不動産実務の世界にいると「当たり前」に思えることでも、
初めて購入を検討する方にとっては、
何から手をつければいいのか全く分からないものです。
今回は、不動産購入の全体像とその要点について解説します。

  1. 初心者が直面する「不動産の不思議」

不動産には、
境界線の問題や
「ほんの一部の土地だけを買い取ってほしい」といった特殊な交渉事が
発生することがあります。
専門知識がない状態でこうした話を持ちかけられると、
相場感も手続きも分からず戸惑ってしまうのが普通です。
まずは、正しい「買い方のプロセス」を知ることが大切です。

  1. 情報収集と「情報の循環」

まずは情報収集から始まります。
現在はインターネットの検索サイトで多くの物件を見ることができますが、
本当に鮮度の良い情報は「人」に集まります。

ここで大切なのは、
情報を自分一人でせき止めないこと」です。

不動産会社や銀行、知人から得た情報を抱え込まず、
誰かに流したり共有したりすることで、
自分にも新しくて鮮度の良い情報が回ってくるようになります。
不動産情報は「鮮度が命」です。
ネットに載り続けている情報だけでなく、
生きた情報を手に入れる仕組みを自分なりに作っておきましょう。

  1. 購入目的の明確化と条件の精査

「家を建てる」「投資をする」など、目的によって選ぶべき物件は全く異なります。
自分の中で以下のリストを作成してみるのがおすすめです。

  • 「欲しい条件」を10個挙げる
  • 「避けたい条件」を10個挙げる

この作業を通じて、
自分にとって本当に優先順位が高い条件を絞り込んでいきます。
なんとなく探すのではなく、
自分のニーズを「精査」することが、
納得のいく取引への第一歩です。

  1. 現地確認の徹底

気になる物件が見つかったら、
必ず現地に足を運びましょう。

その際、一度だけでなく「朝・昼・晩」と時間帯を変え、
さらに「晴れの日・雨の日」と天候を変えて確認する
ことが重要です。

時間帯や天候によって、
周囲の騒音、日当たり、排水の状況など、
一回では見えない側面が見えてくるからです。

  1. 事業計画(資金計画)の策定

購入の目処が立ったら、
次は事業計画の作成です。

  • 土地と建物の総予算
  • 自己資金とローンの割合
  • 返済計画(銀行への相談)

普段から取引のある金融機関に早めに相談し、
その銀行が不動産融資に対してどのような姿勢を持っているかを確認しておきましょう。

  1. 買付証明書の提出と「ローン特約」

売主に対して「買いたい」という意思表示をするために「買付証明書」を提出します。
この際、銀行融資を利用する場合は必ず「ローン特約」を盛り込みましょう。
これは、万が一ローンの審査が通らなかった場合に、
契約を白紙に戻して手付金も全額返金されるという、
買主を守るための重要な条項です。

  1. 契約から決済・引き渡しまで

売主と合意に至れば、
売買契約を締結し、
手付金(通常は代金の1割程度)を支払います。

決済当日は、
銀行などで買主、売主、不動産会社、そして司法書士が立ち会います。
司法書士が法務局で所有権移転登記の手続きを行い、
残代金の支払いが完了すれば、
晴れてその不動産はあなたのものになります。

※投資用物件(賃貸物件)を購入する場合は、
この決済日までに管理会社を選定し、
入居者募集や日常の管理体制を整えておく必要があります。

  1. 専門家を味方につける

不動産取引には多くの人物が登場し、
プロセスも複雑です。
だからこそ、
信頼できるパートナーを見つけることが大切です。

税理士や宅地建物取引士(宅建士)には厳しい「守秘義務」があります。
相談内容が外部に漏れることはありませんので、
迷ったときや不安なときは、
早めにプロのアドバイスを求めるようにしてください。

不動産は一つとして同じものがない、
唯一無二の買い物です。
焦らず、段階を踏んで進めていきましょう。

要約

- 不動産購入は「物件探し」以前に、全体プロセス(情報収集条件整理現地確認資金計画買付契約決済運用準備)を理解することが重要です。
初めての方ほど、境界や一部買い取りなど特殊な話に巻き込まれやすく、手順を知らないこと自体がリスクになります。 

- 情報はネットで集められますが、鮮度の高い情報は「人」に集まります。
ポイントは、情報を自分だけで止めずに循環させ、一次情報が回ってくる関係性をつくることです。 

