●都心地価上昇に3つの要因

都心部やその周辺で旺盛な住宅需要が地価を下支えしています。
背景にあるのは共働き世帯の増加や低金利、在宅勤務の広がりなどがあります。

<3億円超がほぼ完売>

22年秋に三菱地所レジデンスが分譲した東京都千代田区の「ザ・パークハウスグラン三番町26」は
平均価格3億円超でもほぼ完売。
都内は中古物件も含め「億ション」が今や珍しくありません。

●1億円以下なら割安感?!

不動産経済研究所がまとめた22年の全国の新築分譲マンションの平均価格は、
5,121万円で10年前比1,300万円も上昇しています。
正社員の平均年収の約10倍相当まで上がっています。
東京23区では平均価格が約3,000万円アップの8,236万円で、
1億円以下なら割安物件ということです。

●パワーカップルの在宅勤務

共働き世帯が約7割を占める中、
パワーカップルと呼ばれる高所得共働き世帯が増えています。
超低金利が購買意欲を後押しし、
コロナ禍テレワークの普及や働き方の変化が住宅地の地価上昇の要因になっています。
今後は不動産市場の過熱感に加え、
金利の先高観や資材高といったマイナス要因の影響も出そうです。

●オフィス街は2023年問題が

東京・丸の内などのオフィス街は回復の足取りが重いようです。
今年、東京都心はオフィスの大量供給が見込まれ、
空室率は高止まりしたままです。
テレワークの定着でオフィスのあり方の見直しも続き、
オフィスの大量供給は市況の下げ圧力になりそうです。

●海外マネーが支える都心地価!

コロナ禍からの回復が顕著な三大都市圏の商業地は、
歴史的な円安もあり、
海外マネーの流入が地価上昇の要因になっています。
今まで日本の不動産市場は低金利で資金調達でき、
投資利回り(=年間賃料収入+
物件取得価格)が安定していたため魅力的でした。



く日本の不動産はまだお買い得>

ドイチェ・アセットによると、
投資利回りと長期金利との差(
利ざや)は22年末で束京の物件ではまだ2%超あります。
比較されやすいシドニーは▲0.3%と逆ざやになったわけです。

足元では米地銀破綻などで、
金融市場の先行き不透明感が増しています。
海外勢は日本の不動産への投資に慎重になっています。
米欧の利上げ長期化による景気後退など、
先行きの不透明感で、
22年の世界不動産投資額は1兆290億ドルと、
前年比19%減少しました。

●23年ピークと8割が回答?!

ニッセイ基礎研究所の調査では、
東京の不動産価格は23年までにピークに到達」
との回答が8割強に上っています。

地価上昇の一翼を担ってきた海外マネーの流入が絞られると、
さらなる地価上昇は望みづらそうです。

く日銀の金融緩和の修正は?>

今後、日銀が金融緩和を修正すれば、旺盛な住宅需要に陰りが出そう。
植田日銀新総裁は金利抑制の副作用にも言及しており、
海外勢は日銀の政策修正をリスクとして先読みしているようです。

物価は上がり、地価もあがった、しかし実態景気はどうなのか?
今後の地価上昇は望み薄かもしれませんが、
現状は景気の実態と地価動向がかけ離れている事は、
確かなことなのではないでしょうか。

引用

税理士法人AtoY メルマガ 令和5年4月20日21日
【公示地価】2023年公示地価Ⅳ、Ⅴ 地価はコロナ禍から回復したのか?!コロナ後の地価は?①②

税理士法人 A to Y
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