「未支給年金」とは、
本来年金を受け取る権利があった方が、
請求する前、
あるいは振り込まれる前にお亡くなりになった際、
まだ受け取っていなかった年金のことを指します。

今回は、
意外と見落としがちな未支給年金の請求権や相続財産との違い、
税務上の扱いについて詳しく解説します。

  1. 未支給年金は「相続財産」ではない?

多くの方が
「亡くなった親の年金だから、相続財産に含まれるのでは?」
と考えがちですが、
実は法律上の扱いは異なります。

国民年金法(第19条)等の規定により、
未支給年金は
「遺族が自己の名義で請求できる権利」
として認められています。
つまり、
相続によって引き継ぐものではなく、
遺族が自らの権利として直接受け取るものなのです。
これについては、
最高裁判所の判例(平成7年)でも
「相続財産には当たらない」
との結論が出ています。

  1. 税務上の取り扱い:相続税ではなく「所得税」

未支給年金は相続財産ではないため、
相続税は一切かかりません。
その代わり、
受け取った遺族自身の
「一時所得(所得税)」
として扱われます。

一時所得の計算は以下の通りです。

(収入金額 - 取得費 - 特別控除50万円)× 1/2 = 課税対象額

他の所得と合算して一定額を超える場合は、
確定申告が必要になりますので注意しましょう。

  1. 手続きのポイントと必要書類

未支給年金を受け取るには、
年金事務所での手続きが必要です。

  • 請求期限:
    年金の種類によって時効(原則5年)がありますが、
    お亡くなりになった後は速やかに手続きを行いましょう。
  • 主な必要書類:
    • 死亡診断書の写し
    • 戸籍謄本(亡くなった方と請求者の関係がわかるもの)
    • 世帯全員の住民票
    • 受取先となる銀行の通帳など

まとめ:忘れずに請求を

未支給年金は、
相続手続きの混乱の中で非常に見落とされやすい項目です。
請求を忘れたまま放置してしまうと、
最終的には国庫に戻ってしまいます。

お亡くなりになった方が本来受け取るはずだった大切な資金ですので、
正しい知識を持って、
早めに年金事務所へ相談・申請を行うようにしてください。

【この動画から得られること(Learning Outcomes)】

- 未支給年金の基礎
  - 定義:受給権者が生前に請求できなかった年金の未受給分
  - 法的根拠:国民年金法19条/相続と独立した請求権(最高裁H7.11.7判決)
  - 相続との関係:相続財産・みなし相続財産に該当せず(相続税は非課税)

- 税務(所得税)の扱い
  - 一時所得の計算式=(収入金額-取得費(通常0)-特別控除50万円)×1/2
  - 確定申告が必要(他の一時所得と通算、控除適用)

- 請求の実務(チェックリスト)
  1) 請求できる人の範囲(遺族の順位・同居/生計同一の確認)
  2) 請求期限(年金機構の定める期限内/早めの着手)
  3) 必要書類(死亡診断書、戸籍謄本、住民票(世帯全員)、申請書 等)
  4) 具体例:申請により30万円を一時金として受領一時所得で申告

- 失敗回避ポイント
  - 相続税の申告対象だと誤解して未申告是正
  - 期限徒過・書類不備による不支給
  - 控除(50万円)を使い切れず過大申告/他の一時所得と合算失念
  - 他の給付(遺族年金等)との混同

 

【例え話】

未支給年金は「家族に直接届く郵便物」に似ています。
遺産の箱に入れる(相続財産化)ものではなく、
郵便ルール(年金法)で受取人が決まり、配送期限(請求期限)もあります。
受け取ったら、切手(所得税の一時所得)だけ正しく貼り直しましょう。

 

【視聴後アクション(CTA)】

- 年金事務所(年金機構)へ早めに連絡し、請求期限と必要書類を確認
- 戸籍・住民票・死亡診断書を揃え、申請書を作成・提出
- 受取後は一時所得として確定申告(他の一時所得と通算、50万円控除の適用)
- 相続財産と未支給年金を分けて整理し、税務処理の誤りを防止

 

【専門家としての付加価値】

- 「相続税×/所得税」の線引きを、
    法令(国民年金法19条)・判例・税務通達の順で確認し、
    誤課税・申告漏れを防ぐ実務設計を提示。

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引用
税理士法人A to Y メルマガ 令和7年5月2日配信
-相続- 未支給年金の請求権と相続

税理士法人 A to Y
〒460-0014 愛知県 名古屋市中区富士見町7-11
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