国土交通省が9月20日に発表した「基準地価」
全用途の全国平均が
3年ぶりに上昇しました。
コロナ禍で続いた行動制限が緩和され、

経済活動の正常化が進み、
住宅・
商業地ともに需要が戻ってきたようです。
住宅地が31年ぶりの上昇へ転じたり、
円安で外資不動産爆買いが
起こったり、
コロナ禍からの回復にも明暗がはっきり分かれています。
2022年基準地価のお話を全3回にわたってお伝えします。
今回は、国内不動産の動向を解説します。

●基準地価は地価の中間発表!

公示地価、路線価ともに1月1日時点の地価評価ですが、
基準地価は7月1日時点の地価評価です。
公示地価は市街地が中心で、
基準地価は地方の山林も含みます。
2つを比較すれば地価の推移を把握しやすいと言われています。


●公示地価との共通地点では?

公示地価との共通地点で年の前後半の変動率を見ると、
後半(
2022年になってから)の方が上昇幅が大きく、
回復基調がより鮮明になっています。

●円安で外国人が爆買い?!

急速に進む円安の影響で、
日本の不動産を購入する外国人が増えています。
1億を超えるマンションを現金で一括購入するケースもあるそうです。
年初から
円は30%も下がっており、
日本人には手が出しにくい価格も
手頃な価格で投資に最高のタイミング」
との声も上がっています。

<地方リゾート、外国資本が次々購入>

スキーリゾートとして有名な新潟県赤倉温泉、
ある2代目のホテルオーナーはコロナ禍の経営不振で香港の投資家に2億円でホテルを売却しました。
今や
赤倉温泉の60軒のホテルのうち5分の1近くが外国資本になっています。
かつてバフル景気に沸いた日本はニューョークのロックフェラーセンターを買収するなど、
ジャバンマネーが世界を席巻した時期もありましたが、
今は
買われる立場になってしまうという、
凋落ぶりです。

●台湾のTSMCで31%上昇?

全用途を通じた上昇率のトップは熊本県菊陽町(工業地)の31.6%で、
世界的な半導体メーカー台湾積体電路製造(TSMC)の進出を受けて急上昇しました。
周辺の町や市でも工業地や住宅地、
商業地が上昇しました。
経済波及効果は31年までに約4.3兆円との試算もでています。

くTSMC、インテル・サムソン超え、世界シェア50%超>
1987年創業で台湾政府などが設立に関わり、
半導体製造技術の革新を続け、
世界最大のファウンドリー企業になりました。
ニューヨーク証券取引所と台湾証券取引所に上場しています。
2022年10月末時点の時価総額は3060億ドル超(トヨタの2倍)で世界第20位、
サムソンやインテルを上回るまでに成長しています。
世界的な半導体不足もあり、
同社は
世界各国から工場建設を打診される中、
昨年10月に日本での建設が決定し、
今現在着々と工場建設が進んでいます。
日本政府は総投資額約70億ドルの半分を補助し、
岸田総理が直々に期待を表明するほどの歓迎ぶりでした。

●大手町プレイス、国内勢が落札

都市部を中心とした商業地の地価上昇は投資意欲旺盛な海外勢が支えています。
背景には円安と日銀の超低金利政策がありますが、
今年9月、
外資の不動産買い攻勢に変調が見られています。

<国内最高額4,000億円の争奪戦のウラで>

束京都千代田区の大型複合ビル「大手町プレイス」の政府保有分を
ヒューリックを中心とした日本の企業連合が落札しました。
日銀が金融引き締めに転じるのではないかとの慎重論があった」
と専門家の声があがっています。
3月からの急速な円安を受け、
一時は海外勢が有利と見られていましたが、
世界経済の先行き懸念から欧米の大手ファンドは慎重になり、
高値を提示しなかったようです。

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