不動産投資におけるリスク回避と自己防衛策

今回は、不動産投資家が物件を購入する際、
将来の負担を減らすためにどのような「自己防衛策」を取るべきか、
具体的なリスク回避の方法についてお話しします。

  1. 投資の基本は「分散投資」

コロナ禍などの社会情勢の変化は、
不動産投資において大きなチャンスとなる一方で、
過度なリスクを負うと将来的に大きな負担となる可能性があります。
投資の基本は、金融資産と同様に「分散」させることです。

例えば、大規模なマンションを一棟買いするのではなく、
複数の戸建て物件を所有する戦略があります。
現在、全国的な空室問題(空き家問題)を背景に、
自治体が斡旋する安価な物件も増えています。
こうした物件を安く購入し、
リノベーションして賃貸に出すといった手法を複数展開することで、
リスクを分散させることができます。

また、京都の町家のように、
物件を買い取るのではなく
「安く借りてリノベーションし、転貸(サブリース)する」
という形でリスクを抑えながら展開するケースも一つの手法です。

  1. 「一社依存」の賃貸経営に潜む罠

以前は「社宅として一棟貸しをする」という形態が
安定していると考えられていました。
しかし、これは非常に危険な側面も持ち合わせています。

特定の企業に一括で貸し出している場合、
その会社の業績悪化や方針転換により解約が発生すると、
稼働率が100%から一気に0%になる恐れがあるからです。
実際に、マンションの8割を法人契約にしていたオーナーが、
景気後退により法人が一斉に退去し、
多額のローン返済だけが残るという痛ましい事例もあります。

特に派遣会社などとの契約(法人契約)は、
一般的な居住用契約と比較して解約のハードルが低いため、
景気変動の影響をダイレクトに受けます。
家賃収入を特定の法人に依存しすぎることは、
経営上の大きなリスクであることを認識すべきです。

  1. 購入前に徹底すべき「自己防衛」のチェックポイント

物件を購入する前、
あるいは融資を受ける前に、
投資家が自ら確認すべきポイントがいくつかあります。

  • 周辺環境の調査
    そのエリアの主な入居者は誰か(学生、工場勤務者、一般ファミリーなど)を
    詳しく調べることが重要です。
  • レントロール(家賃管理表)の精査
    レントロールを付けていない、
    あるいは正確でないオーナーも存在します。
    必ず最新の状況を確認してください。
  • 確定申告書との照合
    前オーナーの確定申告書を確認することで、
    実際の収入を把握できます。
    ただし、申告書は過去のデータであるため、
    現状の空室状況とズレがないか注意が必要です。
  • 入居者の属性(年齢層)の把握
    古いアパートなどで入居者の年齢層が非常に高い場合、
    数年後に施設への入所や死亡による退去が
    相次ぐリスク(自然退去リスク)があります。
  1. 確固たる「出口戦略」と「経営戦略」

不動産経営において、
全額自己資金で行う場合はリスクは限定的ですが、
銀行融資を利用する場合は、
より綿密な戦略が求められます。

物件の情報シート(ファクトシート)に
記載されている表面上の数字だけで判断せず、
実際に現地へ足を運び、
入居者の雰囲気や建物の劣化具合を自分の目で確認することが最低限必要です。

銀行の担当者も「人」です。
日頃から税理士などの専門家を交えてコミュニケーションを取り、
良好な人間関係(「水みち」)を作っておくことで、
いざという時に親身なアドバイスや提案を受けられるようになります。

まとめ:現場主義の徹底

不動産投資は、
勉強しただけで成功できるほど甘いものではありません。
経験と勘、
そして何より「現場」を大切にする姿勢が求められます。

一極集中によるリスクを避け、
常に最悪の事態を想定した「自己防衛策」を講じることが、
長く安定した賃貸経営を続けるための鍵となります。

要約

- 不動産投資のリスク回避の本質は「一極集中を避けること」。
物件・入居者・契約相手・情報源を分散し、最悪の事態でも資金繰りが止まらない設計が必要です。 

- 分散の具体策として、1棟集中ではなく複数戸建てへの分散、自治体斡旋など安価物件のリノベ活用、買わずに借りて転貸する手法(借り上げ・転貸)など、リスクを小さく刻む発想が紹介されています。 