- 目的(自宅/投資/事業用)を明確にし、「欲しい条件10個」「避けたい条件10個」を作って優先順位を決めることで、提案を受けてもブレずに判断できます。 

- 現地確認は一度で終わらせず、朝・昼・晩、晴天・雨天など条件を変えて観察し、騒音・日照・排水・周辺動線といった現場の真実を把握します。 

- 融資利用の場合、買付と契約では「ローン特約」が買主の生命線です。
審査否認時に契約解除・手付金返還を担保しないと、資金繰りが一気に崩れます。 

- 投資用物件は、決済前に管理会社選定・募集導線・運用体制を整えるのが先手の基本です。
迷ったら、守秘義務のある専門家に早期相談し、手戻りを防ぎます。 

 

例え話 

 不動産購入は
「旅行の乗り継ぎ」
に似ています。

目的地(購入目的)が曖昧で、
時刻表(資金計画)と
乗り継ぎ条件(ローン特約)を
確認せずに動くと、
途中で足止めされます。

先に全行程を
組み立てれば、
焦らず
確実に
到着できます。

 

この動画から得られること

- 不動産購入の基本プロセス(全体像)と、各工程の目的が理解できる 
-
ネット情報と一次情報の違い、情報が回ってくる「循環」の作り方が分かる 
-
条件整理(欲しい10/避けたい10)で意思決定を速く・強くする方法が身につく 
-
現地確認の具体手順(時間帯・天候・確認項目)をそのまま実行できる 
-
資金計画と融資相談の進め方、買付~契約で必須のローン特約の意味が明確になる 
-
投資用物件で「決済前に整えるべき運用体制」(管理会社・募集・体制)が分かる 

 

専門家の付加価値(実務ポイント・チェックリスト)

 1)購入プロセスをMECEで分解(漏れなく・重複なく)
-
情報:検索サイト/仲介担当/金融機関/現場(管理・修繕・近隣) 
-
判断:目的条件(欲しい10・避けたい10優先順位妥協点 
-
検証:現地(時間帯×天候)/法務(境界・接道・制限)/収益(投資の場合) 
-
資金:自己資金/融資条件/返済計画/予備費(修繕・税金・諸費用) 
-
契約:買付証明重要事項説明売買契約ローン特約手付 
-
実行:融資本承認決済登記引渡し(投資なら)募集・管理開始 

 

 2)現地確認の「標準チェック項目」
-
立地:駅距離だけでなく、実際の動線・坂・夜間の明るさ 
-
生活環境:騒音(朝夕・深夜)、臭気、交通量、近隣施設の稼働時間 
-
建物:共用部の管理状態、掲示物、ゴミ置場、駐輪、漏水跡、排水(雨天) 
-
投資:近隣競合(募集条件・空室状況)、需要源(企業・学校・病院) 

 

 3)ローン特約の最低ライン
-
本承認の期限、否認時の解除方法(書面通知)、手付金の全額返還 
-
口頭内諾ではなく、承認書面を基準に管理する 
-
期限管理(カレンダー化)で「うっかり特約失効」を防ぐ 

 

 4)投資用は「決済前に運用を決める」
-
管理会社:募集導線、反響対応、原状回復・修繕の見積透明性 
-
募集条件:賃料・AD・フリーレント等の初期方針 
- KPI
:反響内見申込成約、空室日数、原状回復単価/ 

 

視聴後アクション

- 今日やること 
  -
目的を一行で書いてください(例:自宅/投資/将来の相続も見据える)。
目的が決まると、選ぶ基準が決まります。 

- 今週中 
  -
「欲しい条件10個」「避けたい条件10個」を作り、上位3つだけ太字にしてください。
これが不動産会社へ渡す基準になります。 

- 2週間以内 
  -
候補物件は、朝・昼・晩のいずれか2回以上、可能なら雨の日も確認してください。
写真を残せば比較ができます。 

- 1か月以内 
  -
融資を使う予定なら、金融機関に事前相談し、買付・契約ではローン特約の文言を確認してください。
分からなければ「否認時に白紙解約できるか」を一点だけ確認すれば十分です。 

- 迷ったら 
  -
「目的」「条件」「ローン特約」の3点が揃っているかを確認してください。
揃えば前進、揃わなければ保留。
これが初心者の最も安全な進め方です。

 

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