に、正しい評価で、過払いを取り戻しましょう。

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引用

相続・贈与相談センターマガジン2024年5月号
不動産の見直しで相続税が還付?
起こりうるケースと注意点とは

税理士法人 A to Y
〒460-0014 愛知県 名古屋市中区富士見町7-11
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