- 見落とされがちな「非上場株式」の相続価値
親が有限会社や株式会社を経営している場合、
その会社の株式(非上場株式)は相続財産となります。
上場企業の株式とは異なり、
日々の価格が公開されていないため、
子供などの相続人がその価値を低く見積もったり、
相続財産としての存在自体を見落としたりするケースが多々あります。
しかし、長年経営を続け、
業績が安定している会社ほど、
税務上の評価額(株価)は驚くほど高くなっていることがあります。
これを「ただの身内の会社の株」と思い込んでいると、
相続時に多額の相続税が発生し、
大きなトラブルに発展しかねません。
- 「準共有」が招く会社の機能不全
相続が発生してから遺産分割協議がまとまるまでの間、
株式は相続人全員で「準共有」という形で持つことになります。
この状態が続くと、
以下のような深刻な問題が発生します。
- 意思決定の停止:
株主総会での決議ができず、
役員の選任や経営方針の決定が困難になります。 - 責任の所在が不明確に:
経営にタッチしていない相続人同士が、
株主としての権利を巡って争うことになれば、
会社は誰の指示で動くべきか分からなくなります。 - 価値の喪失:
争いによって経営が滞れば、
相続時点では価値があった株式が、
最終的には無価値になり、
廃業や倒産に追い込まれるリスクもあります。
特に申告期限である10か月を過ぎても遺産分割が決まらない場合、
会社の運営自体に致命的なダメージを与える可能性があります。
- 所有と経営の分離と「生前贈与」の活用
山内先生が担当された事例に、
興味深いケースがあります。
お子様たちは会社を手伝っておらず、
将来も継ぐ意思はありませんでしたが、
親(経営者)は会社を存続させたいと考えていました。
そこで「所有と経営を分離する」という方針を立てました。
- 所有: 資産価値のある株式は、お子様が相続することで資産として確保する。
- 経営: 社長業はプロの経営者に任せる、あるいはM&Aを検討する。
この理想的な形を実現するために、
同社では生前からの計画的な株式贈与を開始しました。
毎年、専門家が正確な株価を算定し、
贈与税の非課税枠や負担の少ない範囲内で、
少しずつ株式を後継候補や子供に移していくという手法です。
これにより、
将来の相続時の負担を軽減し、
円滑な事業承継を目指しています。
- 専門家への相談と「先手」の重要性
会社経営に関わる相続は、非常に複雑です。
- まずは、自社の株価が現在いくらなのか、
顧問税理士などの専門家に正確な算定を依頼しましょう。 - もし株式を分割して持つことが難しい場合は、
株式を売却して現金化したり、
特定の誰かが株を相続する代わりに、
他の相続人に現金を支払う「代償分割」を検討したりする必要があります。
相続問題は、
突然発生してから対応しようとすると、
不利な状況に置かれたり、
後手に回ってトラブルが深刻化したりしがちです。
経営者であれば、
業績が良い時こそ、
将来の相続や承継を見据えて「先手、先手」で対策を講じておくことが、
会社と家族を守ることに繋がります。
まとめ
「跡継ぎがいないから」と株式の相続問題を放置せず、
まずは現状の資産価値を把握することから始めましょう。
生前から親族間で話し合いを行い、
遺言書の作成や計画的な生前贈与を活用することが、
円満な相続への第一歩です。
要約
- 非上場株式は相続財産であり、安定黒字の会社ほど税務上の株価が高くなり得る。
一見「身内の会社の株」でも多額の相続税が発生しうる。
- 相続開始後、遺産分割が決まるまでの「準共有」は、議決が停滞し、会社の意思決定・責任の所在が曖昧化。
経営機能不全と価値毀損の誘因となる。
- 理想形は「所有と経営の分離」。
株は資産として承継しつつ、経営はプロ起用やM&Aで継続を図る。
生前から計画的贈与で負担を平準化。
- まず現状の株価算定を専門家に依頼。
分割困難なら売却や代償分割を検討。
10か月の相続税申告期限を意識し、先手の対策が肝要。
- 具体策は、現状把握→家族合意→遺言・贈与設計→承継スキーム(税制活用・M&A)→運用・モニタリングという事前設計である。
この動画から得られること
- 非上場株式が相続税評価で高額化するメカニズムと、見落としポイント
- 準共有が意思決定を止める法務・ガバナンス上の理由と回避策
- 所有と経営の分離を実現する設計図(贈与・M&A・外部経営者活用)
- 税制活用(事業承継税制、生前贈与、代償分割)の使い分け
- 今日から始める株価算定・合意形成・書面化の実務ステップ
専門家の付加価値(実務ポイント・チェックリスト)
- 株価評価の3手法の目利き
- 類似業種比準価額法、純資産価額法、配当還元価額法を状況で併用。
業績や資産構成で評価が大きく変動。
- 税制の要点(最新動向を踏まえた設計)
- 事業承継税制(特例措置)は適用要件・雇用維持要件・計画提出期限に留意。
- 生前贈与は暦年課税と相続時精算課税を比較。
2024年からの基礎控除見直しも踏まえて年次設計。
- 法務ガバナンス
- 譲渡制限規定、相続時の承認機関、議決権行使者指定、株主間契約(ドラッグ/タグ)で紛争予防。
- スキーム代替案
- 代償分割、換価分割、自己株式取得、MBO/EBO、親族外承継を比較評価。
- 運用
- 年1回の株価モニタリング、資本政策KPI(自己資本、配当方針)、遺言・贈与契約・議事録の整備。
実務チェックリスト(着手順)
- 顧問税理士に株価算定を依頼(直近3期決算+資産明細)
- 家族会議で承継方針(保有/売却/分散)と意思決定者を明確化
- 遺言作成+贈与計画(年次スケジュール・評価見通し)
- 定款・譲渡制限・議決権設計の見直し
- 税制適用可否の事前判定(事業承継税制等)
- 代償資金の手当(保険・融資・社外預金)
- M&A打診の準備(バリュエーション、守秘・基本合意)
視聴後アクション
- 今日やること:自社株の現在価格を専門家に聞く(見積りの感覚でOK)。
- 1週間以内:家族と「会社を残すか/資産として確保するか」を話し合う。
- 1か月以内:遺言と贈与の設計図を作る(税理士・弁護士に同席してもらう)。
- 3か月以内:定款・議決権・株主間契約を整備し、代償資金の手当を決める。
- 迷ったら:「まず相談」。
相談は“この動画の次の一歩”だと考えてください。
専門用語は不要、財務資料があれば十分です。
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