- 「一社依存(法人一括契約)」は一見安定に見えて、解約が出た瞬間に稼働率が100→0%になり得る危険な構造。
景気変動に弱く、特に派遣会社等は解約ハードルが低い点に注意が必要です。 

- 購入前の自己防衛は、周辺需要の調査、レントロール精査、確定申告書との照合、入居者属性(高齢化による自然退去リスク)の確認が軸。
見た目の資料ではなく「現場」と「証憑」で裏取りします。 

- 融資を使うなら出口戦略が必須。
ファクトシートの表面数字だけで判断せず、現地確認とストレステスト(空室・賃料下落)で耐性を確認し、金融機関とも日頃から水みちを作っておくことが重要です。 

 

例え話 

 収益源が
1
本しかない物件は
「電源タップに延長コードを一本だけつないだ状態」に
似ています。

そこが抜けた瞬間に
全部止まります。

複数回線(入居者分散・契約先分散)を持つだけで、
止まり方が
小さくなります。

 

この動画から得られること

- 不動産投資で「分散」が効く領域(物件・入居者・法人依存・情報源)の整理 
-
法人一括契約が危険になる条件(解約条項、景気感応度、派遣系の特性) 
-
購入前チェックの実務(周辺需要、レントロール、確定申告書、入居者属性) 
-
高齢入居者の自然退去リスクを織り込む考え方(更新・施設入所・死亡による連続退去) 
-
融資利用時の出口戦略(ストレステスト、現地確認、銀行との水みちづくり) 

 

専門家の付加価値(実務ポイント・チェックリスト)

 1)リスクをMECEで分解(何を分散するか)
-
収益源の分散 
  - 1
社(法人)依存を避ける 
  -
テナント・法人比率の上限設定(例:上位130%以内を目安) 

- 物件の分散 
  -
一棟集中ではなく、複数小型(戸建て等)で地域・需要源を分ける 

- 時間の分散 
  -
退去が同時期に集中しないよう、入居層・契約開始時期の偏りを把握 

- 情報の分散 
  -
仲介・管理会社・金融機関・現場から複線で情報を取る(単一ソース依存を避ける)

 

 2)購入前に潰すべき「4つのズレ」
-
レントロール(現況)と募集条件(将来想定)のズレ 
-
確定申告(過去)と現況稼働(現在)のズレ 
-
入居者属性(年齢・世帯)と将来退去(数年後)のズレ 
-
物件資料(ファクト)と現地(実態)のズレ

 

 3)最低限のストレステスト(融資前提の場合)
-
空室:居住2戸空き、または法人契約が1件抜ける 
-
賃料:全体▲5 
-
修繕:突発修繕を年1回想定 
上記で「返済が回るか」「手元資金が減り続けないか」を確認します。

 

 4)実務チェックリスト(着手順)
- 1
)上位入居者(法人・個人)別の賃料割合を算出(依存度の見える化) 
- 2
)最新レントロール入手入居開始日・賃料・契約形態・解約条項を確認 
- 3
)前オーナーの確定申告書で年間収入・経費を確認(可能な範囲で照合) 
- 4
)現地確認(昼夜・雨天が望ましい)+周辺需要源(企業・学校・工場)を特定 
- 5
)出口(売却・保有・用途転換)の方針と、資金繰りの安全余力を決める 

 

視聴後アクション

- 今日やること 
  -
いま保有(または検討)している物件の「家賃内訳」を出し、上位1社(または上位1契約)が総賃料の何%か計算してください。 

- 今週中 
  -
最新レントロールを取り、契約形態(法人・個人)と解約条件を確認します。
分からない項目は空欄でよいので、まず表にしてください。 

- 2週間以内 
  -
「法人が1件抜けた」「居住が2戸空いた」「賃料が5%下がった」3パターンで月次収支を試算し、赤字ラインを特定します。 

- 1か月以内 
  -
現地確認と周辺需要の棚卸しを行い、投資判断の根拠(誰が借りるか、なぜ借り続けるか)を一文で言える状態にしてください。 

- 迷ったら 
  -
1社が抜けても返済できるか」この一点で確認してください。
答えがNoなら、買い方・借り方・借入条件のいずれかを変えるサインです。

 

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