●日銀24年ぶりの為替介入
円の急落で、政府・日銀は9月22日、
円買いドル売りの為替介入に踏み切りました。
介入は日銀が金融政策決定会合で大規模金融緩政策の維持を決め、
利上げを進める米国との金融政策の違いからドル高円安に拍車がかかり、
146円台に乗せる直前に実行されました。

日銀の介入により為替相湯はわずか1時間で140円台へと5円も円高になりました。
介入規模は3兆円程度で日本の単独介入とのことです。
140円台になった為替は格好の「ドル買い•円売り」の投資チャンスを与えてしまい、
すぐに150円台へと、
10円も円安が進む結果になりました。

★為替介入とは?!

あなたは、ご存じとは思いますがここで、為替介入のお話を少々。
為替介入とは通貨当局が為替相揚に影響を与えるために、
外国為替市場で通貨間の売買を行うことです。
日本の場合は円相場の安定のため
財務大臣の権限で行います。

日本が単独で行う場合は「単独介入」
欧米なと各国と合意の上、一緒に行う場合を「協調介入」と言います。

●11月以降、急速に買い戻される!

一方、11月以降は円が一気に買い戻され、
米利上げの減速観測を背景に米長期金利が低下し、
円は一時133円台を付けました。
ところが実際には、
米利上げの長期化観測から再び円が売られ、
136~
137円台で推移する状況で、
円の振れ幅が目立っています。

●日銀はなぜ利上げをしない?

米国の度重なる利上げと、
日銀の現状維持の金融政策に振り回される円相場ですが、
急激な円の変動は経済全体、
企業や家計に大きな影響を及ぼします。


◆日銀の大規模金融緩和策

金融緩和は金利の引き下げや資産購入マネーの供給で、
民間の投融資や消費を促す政策です。

日銀は2013年に2%の物価上昇目標を導入して大規模な金融緩和を続けてきたところ、
今年10月の金融政策決定会合で、
22年度物価上昇率見通しを2.9%に引き上げました。
目標達成にも関わらず、
金融緩和政策は継続されています。

その理由は「コロナ禍から回復途上にある日本経済を支えるため」とされ、
黒田日銀総裁はこの先、景気悪化を招く懸念があるとし、
金融緩和の継続が必要と判断しています。

この後、日銀の金融政策はどうなっていくのか?と、
このメルマガを書いている途中、
“日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%
に引き上げ”
ニュースが飛び込んできました!
やっと黒田日銀総裁も重い腰をあげましたね。

●金融政策との違いが鮮明に!

金融緩和を続けていた日銀とは対照的に、
海外の中央銀行は相次ぎ利上げを決めていました。
欧州中央銀行(ECB)
も11年ぶりの利上げに踏み切り、
上げ幅は0.5%でした。
黒田総裁は当時、利上げは「
まったくない」と言い切っていて、
世界との金融政策の違いが鮮明でした。

●具体策なく円安も他人事?

円安の影響で輸入物価が高騰し、
値上げラッシュが続き、
世論調査では国民の7割が「物価高で生活が苦しい」と答えています。

有効なインフレ
抑制策も打たない現状で、
10月、黒田総裁は衆院予算委員会で

「年明け以降は物価上昇幅は縮小し、来年以降2%を下回る水準に下がる」
と回答していました。

専門家によると、
黒田総裁の物価見適しは当たったためしがない。
最初の
7年間は2%に達すると予想し、毎年はずしている。
昨年は逆に2%に達しないと予想していた。
足元の消費者物価指数は2.8%上昇だが、
企業物価指数は9.7%上昇で、
まだ企業はコストを転嫁しきれておらず、
これから転嫁が本格化する。」
と言っていました。

●黒田総裁の任期は令和5年4月!

日銀総裁として2度の再任を経て、
歴代最長となる黒田総裁の任期は令和5年4月。

大規模金融緩和策が経済を下支えする効果があったのは事実ですが
為替変動の
増幅以外にも市場機能や財政規律の低下、
金融機関経営や資産運用への副作用が指摘されています。

安倍元総理が進めたアベノミクスの柱の一つで
「黒田バズーカ」
とも呼ばれた異次元の大規模金融緩和が実行されました。
株価は上昇し、
行き過きた円高は解消されたが、
目標としていた物価と賃金の上昇による好循環は進まず、
今年に入り日米金利差で円安方向に急展開しました。

黒田日銀総裁の緩和縮小政策への方向転換で今以上の円安は防がれたかにみえますが、
今後の為替の動きには十分注意を払っていかなければならないと考えます。

引用

令和4年12月20日及び23日 税理士法人 A to Y メルマガ
円安時代到来?!どうなる日本経済の行方?Ⅱ黒田日銀総裁の金融政策

税理士法人 A to Y
〒460-0014 愛知県 名古屋市中区富士見町7-11
電話番号 052-331-0286
FAX番号 052-331-0317

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