- 相続・不動産売買の相談増加と「特殊な契約」の事例
最近、相続に関連した不動産の売却や取引の相談が増えています。
その中で、ある小売店オーナーから寄せられた少し変わった相談事例を紹介します。
このオーナーは、自宅兼店舗の隣地が売りに出されたため、
倉庫として利用する目的で購入しました。
物件は名古屋に多い「長屋(壁が繋がった構造)」形式で、
土地と建物の両方を取得する前提でした。
実際に所有権移転登記も土地・建物共に行われており、
固定資産台帳にも評価額が記載されています。
しかし、事後報告で判明した問題は、
「売買契約書が『土地売買契約書』となっており、
金額も土地代金のみで建物の数値や消費税の記載が一切なかった」という点です。
- 会計上の処理と実務的な背景
このような場合、
会計処理としては、
固定資産税評価額に基づいて
全体の購入金額を土地と建物に按分(あんぶん)して
算出することになります。
登記が完了しており
評価額も存在するため、
税務上これ以上の追及を受ける可能性は低いですが、
買い主としては不安が残る内容です。
不動産業界の実務では、
古い建物の価値をゼロと見なし、
更地渡しを前提としたり、
解体費用との兼ね合いで
「土地のみの売買」として
形式上処理したりするケースが稀にあります。
しかし、買い主が建物をそのまま利用する意向がある場合、
この表記は不適切です。
- トラブルを未然に防ぐ「特約条項」の活用
こうした事態を防ぐためには、
「重要事項説明書」や「売買契約書」の特約条項(トクヤク)を
正しく活用することが重要です。
たとえ建物に
市場価値がない(評価ゼロ)と判断される場合でも、
特約に「本物件上には家屋番号〇〇の建物が存在するが、
評価価値のないものとして土地に付随して譲渡する」
といった旨を明記しておくべきです。
これにより、
買い主は安心して
取得後の利用や会計処理を行うことができます。
契約前に信頼できる税理士や専門家に相談し、
自分の意図が契約書に
反映されているか確認することが最善の策です。
- インボイス制度導入による重大なリスク
今後、特に注意が必要なのが、
2023年から導入される「インボイス制度」との兼ね合いです。
これまでは契約書の表記が曖昧でも
実態に即した按分処理が可能でしたが、
インボイス制度下では、
建物の代金や消費税額が
契約書や領収書に正しく明記されていないと、
買い主は建物分の「仕入税額控除」を受けることができなくなります。
これは事業者にとって
実質的なコスト増を意味します。
特に中古住宅や古家付き土地を
買い取って再販・利用する
不動産業者や事業者にとっては、
経営に大きなインパクトを与える「歪み」となります。
- 消費税制度への課題
現在の消費税制度は、
利益が出ていない状況でも
税を納めなければならないなど、
事業者の感覚からすると
不公平感や複雑さが拭えません。
売上税のようなシンプルな仕組みであれば
納得感も高まりますが、
現状の制度は
政策的な駆け引きによって
年々複雑化し、
実務上の負担も増大しています。
不動産取引においては、
単に「買う」だけでなく、
「何のために、どう利用するのか」
という意図を明確にし、
それに基づいた
適切な契約書を作成することが、
将来的な税務リスクを
回避するために不可欠です。
要約
- 事例の核心:土地・建物の双方を取得しているのに、契約書の表題と金額が「土地売買」のみ。
会計上は固定資産税評価額で按分対応できるが、買主に不安・税務上の説明負担が残る。
- 実務の背景:古家を“実質ゼロ価値”として形式上「土地のみ」で処理する慣行は一部にあるが、
建物を利用継続する予定なら不適切。
売買書類の整合性(登記・評価・契約)が必要。
- 予防策:重要事項説明書・契約書の特約で「建物の存在と扱い(価値ゼロ評価でも土地付随で譲渡)」を
明記し、土地・建物の金額・税区分を分けて記載する。
- インボイス時代の要点:建物は消費税の課税対象、土地は非課税。
契約・請求・領収書に建物代金と税額を正しく表示しないと、
仕入税額控除が認められない(売主が適格請求書発行事業者かの確認も必須)。
