国土交通省が先月発表した「基準地価」は 全用途の全国平均が前年比0.4%下がり、
2年連続の下落となりました。
緊急事態宣言は解除されても、
基準地価は全国平均2年連続の下落です。
新型コロナウイルス感染拡大2年目となった基準地価発表では、
住宅地や商業地など地価動向に、
それぞれの地域が持っている特徴に沿った結果が出て、
明暗が分かれました。
今後はその特徴をどう実際の暮らしに活かしていけるかが、
地域繫栄の一つの鍵となってくるでしょう!!

基準地価(7月1日時点)の全用途平均は2年連続で下落しましたが、
下落率は縮小しています。

用途別では、
商業地は▲ 0.5%と2年連続のマイナスで、
昨年の▲ 0.3 %から下げ幅が拡大。

一方、
住宅地は▲0.7%から下げ幅は縮小ですが、
1992年以降下落が続いています。

ここで、基準地価とは何か?です...

基準地価とは、
各都道府県が7月1日時点の基準地価の価格を調査し発表するものを、
国土交通省がまとめて公表するもの、
つまり土地の価格です。

今回の基準地数は21,443地点、
同省実施の公示地価(
1月1日時点)と調査時期、
調査地点で
相互に補完的な関係にあります。

今回の基準地価では、
三大都市圏で明暗を分ける結果が出ています。

三大都市圏では全用途平均は横ばいから上昇に、
住宅地は下落から横ばいに、
それぞれ転じていますが、
商業地は0.1%上昇(前年は0.7%
)と9年連続で上昇ですが、
上昇率は縮小へ向かっています。

例えば、
東京・
名古屋圏と大販圏で明暗がくっきりと分かれています。

商業地では前年比0.1%上昇とプラスを維持した東京圏と、
0.6%と9年ぶりにマイナスに転じた大阪圏で明暗が分かれました。
名古屋圏は住宅地、
商業地ともに下落から上昇に転じています。

比べて、
地方中核4都市では、
逆風下でも堅調な数字を見せています。

全用途平均が2年連続で下落する中、
堅調だったのが「札仙広福」
と呼ばれる中核4都市です。

コロナ禍で全国的に経済が停滞する中、
住宅地、
商業地とも上昇を継続しています。

基準地価の動向を都道府県別に見てみると、
上昇したのが住宅地では7都道県、
北海道・宮城・東京・石川・愛知・福岡・沖縄で前年の5都県よりも改善した一方、

商業地は前年の10都府県から6県、
宮城・神奈川・愛知・福岡・
沖縄に減少しました。

昨年の路線価ではコロナ禍の影響が反映されていません。
回復基調を続けていた地価をコロナ禍が直撃したことが分かります

商業地の最高価格地は、東京・銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」で、
1㎡あたり3,950万円で

前年に比べ3.7%下落しています。
16年連続トップ地点も下落したということです!

住宅地では「東京都港区赤坂1-14-11」
3年連続で487万円(前年472万円)でした。

商業地と住宅地では明暗がはっきり分かれてことになります。

コロナ禍で2年連続の下落ですが、
住宅地は下落幅が縮小、
商業地は拡大しています。

商業地は全国で55%にあたる2,846地点で下落しています。

昨年は全国約2万ヵ所の調査地点の6割が下落でしたが、
今年は上昇が若干増加、
横ばいが増え、
下落が減少しています。
地点数で見るとわずかに回復したということでしょうか?

三大都市圏、東京圏・大阪圏・名古屋圏のそれぞれの地価動向の個別事情は...

東京圏の下落地点は前年から約3割減少し、
全用途で平均0.2%
上昇しています。

前年7年ぶりに下落の住宅地は0.1%の上昇となりましたが、
商業地がコロナ禍で減速し、
上昇幅が縮小しました。

東京23区の住宅地はコロナ禍による買い控えで20区で上昇率が縮小しています。

住宅地は、
23区以外では横浜市がプラスに転じ、
千葉県浦安市、
市川市などで、
上昇が目立ちました。
コロナ禍でのリモートワークや移住の増加の影響もあるようです。

大阪圏の商業地は0.6%の下落(前年1.2%上昇)に転じました。
大阪市は前年の2.6%以上の上昇から2.0%の下落になっています。
梅田地区は休業要請や人流減少などで店舗・ホテルの収益性が低下、
心斎橋・なんば地区は
コロナ禍による国内外の観光客減少が響き、
インバウンド消失か大きな打撃となっています。

ただ、
大阪圏の住宅地は▲ 0.3%ですが、
下げ幅はわずかに縮小しています。

大阪圏の最高価格地点は、
JR大阪駅北側のグランフロント大阪南館で前年比で4.7%下落し、
前年の8.8%上昇に比べて市況は悪化、
飲食店が集まる大阪ミナミのデカ戎橋ビルは、
▲18.5%と全国でも最大の落ち込みになっています。

