成年後見制度を利用している方が、
相続に関わる場合、
遺産分割には成年後見人の関与が、
必要になることがあります。
今回は、
成年後見人が関与する遺産分割の手続きと
その際に注意すべき具体的なポイントについて説明します。

成年後見人が関与する場合の遺産分割での注意点

成年後見制度を利用している場合、
遺産分割の進め方には、
通常と異なる部分があり、
慎重な対応が求められます。

①利益相反に注意

成年後見人が相続人の一人である場合など、
成年後見人と本人の利害が対立(利益相反)することがあります。

このような場合は、
本人の利益が守られなくなる可能性があるため、
家庭裁判所へ特別代理人の選任を申し立てる必要があり、
これにより公平性が確保されます。

②成年後見人との円滑なコミュニケーション

遺産分割協議が長期化・複雑化する可能性があるため、
成年後見人と密接に協力することで、
スムーズな進行が可能です。
成年後見人に遺産分割案を丁寧に説明する
成年後見人を通して本人の意見を尊重し協議を進める
また、
必要に応じて弁護士などの専門家に相談するといった対応が大切です。

③調停や審判に備える

協議がまとまらない場合、
家庭裁判所での調停や審判に発展する場合もあります。
調停では、
成年後見人は本人を代理して参加し、
合意を目指します。
一方、
審判では、
家庭裁判所が遺産分割の方法を決定するため、
成年後見人はその手続きに関与することになります。

④居住用不動産の処分には許可が必要

成年後見人が、
本人の居住用の建物やその敷地を売却・処分する場合には、
家庭裁判所の事前許可を取得する必要があります。
その際には、
本人の生活への影響や将来の資産管理が慎重に検討されます。

遺産分割協議においてもその点に留意が必要です。
事前に情報収集を行い、
準備を進めましょう。

この動画から得られること(Learning Outcomes

- 成年後見人が関与する遺産分割の基本構造(通常協議/特別代理人/調停・審判)

- 利益相反の判断基準と特別代理人の申立手順(要件・必要書類・審理の流れ)

- 調停・審判へ移行する際の実務(申立先/期日運営/合意形成/審判の射程)

- 居住用不動産の処分許可の要否と添付資料(処分必要性・代替案・本人利益の具体的説明)

- 成年後見人と他相続人とのコミュニケーション設計(説明責任・本人意思の尊重・専門家連携)

- 実行用チェックリスト(下記)で手続漏れ・無効リスクを回避

 

実行用チェックリスト(実務)

- 事前整理

  - 後見類型(後見・保佐・補助)、選任決定書・後見登記事項証明書の取得

  - 財産目録(遺産全体+本人財産)、相続関係説明図、戸籍類の収集

- 利益相反の確認

  - 後見人が相続人/遺産分割の配分が本人と後見人の利害相反となる場合特別代理人の申立(申立書、相続関係、利益相反の具体的事情)

- 協議・合意形成

  - 後見人への遺産分割案の丁寧な説明、本人意思の尊重(面会記録・意思確認の記録)

  - 議事録化・合意書草案の作成、必要に応じて弁護士関与

- 調停・審判

  - 申立書・添付書類の確認(財産目録、評価資料、医師意見書があるとベター)

  - 調停期日の運営(合意に向けた案の更改)/不成立時の審判対応

- 居住用不動産の処分(ある場合)

  - 家庭裁判所の事前許可申立(売却理由、代替案の検討、売却価格の相当性、住居確保の方針、収益の管理方法)

- 横断的留意点

  - 後見人の権限の限界(贈与・リスク資産投資は原則不可)

  - 後見監督人がいる場合の関与・報告、年次報告への反映

 

専門家としての付加価値(深掘りポイント)

- 利益相反の具体例:後見人=相続人、遺留分侵害の調整、寄与分・特別受益の主張が絡む配分

- 特別代理人の役割:単一行為ごとの代理権付与が基本(包括代理ではない)分割協議書締結までの権限設計

- 居住用処分許可:本人の生活維持(介護費・医療費)/建物の老朽化・危険性/維持コスト比較を定量で示すと裁量判断が通りやすい

- 証跡化の重要性:本人意思の確認、説明経過、費用対効果の比較表は、将来の紛争予防に直結

 

例え話(理解促進)

- 成年後見が絡む遺産分割は「公平な審判を呼ぶスポーツの特別ルール」のようなものです。
利害がぶつかる場面では特別代理人(中立の審判)を立て、
拮抗すればビデオ判定(裁判所の調停・審判)に委ねる。
フェアプレー(記録・説明・許可)を徹底すれば、試合は荒れません。

視聴後アクション(CTA

- 利益相反の有無を先に判定し、必要なら特別代理人を早期申立

- 後見人への説明経過・本人意思確認を記録化(議事録・面会メモ)

- 協議が難航するなら、調停・審判への移行を前提に証拠と資料を整備

- 居住用不動産の処分は、許可申立の根拠資料(費用比較・代替案)を準備し専門家と連携

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引用
相続・贈与相談センターマガジン2025年7月号
成年後見制度による遺産分割
知っておくべき手続きと注意点

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