- 留意点(制度面):売主が非課税(個人・免税事業者)なら建物に消費税はかからず、そもそも控除対象外。
非適格先からの購入は経過措置(2023/10〜2026/9:80%、〜2029/9:50%、〜以降0%)
を踏まえて影響試算が必要。
- 結論:用途(自社利用・再販・賃貸)を起点に、
土地/建物の価格・税区分・按分根拠・特約を“書面で”整える。
インボイスと整合する契約設計が、控除失念・追加税負担の最短回避策。
例え話
明細のないレシートでは
経費精算が通りません。
不動産も同じで、
土地と建物を一括表示のままにすると、
消費税の控除や減価償却の根拠が通らない。
最初から「内訳」を
書面で分けることが肝心です。
この動画から得られること
- 土地(非課税)・建物(課税)の税区分と、売買契約・請求・領収の正しい記載方法
- 固定資産税評価額等を用いた土地・建物の合理的按分と、減価償却のベースづくり
- 特約条項の作り方(建物存在・価値ゼロ評価・土地付随譲渡等)とトラブル予防
- インボイス実務:適格請求書発行事業者の確認、非適格先の経過措置(80%→50%→0%)
- 用途別の実装(自社利用/再販/賃貸)と、会計・税務・登記の整合の取り方
専門家の付加価値(実務ポイント・チェックリスト)
- 契約・書類の設計
- 物件表示:土地(所在・地番・地目・地積)+建物(家屋番号・構造・用途・延床)
- 価格内訳:土地価格(非課税)/建物価格(課税)の明示、建物の消費税額(10%)を別掲
- 付帯設備:造作・設備・什器の範囲と価格、税区分(課税/非課税)の明示
- 特約例:「本物件上には家屋番号◯◯の建物が存在する。
評価価値のないものとして土地に付随して譲渡する」等
- インボイス実務
- 売主の適格請求書発行事業者番号の事前確認(契約前)
- 請求書・領収書に必要記載(登録番号、適用税率、税額、対価の額、品目明細)
- 非適格先の経過措置(2023/10〜2026/9:80%、〜2029/9:50%、以降0%)を踏まえた控除見通し
- 按分と会計・税務
- 按分根拠:固定資産税評価額比・不動産鑑定・合理的市場比。根拠資料の保存
- 減価償却:中古建物の耐用年数は見積規定に基づき設定(根拠メモ化)
- 土地は非償却資産、建物は資産計上+償却開始日の明確化
- 整合性の担保
- 登記(所有権移転:土地/建物)、契約、精算書、請求・領収の内容一致
- RA税・登録免許税は評価額ベースで別管理(インボイス影響外)
- リスク管理
- 「土地のみ」契約のまま利用継続=税務照会・控除否認の火種
- 個人・免税売主との取引はそもそも課税なし=控除対象外。再販業は仕入戦略に反映
- 実務チェックリスト(着手順)
- 1)売主の適格請求書登録有無を確認
- 2)契約に土地/建物の表示・内訳・税額・付帯設備を明記
- 3)按分根拠(評価額等)を決定し、書面保存
- 4)特約で建物の存在・扱いを明文化
- 5)請求・領収のインボイス要件を満たす様式で発行・受領
- 6)登記・精算書・会計仕訳の内容一致を点検
視聴後アクション
- 今日やること:進行中・直近の売買契約を取り出し、
「物件表示」「価格内訳(土地/建物)」「消費税額」「売主の登録番号」に
赤線を引いて確認してください。
- 今週中:固定資産税評価額の通知書を入手し、土地/建物の按分比を算出。
按分根拠のメモを作成し、契約書・精算書と一緒に保管します。
- 2週間以内:特約(建物の存在・扱い)とインボイス様式(請求・領収)のひな形を整え、
次回契約から必ず適用できるよう社内標準にします。
- 1か月以内:主要仕入先・売主の「適格請求書発行事業者」リストを作成。
非適格先は経過措置を織り込んだ控除率で影響試算し、価格交渉や仕入戦略を見直します。
- 迷ったら:「土地は非課税/建物は課税。
契約・請求・領収に建物代と税額が書いてあるか」の一点を確認してください。
ここが整えば、控除漏れの多くは防げます。
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