愛知県は商業地が1.0%、
住宅地は0.2%上昇し、
都道府県別では商業地は3番目、
住宅地が6番目に上昇率が高かったです。
これは、
経済が堅調で回復基調が強まった、
と言えるかもしれませんが

名古屋市の商業地は 3.2%の上昇で、
上昇率が最も高かった錦2丁目の
「鴻池ビルディング」は、
11.5%アップ。
インバウンドヘの依存度が低いことが、
上昇につながったようです。

住宅地の上昇は、
トヨタ自動車やデンソーを中心とした製造業の実績が堅調で、
マンション販売の好調な推移のほか、
コロナ禍でも株高が追い風となり、
富裕層のマンション購入が旺盛だったことが寄与しています。

コロナ後の地価の行方です。

コロナ禍長期化に伴う「巣ごもり」でネット通販の利用が増えたことを背景に、
大型物流施設の需要が強まり、
工業地の変動率の全国平均が4年連続の上昇となりました。

工業地の平均上昇幅は、
昨年の0.2%から0.8%
に拡大しています。

国道の拡充を機に物流拠点としての重要性が高まった沖縄県豊見城市で、
30%前後の上昇が続くなど、
今後も堅調な需要が見込まれることから、
中核事業の一つとする大和ハウス工業は「今後も開発を加速する」と意欲的です。

住宅地上昇地点をみると、
在宅勤務や外出自粛による住環境の再評価が、
地価を支えていることが分かります。

「住みたい街ランキング」で人気の吉祥寺のある武蔵野市は1.5%上昇しています。

千葉県浦安市、横浜市神奈川区は上昇、東京に近い別荘地を抱える長野県軽井沢町も堅調、

これらのことからも、
住みやすさが、
地価に影響しているのが分かります。

テレワークは定着し、
コロナ後にも簡単には後戻りしないでしょう。

在宅時間の増加で、
通勤時間より住みやすさといった
暮らす街の魅力にこだわった、
住宅選びのニーズが増しそうです。

では、
都心の地価に目を向けてみると...

束京都心の地価はオフィス需要が支えていますが、
テレワークの浸透で都心のオフィスビルも空室率が上昇し、
賃斜か下がり始めました。

都心は2023年にオフィスの大量供給が控えていて、
コロナ後のオフィス需給には注目する必要がありそうです。

東京圏の地価の底堅さは金融緩和で運用難になった余剰マネーが、
収益性の高い都心の不動産に流入したためです。

海外の投資ファンドを中心にコロナ禍で業績が悪化した企業の、
オフィスの売り物件の受け皿になっています。

こう言った、
外資マネー頼みには、
危うさがひそんでいます。

例えば、
JTBは9月に本社ビル2棟を約300億円で売却、
コロナ禍で旅行需要低迷が長期化する中、
手元資金の確保を急いだ模様。
売却先は外資系投資ファンドです。

また、
20年未にはエイベックスが、
都内の本社ビルをカナダ拠点の不動産ファンドに約720億円で売却しています。

21年6月末時点の国内不動産への投資額に占める都心5区の比率は、
前年比9ポイント増の
38%で、
全体の取引額が減る中、
都心への資金集中が進んでいることが分かります。

繰り返しになりますが、海外マネー頼りは危うさもあります。

米国が量的金融緩和の縮小に舵を切り、
世界が経済の正常化見据えて、
金融政策引き締めの
方向に向かえば、
投資マネーが逆流する懸念もでてきます。

とある専門家の見通しによれば、
「2021年以降は、人口減少、
高齢化社会の進行、気候変動、
不動産市場の構造的需給緩和に加え、
コロナ禍を契機としたテジタル社会の推進により、
不動産の需給閾係の急激な変化が想定され、
その結果、
都心部の地価の評価に大きな変化が生じる」
との見通しをたたています。

基準地価のお話しはこれで終わりですが、
これからも地価のお話しはしていきたいと思います。

この先、
不動産市場はコロナ後もまだまだ不透明でしょう。

下落基調が顕著で現金確保を目的にするなら、
早めの売却、
買い側にとっては買い時かもしれません。

某大手不動産会社は今が買い時とばかりに、
不動産を買っています。

売り買いそれぞれの事情で、
そして先を見通した不動産売買を心がけることが
不動産事業での成功への路だと、私はおもいます。

税理士法人 A to Y
山内 新人(やまうちあらと)税理士メルマガ
【基準地価】基準地価で見えてきた土地事情その1~4
引用

税理士法人 A to Y 
〒460-0014 愛知県 名古屋市中区富士見町7-11 
電話番号 052-331-0286
FAX番号 052-331-0317

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